マグダレンの祈り (ヴィレッジブックス M コ 4-1)

  • ソニ-・ミュ-ジックソリュ-ションズ
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  • Amazon.co.jp ・本 (279ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784789721080

作品紹介・あらすじ

1996年までアイルランドに実在し、延べ3万人の少女たちが収容されたマグダレン修道院。キリストによって改心した娼婦マグダラのマリアにちなんで名付けられたその修道院は、性的に"堕落した"と判断された女性たちを神の名のもとに矯正する施設として、カトリック教会によって運営されていた-。未婚で妊娠した者、レイプされた者、男に色目を使ったと噂された者、さまざまな理由で修道院に送られる少女たち。彼女たちは本名を名乗ることを禁じられ、頭髪を剥られる。外界から閉ざされた劣悪な環境のなかで、少女たちは悲痛な叫びを上げていた。世界を圧倒した衝撃のノンフィクション。

感想・レビュー・書評

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  • ピーター・マランの映画よりも深く突き刺さった。父親にレイプされた少女、姉の旦那にレイプされた妹……。家族からも見捨てられ、一族の恥として、被害者である人間が牢獄に入れられる。本当に言葉が出ない。
    訳者の方が仰っているように、多くの人に読んでいただきたい。この真実から、目を背けてはならない。何年経っても、彼女たちの苦しみを聞き届ける義務がある。

  • 「ここで私たちがどんなめに遭っていたかを、いつか本に書いて
    世間に知られせて欲しい」

    50年近い歳月をかけて著者は本書を世に送り出すことで約束を
    果たした。

    助産婦と看護師の資格を持つ著者は、結核患者の施設看護師から
    修道院付属の病院への転職を果たした。夜勤がないこと、そして
    何より婚約者が結核感染の可能性を心配してたから。

    夜勤は確かになかった。なかったが、夜通し仕事をしなければいけ
    ない環境だった。マグダラのマリアにちなんで名付けられたマグダ
    レン修道院の病院は、さまざまな理由で未婚のまま身ごもった女性
    たちの矯正施設であったのだ。

    1951年という時代、そして厳格なカトリックの教え。肉親や教区の
    司教によってマグダレンに連れて来られた女性たちは、彼女たちを
    支配するシスターの圧倒的な権力と監視の下で、ほとんど人間性を
    奪われた生活を強いられる。

    入所者同士のおしゃべりは厳禁、身重の体だろうが容赦なく課せら
    れる重労働、粗末な食事、出産の際には麻酔も使用されず、生みの
    苦しみに声を上げれば叱責され、出産時の裂傷さえ縫合することは
    許されない。

    そして、3年を修道院で過ごした後、子供は養子を求めるアメリカ人
    の手に渡り、母子は永遠に離れ離れになる。

    母になる喜びを感じるよりも、どんな理由であれ未婚で身ごもったこと
    に対する罪悪感を植え付けられた彼女たちは、一様にうつろな表情を
    していた。

    そこへ赴任した著者は、ある時は厳格過ぎるシスターにささやかな抵抗を
    見せながら、収容者たちに寄り添い、出産の世話をし、彼女たちの話に
    耳を傾ける。

    著者が結婚により修道院を去るまで、そこに収容されていた女性たちに
    とっては著者の存在が唯一の希望だったようだ。

    堕胎を許さないカトリックこその厳格さなのかもしれないが、未婚のまま
    母になる女性に対しては本書で描かれているほどではないだろうが、今
    でも偏見や差別は存在する。

    だが、本書に書かれている内容はあまりにも生々しく、悪寒さえ感じた。
    何故、思いがけない妊娠をしただけで女性だけが責めを負わなければなら
    ないのだろうと思う。相手の男性の生活は、何にも変わらないのに。

    唯一、救いだったのは子供と共に修道院を脱走し、人間性を取り戻した
    女性もいたことだ。

    名前は修道院。だが、実際には強制労働施設のようだったマグダレン
    修道院は1996年まで運営されていた。

  • 2016年10月23日に開催されたビブリオバトルinいこまで発表された本です。テーマは「ヤバい」。

  • 『マグダレンの祈り』を観た。つい2、30年前までこんな強制収容所のような修道院が実在したとは信じ難い。まさに宗教改革以前の時代である。たった一度の行いを重罪とみなされ、家族との自由な人生を奪われる姿が、レミゼラブルのバルジャンやフォンティーヌと重なった。が、バルジャンのように逃走した後己なりの償いとしての信仰から救われた者以外に、自分を捨てず単に逃げ出して自由を得た(だけの)者、従順過ぎるあまり精神を病んでしまった者がいた。逃げ出した者が正解であるように描かれていたが、これは単に異常なまでに権力の暴走した修道院への批判ととらえてよいのか。もしくは、男女差別の問題か。外の人間は修道院を「イカれている」とは言っていたが、外での倫理観は正常なのか。これが全て閉鎖されたという現在も、敬虔なカトリックの精神はアイルランドの地には強く残っているのだろうが(大多数はカトリックらしい) 、それはどこまで人々の生活を制限しているのか。宗教の影響以前にまず日本のようなきちんとした法治国家であるのか。渡航前に基本的な部分をもう少し調べる必要がある。

  • こんな時代があったんだ汗

  • 実話ですか……。凄く落ち込みました……吐き気がする。レイプされても女が悪くて更生施設行きとかあり得ない! こんな監禁施設がついこの間の1996年まで存続していたなんて恐ろしすぎる。今でも表に出ていないだけで、こういう施設はあるんだろうな。
    修道院に残された仲間たちのその後が気になります。見ている途中からその後まで、理不尽さに怒りが沸いてくる映画。

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