「集団主義」という錯覚―日本人論の思い違いとその由来

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  • 新曜社
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  • Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784788511156

感想・レビュー・書評

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  • これはTBSラジオの「ライムスター宇多丸のウィークエンドシャッフル」で宇多丸がお薦めしていたもの。宇多丸自身がサブカルチャーに非常に詳しい人だったので、結構意外だった。

    本書は「日本人が集団主義である」という言説は、ほとんど根拠がない通説であり、そしてそれがなぜ通説としてまかり通ってきたのかを論じている。

    ここでは、社会心理学・認知心理学、教育学、言語学、経済学という多面的な研究を紹介しながら、日本人集団主義説が根拠がないことを説明している。特に、著者自身の専攻である心理学の分野は非常に厚く書かれており、また実証的に論じられている。

    本書の良い点は、まず非常に分かりやすく書かれているところである。特に認知心理学、社会心理学の部分は、非常に噛み砕いて丁寧に説明しているため、とても読みやすい。

    また、若干専門的な話は★がついており、さらに専門的な話は注釈にまわし、そこを飛ばして読んでも話の大筋は掴めるようになっているという親切な作りにも著者が「何とかして自分の考えを伝えたい」という熱意が伝わってきて、好感が持てる。

    一方で、なぜ通説がまかり通ってきたのかについても、歴史的な資料を引っ張り出してきて、説得的に論じているが、この説明は心理学のバイアスでほとんどの説明をしているためか、若干議論が粗い気もする。

    しかし、それでも本書は通説に惑わされず、研究者として実証的に論じていくことの重要さや面白さを十二分に体験できる。

    それなりに読むのに時間はかかる本だが、もっと多くの人に読まれるべき本だと思う。

  • ふむ

  • 「日本人は集団主義」という
    大いなる誤解(DIAMOND Quartely 2019.5.2) https://diamond.jp/quarterly/articles/-/162

  • ステレオタイプとバイアス。社会心理学的良書。

  • 日本社会ならびに日本人に貼られた"集団主義というレッテルについて、それはアメリカの都合で操作されたまやかしであると説き、社会構造や日本語の特性までひとつひとつ丁寧に反証し、日本は集団主義で欧米は個人主であるというような紋切り型の国民性文化論に異論を投げつける。


    Rhymester宇多丸のウィークエンドシャッフル「読書特集」で取り上げられていたのに興味を覚え手に取ったのだが、同番組で推されるのも納得の「敵にまわしたら超めんどくせー」スタイルで、安易で口当たりのいい結論を鵜呑みにし思考を放棄する態度に警鐘を鳴らす。

    [private]物々交換成立[/private]

  • 2835円購入2011-03-31

  • 【目次】
    はじめに [i-vi]
    目次 [vii-ix]

      第一部 「日本人=集団主義」説 
    第1章 日本人論 003
    第2章 日本人論批判 025

      第二部 事実の検証 
    第3章 実証的な研究 039
    第4章 論争 067
    第5章 「集団主義的な文化」再考 097
    第6章 エピソード 149
    第7章 昔の日本人 163

      第三部 通説はなぜ成立したのか? 
    第8章 戦時下の集団主義 189
    第9章 思考のバイアス 207
    第10章 オリエンタリズムとしての「集団主義」 233
      第四部 「文化」の再検討 
    第11章 「国民性」 253
    第12章 文化ステレオタイプ 279

    おわりに [301-314]
    謝辞   [315-316]
    註    [317-337]
    文献   [7-23]
    事項索引 [3-5]
    人名索引 [1-2]

  • とてもとても良かった。読みやすいので色々な人に読んでもらいたい本。

  • 掘り出し物。
    全体的に軽い異論はあるけれど、データを根拠に俗説を打っていくその論証の過程はお見事、の一言。

  • 人生Best3に入る位好きな本。
    データの正しい読み方を教えてくれる本だと理解。
    データの嘘に惑わされない為にも必読。

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著者プロフィール

東京大学名誉教授

「2017年 『心理学研究法〔補訂版〕』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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