作品紹介・あらすじ
ブルジョア階級の抬頭そして現代音楽の出現と、二度も息の根を止められたオペラ。だが不死鳥の如く蘇るオペラの強靱な生命力の源泉とは-。モーツァルトとワーグナーを対照し、音楽の輝かしく豊かな可能性を、現代思想最先端の眼差しで解明する。オペラへの限りない愛の成果。
感想・レビュー・書評
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モーツアルトの「フィガロ」「ドンジョバンニ」「コシ」の3大ブッファとジングシュピール「魔笛」、そしてワーグナーの「トリスタン」「マイスタージンガー」「パルシファル」をそれぞれ対比したものとして描き、Rシュトラウスの「サロメ」「薔薇の騎士」へのつながりを哲学的に分析した難解な本です。しかし、理解できないまでも、オペラの陶酔の世界に沈潜できるということで、幸せを感じながら読むことが出来る本でした。「フィガロ」では代替不可能であるいくつかのカップルに比べ、「コシ」の愛が交換可能であるという皮肉は確かにくだらない脚本でありながら、哲学的解釈を行うことが出来ることに驚きです。そして変装オペラの多さにも改めて驚きました。その変装にもいろいろな意味があるのですね。オペラは二度死ぬというタイトルの意味は不明でありましたが、最後に007の話が出てくるところに意味?
著者プロフィール
1949年、スロヴァニア生まれ。
リュブリアナ大学社会学研究所上級研究員、ロンドン大学バークベック校国際ディレクター。
ラカン派マルクス主義者として現代政治、哲学、精神分析、文化批評など多彩な活動をつづける。
翻訳された著書に、『終焉の時代を生きる』(国文社)、『ポストモダンの共産主義』(ちくま新書)、
『パララックス・ヴュー』(作品社)、『大義を忘れるな』『暴力』(ともに青土社)、
『ロベスピエール/毛沢東』(河出文庫)など多数。
「2013年 『2011 危うく夢見た一年』 で使われていた紹介文から引用しています。」
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