社会学の使い方

  • 青土社
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  • Amazon.co.jp ・本 (196ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784791769452

感想・レビュー・書評

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  • 「リキッド・モダニティ」の考察で著名なバウマン氏の対談形式での四部作。社会学とは既存の世界の常識やドクサに疑念を投げかけるヒントを与えるものという議論など、「社会学するとはどういうことか」等について文学、科学、そして昨今のSNSなどまでを切り口にしながら論が進められる。

    『見慣れたものを見慣れないものに、問題のないものを問題のあるものに変えて、人間の世界を目に見えないドクサから引き出すのが社会学の仕事』であり、それ故に『社会学は批判的であることが前提なのではなく、自らの使命に忠実な社会学が批判的』なのだとのバウマン氏の言に、彼の思想が現れている。

    対談内容は、インタビュアー含め、よくこれほどまでの広範な切り口で深掘れるものだと感嘆するしかない。とにかく引き出しが豊富で飽きない。それでいて、社会学の用語はもう使わないことに決めたとのバウマン氏の言の如く、彼のこれまでの著作と比べて格段に読みやすい(とはいえやはり難解ではありますが…笑)。

    知のキャッチボールとでもいうものを楽しみたい方におすすめです。

  • 社会学に関する私の学習レベルは、有斐閣Sシリーズや有斐閣アルマから出版された入門書を一度読んだ事があると言う程度です。
    そのレベルだと、本書の内容は難しく感じました。
    本書は対談形式であり、バウマン氏個人の研究に関する基本書や専門書ではありません。
    私は、本書のタイトルからすると、初学者に対して、社会学における研究成果がどのように身近な生活に活用されているかを簡単に紹介した入門書に近い本であろうと勝手に想像していました。その側面も少しはあったかとは思います。しかし、どちらかと言えば社会学の研究を志す方が、多様な価値基準が並存する現代社会において、社会学の目的やその研究が持つ意義に疑問を感じられた際に、道標として読むべき内容であったのかなと思います。
    ある程度、学部レベルでの社会学の修得を経て、社会学を活用して何かを達成したいという目標を持った後で読む方が良いのかもしれません。
    私ももう少し勉強を進めてから再読しようと思います。

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著者プロフィール

1925年、ポーランドのポズナニのユダヤ人家庭に生まれる。ナチス侵攻によりソヴィエトに逃れ、第二次世界大戦後ポーランドに帰国。学界に身を投じワルシャワ大学教授となるが、68年に反体制的知識人として同大学を追われる。イスラエルのテルアヴィヴ大学教授などを経て、現在リーズ大学名誉教授、ワルシャワ大学名誉教授。現代の社会学界を代表する理論家である。邦訳書に『個人化社会』(青弓社)、『コラテラル・ダメージ――グローバル時代の巻き添え被害』(青土社)、『コミュニティ――安全と自由の戦場』(筑摩書房)、『リキッド・ライフ――現代における生の諸相』『リキッド・モダニティ――液状化する社会』(ともに大月書店)、『廃棄された生――モダニティとその追放者』(昭和堂)など多数。

「2012年 『液状不安』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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