- Amazon.co.jp ・本 (287ページ)
- / ISBN・EAN: 9784789553544
感想・レビュー・書評
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何事にもほどほどに、バランスよく。
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そろそろ、気仙沼の漁師の魚の販売というあたりが、現実的に見え隠れしてきているので、この際にちゃんと学んでおこうと思い読んだ本。
今まで市場の検査と、国の安全基準をある意味”鵜呑み”にしていて、そこまで体系的に放射能のことを学んでいなかった。いろいろな試作段階でのアンケート・ヒアリングなどを通して、やはり放射能に関する部分は多くの懸念が聞かれたというのもある。
この本の放射能に関する部分しか読んでいないが、とてもわかりやすく書いてる。ベクレルとシーベルトの違い、放射能による人体への影響とその科学的な根拠、食品の暫定基準値から現在の新基準値の趨勢の理由やその根拠、放射能の食品検査の限界とその解釈、最も長期にわたり配慮が必要であろう放射性セシウムの性質(特に海水魚では生物農塾が水銀に比べてかなり少ないこと)など、基本的なところから、少し込み入った内容まで平易に書かれていて、頭がだいぶ整理された。
引用的なものの根拠がもう少しあるともっといいと思ったが、科学的な根拠を得、安心か否かを判断できる土壌をたかだか70ページほどにまとめているのはすごい。お母さんではなくても、是非読んでほしいものだ。
~内容メモ~
日本の新食品基準値は科学的な根拠を持ったうえで、かなり厳しいものに設定されていること。そして、それは基準値を超えたら食べられないものではなく食べ続けることががんの可能性を上げるということ。奇形児の発生等のがん以外の放射性物質による影響は科学的には明確な根拠がないこと海水魚の生物濃縮は大きくはなく、それは放射性セシウムの物理的な性質が海水中に多く含まれるカリウムに似ているということからくるものであること。食品の全頭放射能検査は大豆等以外の産物においては実質的に不可能だということ。自然界のものにもかなり多くの放射性物質が存在するし、それを311の前から食べているということ。
~思ったこと~
幸い、魚は群れで動くからそのうちの一匹を検査すれば、確かに全部ではないもののその集団が安全である可能性が高いことを判断しうる根拠は得られる。結局、ここまでくらいの情報をちゃんと出して、買ってくれる消費者にだけ提供したらいいのだと思う。というかそれしかない。安全に関する科学的な根拠を提供することくらい。安心だという判断を縛ることはできないのだから。あとは個々の消費者に任せるしかない。