筆者も述べているが、手広く書き過ぎている印象。全体的に伝えたいメッセージがボヤけているが、第Ⅱ章 実践編 は役立つ気付きが多々あった。
第Ⅲ章 浸透編 の冒頭p.176-177に、この本の端々で述べられている事が簡潔にまとめられた文章があったので引用。
フューチャー·バック思考は、時折開催されるオフサイト·ミーティングのときや、長期的なビジョンを構築するとき、戦略を策定するときや、その後何年にも渡って戦略を実行するときだけに用いる戦略ではない。ひとたび企業が「未来のポートフォリオ」に向かって舵を切ったら、次世代のリーダーにも、未来から逆算する方法で統括し続けてもらう必要がある。取締役会は会社のビジョンに賛同するCEOを雇い、社内でリーダーシップ開発を行なって、未来のいくつかの新構想を率いる可能性の高い-ひいては会社全体のトップに立ちそうな-将来有望なエグゼクティブに、考え方、計画の練り方、さらには学び続ける姿勢を教え込む必要がある。組織のどの階層であれ、リーダーとマネジャーはフューチャー·バック思考を推進し、それを生き方にできるだろう。といっても、すベてを変えろと言うわけではない。前述したように、あなたの時間の90%はプレゼント·フォワード型の思考とプロセスで事足りる。だが、持続可能な未来を確実なものにするには、未来がどうなるか探究して、イメージし、そのイメージを再構築するという、異なるマインドセットに浸る時間が必要だ。
言うまでもなく、未来について考える時間が多いリーダーもいれば(戦略のトップなど)、それほど考えないリーダーもいる(品質管理のトップなど)。だが、個人として、サブグループとして、管理職チームの一員として、全員が未来にっいて考える時間を捻出し、維持しなければならない。現在の状況に気を散らすことなく、状況に応じて現在から未来を展望したり、未来から現在を逆算したりして考えながら、探究し、構想を練り、発見していかなけれぼならない。
組織の最大の強みは、プロセスを標準化して、それを繰り返せることだ。直感的で想像的なプロセスだが、フューチャー·バック思考はある程度まで制度化できる-これはリーダーが独自に発達させなければならない能力であり、組織全体で奨励して積極的に構築していかなければならない能力でもある。