日本文学の論じ方―体系的研究法

著者 :
  • 世界思想社
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784790716372

作品紹介・あらすじ

国際的に活躍する第一人者が明かす、研究の奥義。北京・清華大学での連続講義をもとにした、作品論と文学史・文学史再編をつなぐための必携書-作品と概念、思潮、作者、読者…、ひとつひとつの考察を着実に進め、体系的に理解する方法を伝授する、未来の日本近現代文学研究者への「知」のバトン。

感想・レビュー・書評

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  • 2014年初版。
    文学研究する人のために書かれた本で、著者が北京の清華大学で2013年から翌年にかけて講義したものをもとにしたもの。5章から成る。
    著者は国際日本文化研究センター・総合研究大学院大学名誉教授。専門は文芸批評、日本文芸文化史。

    「第1章 論文の書き方」
    巻末の「あなたの論文を飛躍的に変える12箇条」とともに調査、考察、論述といった論文を書くことに必要なことをまとめる。

    「第2章 今日の「文学」研究」
    批評・研究の方法の歴史的変遷の概略を説き、最近の傾向の概略を整理する。作家論・作品論から読者論・テクスト論へ、そして文化研究・メディア論へ、多くの作品と作家を取り上げながら国内外の研究史を概観する。

    「第3章 日本文学研究の根本問題」
    「そのことは学生のうちから知っておきたかった」という内外の大学院生の声に応え、日本文学研究の根本問題を論じる。研究の前提となる基本概念や分析図式について、「文学」概念の変遷や言文一致運動に関する研究の再検討から、「西欧化=近代化」図式に縛られていることを考える。さらに欧米における文学概念の変遷についての考察。

    「第4章 文章研究の方法ー基礎論」
    作品と作家、読者の関係の原理を説き、作品および作品群へのさまざまなアプローチの仕方を示す。作品の相対的自立性と、時代相との関係を論じる。

    「第5章 作品論から文学史の書き換えへ」
    作品と作家を思想、文芸思潮、諸ジャンルの概念、メディア、リテラシー、生活文化などとの相互交渉を関連させて研究を進め、文学史の書き換えにつなげる方法を示す。次に作家の評価史を検討し、最後に表現概念の変遷をつかむ。

    著者は碩学である。驚嘆する。文学の知識がないので読み進めるのに最初は苦労したが、徐々に慣れて来た。論文を書く方法を学ぶとういうよりも難解な文学書を読んで学んでいるという有り様。

    図書館で借りて1回流し読みして、必要ないかと思って返却したが、やっぱり買って読もうと思い探し回った。インターネットで秋田県の書店に1冊あることが分かり電話した。しかし、送るサービスはしていないと断られた。そこで京都にある出版社に電話をしてみると1冊だけあるとのことなので、購入できた。世界思想社様には感謝します。

    何度も読み返して理解を深めたい。貴重な知識の山という感じで、勉強になることが多く楽しい読書経験になった。

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著者プロフィール

1947年生まれ。人間文化研究機構/国際日本文化研究センター名誉教授。総合研究大学院大学文化科学研究科名誉教授。

「2015年 『宮沢賢治 氾濫する生命』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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