- Amazon.co.jp ・本 (286ページ)
- / ISBN・EAN: 9784788507579
感想・レビュー・書評
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自分のやってきた仕事や事例を尊敬する師に評価してもらうのは
ドキドキもするし、幸せなことでもあると思います。
この本は精神科医・神田橋條治先生を師と仰ぐ、対話療法家の井上信子さんのケース・カンファレンス集。
井上氏が扱った不登校児童などのクライエントの事例を
神田橋先生が丁寧で的確な言葉で整理し締めくくります。
私は職種は違うが、神田橋先生の素敵な助言はどこかで役立つ気がして時折、再読しています。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
大人になって、子育てをしながら読むと勉強になるところもかなり多い。
でも、読みながらちょっとスピリチュアルのような感じの印象を受けたのも事実。
【気づき】
・対処行動を聞く
クライアントが「お腹が痛い」と訴えたとする。
それに対してカウンセラーが「何か悪いものでも食べたの?」
聞けばこれは原因を探している。
そうではなくて、
「お腹痛いのどんなふうにしたの?」
と対処行動を聞くようにする。
そしてクライエント「絶食した」
カウンセラー「そしたら痛いのどうなったの?」
クライエント「効かなかった。でもそれで我慢したら1時間位で痛いのは取れた」
カウンセラー
「そしたら1時間位すれば慌てなくても
腹痛は何とかなるんだね」
というふうに話を進めることで、
クライアントは対処の成功不成功を認識する。
C子
・肛門期1〜3歳トイレトレーニング
自分の中から出たものに愛着がある。
でもその意図に反抗しようと葛藤
成功→几帳面で清潔好き
犯行→出し惜しみ、強情、短期、けち
・口唇期
赤ちゃんが欲望を満足させるのは唇。
充足されたかどうかでその後の性格がわかる
充足される→楽観的、気前良い、人見知りしない
不満足→欲求不満が残る、悲観的、攻撃的、毒舌家
食いしん坊、おしゃべり(口の前の筋肉を使う)
・9歳ごろ
大人への第一関門
友達の存在が親よりも大きい。
親からの分離
①抽象思考への移行
②自我分裂による自己認識・自己評価の獲得
③他者への配慮の始まり
④親からの分離の第一段階
⑤その年齢なりの「自分を問う」
D
・大事なのは雰囲気
それが人を癒す
・「自分だってそうなれたかもしれないのに!」
と自分も相手と同じ資質があるのに、
自分には花開かなくて、相手の中だねに資質が開いている時にジェラシーが起こる。
逆に言うと、ジェラシーが起こったら、その人が輝いているのと同じ資質が自分にもあるということに気づくチャンス。
E先生
・児童期はたて・よこの身のこなし術を習得するのに敏感な時期。
「見る自己」と「見られる自己」の分離。
この分離がおこると、
「見る自己」が「見られる自己」の内容を操作して、本当の自己ではない「他人に見せる偽りの自己像」をつくることが可能になる。
すると、
「本当は自分はどうしたいのか」がわからなくなる。
この過程で失われるのは
健康は自尊心の真の努力目標。
自尊心とは、
自分らしさの肯定的は自己確認。
努力のは自分のしたいことに向けて
精一杯力を出し切ること。
本当の自分を見失う危機の出発点は小学校高学年にある。
・得意を見つけられない子の導き方
①
筋肉運動的→初歩>発語
言語的・感性的→初歩<発語
②幼稚園の時どんな子だったか?
(資質の歪みが少ない)
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再読。
K先生のカバーする領域は広大であり、お弟子さん方はそれぞれに資質に見合う臨床を紡ぎだされていく。
それは治療の過程とパラレルであると思う。