- Amazon.co.jp ・本 (452ページ)
- / ISBN・EAN: 9784791752218
作品紹介・あらすじ
天地開闢、洪水伝説、天地を二分した黄帝と炎帝の戦争、牽牛と織女、奇想天外なフリークスの国など、道教や仏教によって改竄された神話を、本来の姿に復元し、ときにはコミカルな語り口で描く、気宇壮大、抱腹絶倒の物語大全。
感想・レビュー・書評
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中国の古代・古風ファンタジーを読んでいると、黄帝、炎帝、盤古、伏羲、女媧などの神々の名や、天地開闢、天地を二分した黄帝と炎帝の戦争などの神話、一度に十個の太陽が空に現れたときそのうちの九個を射落とした羿の伝説、そして伝説上の生きものなど、なにかしらの神話伝説、神々や生きものの名が登場する。今、読んでいる小説にも「炎帝」の神木、神話や歴史に関する問いを羅列した長編の詩『楚辞』のなかの「天問」「九歌」の名を模した神武などが描かれており、中国の神話についてはいつかちゃんと知りたいと思っていた。
序論では、神話の起源、労働との関係、宗教との関係、中国神話の特色などなど、「神話とはなにか」ということが記されている。「わが国にはむかしから神話ということばさえなく、わりと最近外国から輸入された」との一文は、まず最初にそうなんだと驚いた箇所だった。
また神仙説にも興味がある私にとって、神話が仙話化されていく、端的に言うと仙話が神話の領域に侵入していく変遷については、中国の神話ならではの面白いところだなと感じた。
上巻は開闢篇(盤古、 女媧 、伏羲など)、黄炎篇(黄帝、炎帝、蚩尤 など)、堯舜篇(名君主堯、その後継者の舜など)、羿禹篇上下(神話最大の英雄羿、禹、 鯀 など)が収録。
膨大な量の神話伝説が紹介されていてとても面白い。けれど面白くて勢いのまま読んでしまったせいで、誰と誰が親子で、誰と誰が夫婦で、誰と誰が兄弟でなどの関係性は覚えられないまま読み終えてしまった。その都度ちゃんと説明されていて読んでいて困ることはなかったのだけれど、相関図を作ればよかったなと若干後悔。
かなり多くの注釈や参考文献(『史記』『山海経』『列子』『楚辞』『淮南子』など)から引用されているので、それらに目を通してからまた本書に戻って来ると、面白さが2倍3倍になるはず。少しずつ参考文献も読んでいき、次回は相関図も作りながら再読したい。詳細をみるコメント0件をすべて表示