作品紹介・あらすじ
いくら考えてもいいアイデアが浮かばない。どこかにいい情報かヒントでもと、ついインターネットで検索していまう人も多いだろう。ところが過剰な情報は、かえってひらめきを阻害するという。もちろん、ただ考えていてもだめだ。画期的なブレークスルーに至るには、それなりのプロセスがある。コンピュータには真似のできない人間固有の「考える力」を駆使して、頭の中に眠るひらめきを呼び覚ますにはどうすればいいか。一段上の知の高みに上るための道案内。
感想・レビュー・書評
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「学び」
前半はひらめき、考えることについての話だが後半はどちらかというと“どう生きるか”みたいな話まで踏み込んでいた。
・考えることは速く正確に解を導きだすことではなく複雑さの中で思考を止めない事だと認識した。一方でそれすらより細かく分解すればコンピュータ的になるのではと感じ、本質的な意味でのひらめきは分からないままだった。
・質とは何かについて考えるきっかけになった。世の中で量の対比として用いられる質のほとんどが量/量で表されるのだろう。とすれば「質を手に入れるにはまず量こなさなければ」という考えが論理的に理解できる。質は量の対比ではなく量により構成されるものだからだ。
・記憶についての考察は、嫌われる勇気の内容を科学的に推奨していて興味深かった。結論、人間は現在の自分に都合のいいように過去の出来事を解釈すると。だから因果関係で物事をとらえることにあまり意味はなく、これからどうしたいかを考え続ける必要があるんだと。
「言葉」
“考える”世の中の複雑さを具体的、多面的にとらえる思考
(速く正確には、“処理”なんじゃないかな)
“質”分母を考慮した量
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著者プロフィール
1953年生。京都大学理学部および同大学文学部哲学科を卒業。大東文化大学文学部准教授(哲学・論理学)。サイエンスライターとしても活動。『数学・まだこんなことがわからない』(91年度講談社出版文化賞科学出版賞)、『「複雑系」とは何か』(講談社現代新書)など多数。
「2011年 『神が愛した天才数学者たち』 で使われていた紹介文から引用しています。」
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