大国の興亡 上巻 決定版: 1500年から2000年までの経済の変遷と軍事闘争

  • 草思社
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  • Amazon.co.jp ・本 (452ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794204912

作品紹介・あらすじ

大国はなぜ没落するのか?その原因を膨大な歴史的事実から検証した名著。原注を付した決定版。

感想・レビュー・書評

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  • 1993年刊行。著者はイェール大学J・リチャードソン・テイルワース歴史学講座教授。全2巻中の1巻目。

     ルネサンス以降の、俗に近代国家と言われる国家における経済状況の変遷と、外交・軍事における国家間闘争の実相を、大河の如き筆致で描く。

     大部であるが、歴史の中で見ると、国家(あるいは前近代的な国家的集団)の富と経済力、そして国家間でのヘゲモニーは変転し、かつ相対的なものであることが感得できる一書。

     なお、産業革命前のイスラムとハプスブルグ家には要注意。
     上巻は、第一次世界大戦終結までを叙述する。

  • 国の衰退はどのようにしておこりうるものなのかを歴史とともに振り返りたく思い手にとる。

    主にヨーロッパの国々の興隆と衰退の推移を歴史背景や社会的要因などの明確な資料を基に考察している。

    相対的に二国間もしくは他国間を考えることでどのような経済要因や社会要因が興亡に影響を与えるのかを述べている。

    総じて、互いを侵略しあう時代においては、強大な軍事力(軍隊、武器、船など)を維持できるだけの経済力が要因となって興亡が決定されていると述べる。

    もちろん時代や国ごとに要因は考察してる。
    軍隊を構成する人民の社会的な特性(ドイツ軍の厳格な性格、教育機関の発達による有能な軍隊隊長の育成、など)、農業の生産力や土地の風土などもそれである。

    また武器を生産を民間に行わせることでの競争によって強力な武器や戦艦が生まれやすい風土が生まれ、それによってイギリスでの産業革命がおこったことなども個人的には興味深かった。

    しかし歴史的に振り返っても、信頼ある金融機関や貿易で膨大な利益を有していない国は、いずれ衰退する。
    またはそれに慢心することで成長が止まり、気づいたころには別の国が恐るべきスピードでその国が有していた強みを上回ってしまうことで被害をこうむる。

    相対的に争うにあたって、No.1でなければ意味がないのだなと強く思った。
    例えば、強大な経済力を誇っていたイギリスは、当時ヨーロッパと比較するといまだに高い経済力を有していたにも関わらずアメリカに経済力で圧倒されたために勢力を弱めた。

    フランスはヨーロッパの大陸では莫大な戦艦を有していたが、イギリスがより強力な戦力を有していたために思うような侵略ができなかった。

    個人的には、イギリスの動向は戦後Japan as No.1と称された後の現在の不振に似ているのではないかと思った。
    裕福が悪いことでは少しも思っていないしそうあるべきだと思っているが、成長をとめてはならないのではないかと思う。

    細かい知識がちりばめられているので気軽に世界史を振り返る意味でも
    勉強になりました。

  • ケネディってケネディ家のケネディ?

  • 1519年から1918年までの主要な大国の国力(特に軍事力)を分析する。
    日本についても、大きくはないが触れられている。

  • これを読むと銀河英雄戦記やアルスラーン戦記が数倍面白い!と思ってしまいました。
    歴史の読み方として、軍事的側面や楚となる経済力、産業力を踏まえた国力分析による国の興隆を、こんなにも壮大なスケールでありながら、洋書要所抑えながら分析している良書。
    専門書はもしかしたら五万とあるのかもしれないが、このスパンと地理的規模で見事にまとめ上げている一般向けの書籍はかなり貴重なのでは。自分の中ではサピエンス全史以来の傑作。

  • 『BQ』(林野宏著)ビジネスパーソンに必須の23冊
    7国家とは何か

  • 「歴史は繰り返す」

    それを実感させてくれる本です。
    本書のテーマは「近代」(ルネサンス以降)における国家のちからと国家間の知から関係を記した本になっています。各国の経済の変遷を読み解き、かつ、国家間の政治、関係性をも取り上げられ、世界史という大きな枠組の中で、500年の国の繁栄から衰退までをミクロな視点から知ることができる本です。

    世界の歴史を俯瞰するという意味で非常に重要な面白い読み物ではないでしょうか。
    上巻だけでも400ページ近くあり、とても読み応えがあります。

    上巻は近代に入ったと考えられている1500年から、第一次世界大戦が終結に向かう1918年まで。

  • (要チラ見!) 覇権盛衰

  • 欧州と米国の歴史を概説的に理解するだけでなく、地理や経済など様々な
    切り口から、ヨーロッパの近代的歴史の変遷を理解する事ができる一冊。
    是非、西洋史学を志す人、西洋史の知識を頭に入れたい人には必見の
    本です。翻訳なので、ちょっと回りくどい言い方が多いですけれど、為には
    なると思います。

  • 20100618
    ポール・ケネディ
    1500年代から現代にかけての世界のパワーバランスの変遷。
    まあ基礎知識としていいのでは。

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著者プロフィール

山本文史

近現代史研究家。1971年フランス・パリ生まれ。獨協大学英語学科卒業、獨協大学大学院外国語学研究科修士課程修了、シンガポール国立大学(NUS)人文社会学部大学院博士課程修了。Ph.D.(歴史学)。著書・翻訳書にアザー・ガット『文明と戦争 上下』中央公論新社、2012年(共監訳)、『検証 太平洋戦争とその戦略(全3巻)』中央公論新社、2013年(共編著)、Japan and Southeast Asia: Continuity and Change in Modern Times (Ateneo de Manila University Press, 2014) (分担執筆)、キショール・マブバニ『大収斂――膨張する中産階級が世界を変える』中央公論新社、2015年(単訳)、『日英開戦への道 ―― イギリスのシンガポール戦略と日本の南進策の真実』中公叢書、2016年(単著)、ニーアル・ファーガソン『大英帝国の歴史 上下』中央公論新社、2018年(単訳)などがある。

「2020年 『イギリス海上覇権の盛衰 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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