- Amazon.co.jp ・本 (446ページ)
- / ISBN・EAN: 9784791769223
感想・レビュー・書評
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前半は心臓医療の話で、後半は進化論的な心臓の話。
心臓治療には多くの人々が関わってきたことが分かる
あふれる情熱で突き進む人、クレイジー(自分の心臓にカテーテルを入れるような)人、あるいは失敗した人などとにかく多くの人が心臓治療の道を拓いてきた。
心臓だけはどうしても治療が難しいためにその発展はここ100年ほどである。
なにしろ心臓を止めたら5分も持たずに死んでしまう。
人工心肺というのが実に画期的だったことがよくわかった。
後半はなぜ心臓に疾患ができるのかに着目している。
そこでは他の動物の心臓と比較したり、進化論的発想で迫ってみたりと毛色が変わって面白い -
本書は心臓のストーリーを語る。なぜ心臓は、他の身体器官より壊れやすいのだろうか? 心臓の故障のストーリーは太古の時代の端を発する。すなわち、私たちの祖先が単なる単細胞生物だった何億年も昔の時代にまでさかのぼる。だが、心臓の科学のストーリーははるかに新しい。たった6000年前に始まったばかりなのだから。さらに言えば心臓の修理という点になると、治療のために生きた心臓に最初の切込みが入れられた19世紀の末まで待たねばならない。この切込みは次々と新たな種類の切込みを生み、やがて母が胸部の皮膚に入れられたものに近いナイフの切込みへと発展する。また本書は、心臓の謎を語る。この謎は人間の本性に関わるものでもあり、ようやく最近になって解かれ始めたに過ぎない。
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心臓病治療の歴史。
1893年、アフリカ系アメリカ人のウィリアムズによる初の心臓手術。それに先立ち、以下の歴史が紹介される。古代ローマのガレノスによる観察、16世紀ダ・ヴィンチによる解剖とスケッチ。17世紀ハーヴェイによる血液循環の発見。
20世紀初頭フォルスマンによる心臓カテーテル。この実験の描写は読んでいるだけでザワッとなる。同じ頃のギボンによる人工心肺と、1958年グレートバッチによるペースメーカー開発。
一方で、心臓移植の研究。1972年に行われた移植では、脳死状態が人間の死にあたるか、人種問題も絡んで裁判沙汰に。拒絶反応と、その対策として発見されたシクロスポリン。これは冬虫夏草から発見されたそうだ。
別の解決策、人工心臓。原子力で動く心臓の開発が試みられたことは今から見ると驚き。
動脈硬化との戦い。遠藤章のスタチン発見。アテローム性動脈硬化の原因は攻撃的すぎる免疫系、そしてそれはヒト進化の過程で病原菌と戦うべく遂げた進化の結果。心臓病が増えたように見えるのは、心臓病を発症するほど人間の寿命が延びたからに過ぎないという説。 -
請求記号 491.323/D 97