切り裂きジャックに殺されたのは誰か: 5人の女性たちの語られざる人生

  • 青土社
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  • Amazon.co.jp ・本 (421ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784791774999

作品紹介・あらすじ

鎮魂と告発のノンフィクション
1888年ロンドン。5人の女性たちが2か月のあいだに殺された。この「切り裂きジャック」と呼ばれる殺人鬼がいまなお人びとの関心をひく一方で、被害者の5人の女性たちにはこれまで130年以上ものあいだ一筋の光もあてられてこなかった。家庭内における暴力、社会的な差別、そして貧困や病から助かることのできない構造。5人の女性たちのこれまで誰もひもとこうともしなかった人生を1頁ずつ丁寧にめくるとき、不合理に満ちた過酷な社会状況のなかで生きた彼女たちの姿が浮かび上がる。連続殺人事件の被害者の人生をよみがえらせ、社会の暴力をつまびらかにする、気鋭による鬼気迫るノンフィクション。

感想・レビュー・書評

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  • 貧困の時代のシスターフッド【ブレイディみかこのSISTER "FOOT" EMPATHY】 - ブレイディみかこのSISTER "FOOT" EMPATHY | SPUR
    https://spur.hpplus.jp/culture/sister_foot_empathy/g1-9Cw/

    「切り裂きジャックに殺された5人は売春婦」とされてきたが…100年以上経った今明らかになる、女たちの“驚きの真実” | 文春オンライン
    https://bunshun.jp/articles/-/58951

    『切り裂きジャックに殺されたのは誰か 5人の女性たちの語られざる人生 (原題)The Five』ハリー・ルーベンホールド著(青土社) | レビュー | Book Bang -ブックバン-
    https://www.bookbang.jp/review/article/747833

    『切り裂きジャックに殺されたのは誰か 5人の女性たちの語られざる人生 (原題)The Five』ハリー・ルーベンホールド著(青土社) 3520円 : 読売新聞オンライン
    https://www.yomiuri.co.jp/culture/book/review/20230116-OYT8T50094/

    青土社 ||歴史/ドキュメント:切り裂きジャックに殺されたのは誰か
    http://www.seidosha.co.jp/book/index.php?id=3726

  • これまで注目されてこなかった切り裂きジャックに殺害された被害女性たちの人生を丹念に追跡し、彼女たちの多くが従来言われてきたような売春婦ではなかったことを証明する。同時に、彼女たちを「ただの売春婦」としてしか見てこなかった歴史に対してその歪な価値観を批判する。19世紀末ロンドンの社会状況は過酷で、転落していく彼女たちの物語を読むのは気力が要った。

  • 「ホワイトチャペルの殺人鬼」「レザー・エプロン」。イギリス・
    ロンドンの貧困地区で連続した殺人事件が起きたは19世紀末。

    すべてが一人の犯人による犯行ではない。ロンドン警視庁に届いた
    犯人からを思われる手紙にあった署名は「Jack the Ripper」。

    後に「切り裂きジャック」と呼ばれる連続殺人犯。未解決事件で
    あるだけに、現代でも犯人像の考察が行われたり、ミステリーの
    モチーフになったりしているので、古い時代の事件でも人々の
    興味を掻き立てる。

    正式に切り裂くジャックの犠牲者として認知されているのは5人の
    女性たちだ。彼女たちの名前こそ公になっているが、一括りに
    「売春婦」とされて来た。

    本書は、切り裂きジャックそのものを追うのではなく、被害者と
    なった女性5人の生きた軌跡を追い、彼女たちの人生を肉付けして
    いる力作だ。

    「売春婦」とされた女性。しかし、彼女たちは決して元から売春婦
    として暗がりの路地に立っていた訳ではなかった。

    女性が自立することなど不可能だった時代。彼女らは結婚に失敗
    したり、大黒柱だった夫が亡くなったり、家を失ったりした女性
    たちだった。

    不衛生で狭い木賃宿に泊るほどの収入はなく、貧窮院に入ること
    さえ出来ず、路上で暮らすしか選択肢はなかった。そんな彼女たち
    は、ある夜、切り裂くジャックの犠牲者となり、事件後から現代
    まで「売春婦」と呼ばれて来たのだった。

    これほど古い記録が残されていたこと、それを根気よく調べ上げた
    著者に脱帽。

    女性たちの末路は、決して他人事ではない。ひとつ歯車が狂った
    だけで、最底辺の生活までに堕ちて行く。それは、セーフティ・
    ネットが発達した今でも変わりないのではないか。

    大作だし、力作だし、「売春婦」とされてしまった女性たちの
    名誉回復にもなっていると思う。だが、翻訳が少々読みにくい。

    イギリスで使用されている単位表記(距離とか金額)だが、距離こそ
    括弧書きで日本で使用されている単位表記があるが、金額も日本円
    表記をして欲しかったなぁ。

  • 切り裂きジャック事件の被害者5人の、人生こんなんだったんではないかという話なので、実話ではありませんが差別的先入観で認識していた事には気付かされました。

    お酒の飲み過ぎには、自分も気を付けようということにも改めて気付かされました。

  • 有名な「#切り裂きジャック 」。その被害女性たちはこれまで130年以上、無名の女、殺されても仕方のなかった女、であるかのように、十把一絡げに扱われてきた。
    けれど、#ハリールーベンホールド が彼女たちの埋もれていた人生を掘り起こし、それぞれの姿をまざまざと蘇らせる。彼女たちの人生を知ることで、当時の過酷な社会の有りようも見えてくる。暴力、貧困、病。そして女性差別。やり直しはきかず、殺されてもなお差別は続き、貶められた。
    とにかく細部まで丹念に描かれていて、それが5人分なので、結構な分量。でも、あの時代と、あの時代の貧しく生まれた女性が置かれた立場を知ることができた。現代でも、未だ被害者を貶める言説を見かけることがあるから、130年経っても、私たちはあまり変わらない世界に生きているのかも…。

  • 切り裂きジャックの5人の公式認定被害者をめぐるノンフィクション。当時の英国の労働者階級の置かれていた状況について。

  • 現地の博物館に行った際は、とても重苦しい雰囲気だったことが記憶にある。語られなかった彼女たちへの鎮魂とともに、この事件の解明を切に願う。

  • 九州産業大学図書館 蔵書検索(OPAC)へ↓
    https://leaf.kyusan-u.ac.jp/opac/volume/1411012

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