- Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
- / ISBN・EAN: 9784790233916
作品紹介・あらすじ
常勝を誇る小6女子カン・ナルは、水泳部のエース。でも、最近はライバルに負け続け、悩んでいた。ライバルの不正を疑ったことから引き起こしてしまった事件をきっかけに、大きく成長する姿を描く、瑞々しくさわやかな青春ストーリー。
第21回文学トンネ児童文学賞大賞受賞。
感想・レビュー・書評
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第69回青少年読書感想文全国コンクール 小学校高学年の部課題図書
とても読みごたえがあった。
韓国の教育制度は日本と似ていると思っていたが、クラブ活動に関しては全く違うのだと読みながら知った。
主人公カン・ナルの所属するソウル漢江地区の小学校の水泳部は、まるで日本の私立強豪校(高校)の水泳部のようだ。
日頃から食事も気を付け、大会前でなくとも毎日授業の始まる前に自主練をするナル。
そんなストイックな生活を続け表彰台も常連だったが、急に記録を伸ばしてきたライバルに勝てなくなる。
同じように競技の道を歩んでいた大好きな姉が、体育専門中学に進学後、記録が伸びなくなり飛び込み競技に転向してしまったことに納得がいかず、姉妹の仲がぎくしゃくしているところもとてもリアルに表現している。
そんな身の置き所がない状況で、プレッシャーに耐え兼ねたナルの心情と、とっさにとってしまった行動に、胸が痛む。
韓国の女の子は強気なイメージだが、ナルも同様で最初はちょっと面食らうが読んでいるうちに慣れてくる。
水泳部が舞台なので、中学生にも違和感なく読めるだろう。
勝負の世界の話だけに、小学6年という設定のわりに大人な感じでスピード感もある。
その小説の世界感と挿絵のホンワカした感じがちょっとずれているように感じたのは私だけだろうか。2023.7詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
2023年読書感想文課題図書、高学年の部に選定された作品です。
韓国の小学6年生のナルは水泳の強化選手です。負け知らずだったナルの前に現れた勝てない相手への焦り、憧れる姉への複雑な思い、そして恋心。とても丁寧に描かれています。
戸惑い、迷いながらも成長していく子どもたちを見守る大人たちがとてもあたたかく、包み込むような感じがとても素敵でした。 -
2023年読書感想文課題図書·高学年
韓国小学校の話
主人公のカン・ナルは小六女子。自由形でずっと優勝していたのに、このところライバルのキム・チョヒに負けていて、今日も5番レーンのスタート(予選一位は4番レーン)だった上に、途中追い越された動揺で四位。チョヒの水着に不正があると思ってコーチに訴えたり(自分でも水着のせいじゃないと本当は分かっているのに)、精神面の不調が激しい所からお話が始まる。ナルの精神が立ち直るストーリーで、言ってみれば古典的な定番とも言えるのだが、なかなか良かった。
良かったポイント
①近くて遠い国、韓国の日常が読める
韓国の部活は、日本のように自由ではないらしいということは知っていたが、なかなか韓国の子ども目線小説を読むことがなく、この本で実状が少しだけ分かった。
②展開の良さ
落ち込んだナルがうっかりやってしまったこと(これも定番)とその解決がさわやか。ああ、こういうネタぶちこんで来たのね、なるほど。と、もう一つのスッキリしない問題の解決とダブルで落ちます。
③仲間たちとの絆
落ち込んだナルを見守る水泳部の個性が楽しい。いわゆる水泳エリート達なのだろうけど、普通の感覚を持つ友人達。
④トップアスリートの心境
決勝進出できるタイムの選手が失格になって泣いているのを見て、ナルが「あの選手は、失格になったのがくやしくて泣いているわけではない。夏のあいだ、砂を一握りずつつみあげて砂の城を作ったのに、それがあっさりと倒されてしまってむなしいのだ。それに明日からまた砂をつみあげていかなければならない。そのはてしなさが胸をしめつけているのだろう。(P218)」
⑤水中の表現
全体を通してプールの描写多く、ドロッとした心情の多い内容なのに、全体的には表紙のような清んだ水色のような印象を受けた。
最初は勝つのを当たり前だと思っていたナルが、姉の競技変更などを経て心の成長していくのが良かった。
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2023小学校高学年課題図書
水泳のお話
友情あり恋愛ありスポーツありスポーツのライバルあり
小学生で彼氏が出来るって世の中進んでる、、笑
付き合って22日記念日なんてあるんだと思った笑
主人公がいつも光のところにいるわけではなくちゃんと闇の人間の醜さが現れている
勝ち負けももちろん大切だけどスポーツを通してなにを学び人間的に成長するかだよね
絵がとても可愛いかった -
子供が読書感想文に選んだ作品。小学生にはまだ早い恋愛の記載が気になった。小学生が一人で朝練する?鍵を預かっている?韓国では常識なのか?
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海外作品の中でも、韓国の小説は読みやすいな。
水泳に人生をかけている6年生の女の子が主人公の話だけど、特定のスポーツを続ける意味や、競争は相手以上に自分との戦いだということを、主人公の葛藤する様子から教えてもらえる作品。
小学生どうしの友達関係や、ほのかな恋愛話も、当人にとっては必死だろうけど、こちらから見ると微笑ましい。 -
2023年全国読書感想文コンクール高学年の部課題図書
読み始めから引き込まれる文章だったが、期待以上だった。どの子も真剣な様子、思春期の揺れる気持ち、友情など描き方が自然でチーム内で信頼しつつユーモアもあり、主人公の成長やライバルすらも同志として尊敬できそうな人柄であることも好印象。スマホ事情は日本とは違うのだろうが、読者が共感する部分やセリフが多いのではないだろうか?周りの大人達も理性がありペダベタしないが寄り添うべきところにいてくれる感じが良かった。余談かもしれないが、本の紙質が違う?(白く、手触り良い)見返し紙など装丁も雰囲気全部がマッチしていると思う。挿絵は全てカラーの水彩画で内容を補いつつ美しく表現されているが、子ども達が3頭身?4頭身?であるのが登場している子より幼く見えて違和感を感じた。原著も同じ絵(表紙は違う)5番レーンが予選1位ではなく2位であることが、主人公の悔しさを表していたのだと読んでからわかった。 -
漢江(ハンガン)小学校水泳部のエース、6年生のカン・ナル
全国ジュニア体育大会でライバル校のキム・チョヒに敗れショックをうける
8月末に開かれる小学校最後の大統領杯全国水泳大会にむけて練習を再開するが、チョヒの水着が気になり、新入部員のチョン・テヤンが気になり、自分の限界を感じて……
そして迎えた大会当日
チョヒが4レーン、ナルは5レーンに立ち
「テイク・ユア・マーク」
ナルとチョヒが同時に飛んだ
水泳にかける子どもたちの友情と初恋を描いた“瑞々しい青春ストーリー”
第21回文学トンネ児童文学賞大賞を受賞した韓国の児童文学作品
『ヒットラーのむすめ』『ピーティー』『リキシャ★ガール』などがある鈴木出版の児童文学シリーズ「この地球を生きる子どもたち」から、2022年6月刊
原題は“Lane 5”(2020年刊)
原作の横書き・左開きを縦書き・右開きにして、左右反転したイラストもあるとのこと