- Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
- / ISBN・EAN: 9784794217905
作品紹介・あらすじ
「スイカ」「パスモ」「イコカ」などの電子乗車券や「エディ」「ナナコ」などの電子マネーには、すべてソニーが開発した「フェリカ」という非接触ICカード技術が使われている。電源を搭載せず高速で正確に認証できる、世界でも図抜けたレベルの技術開発に成功したソニーが、じつはこの技術が生み出す新ビジネスの展開には失敗しているという。どういうことか。開発当事者をはじめとする広範な取材から「フェリカ」をめぐる技術とビジネスの問題を徹底検証する。
感想・レビュー・書評
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フェリカの生い立ち、目指そうとした所(物販ではなく管理者としての収入)、チップの構造、現在の乱立の原因など、興味深く読んだ。
フェリカのプログラミング本もあるそうで、それを読むのも面白いかもしれない。
それにしても、最近Androidで入ってきているnfcを見ると、なにやら切なくなってしまいます。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
2010年11月刊。
本屋さんで表紙の FeliCa ロゴが目に留まり、読んでみました。
非接触 IC カード「FeliCa」(フェリカ) の開発ドキュメンタリーです。
サブタイトルに「ソニーが技術開発に成功し、ビジネスで失敗した理由」とあります。
技術的な話よりも、ビジネス寄りの話が中心です。
最初はビルの入退場 IC カードからスタートして、電車の電子乗車券、そして電子マネーへ。
Edy も Suica も nanako も WAON も、みんなソニーが作った同じ FeliCa という規格で作られている IC カードなのに、なぜ別々の電子マネーになってしまったのか。
FeliCa の開発者は「本来は、電子マネーが乱立するはずはなかったんです。ひとつの決済手段として、みんなが共通に使える電子マネーになるはずでした」(p.13) と言います。
FeliCa の電子マネー機能は、本来は IC カードで利用したサービスの代金を回収する手段として用意されていたものだったのが、ソニーが立ち上げた Edy のビジネスによって、「電子マネー」そのものが目的に変わっていく様子が描かれています。
驚いたのは、JR東日本は最初は Suica の中に電子マネーとして Edy を入れようとしていたのに、ソニー側(ビットワレット)がそれを拒絶したというエピソード。
「Edy は単独で展開するビジネスだから、JR と組む必要はない」との経営判断だったそうですが、現在の電子マネーの利用率では、Suica がトップ(2位は PASMO)で、Edy は Suica の半分に留まっています。
もし、Suica の中に Edy が入っていたら、Edy が電子マネーのスタンダードになって、電子マネーがこんなに乱立することも無かったかもしれませんね。
(2011/01/21 読了) -
フェリカの開発と、そのビジネス展開に関して。
フェリカの技術的な開発は、宅配系の管理から始まり、それがポシャったあとに、オクトパスカード、JR等に採用されていき、順調に進む。オクトパスカードでは、マイフェアと争い、その際に技術開発が進んだ結果、採用された。
ビジネス的な面では、JR 東と組まずに、単独で Edy を運営していこうとしたことが、失敗した原因として挙げられていた。当初、JR 東は Suica マネーを独自に運営せず、Edy を電子マネーとして Suica に入れることを考えていた。開発担当者であった Sony の日下部さんもそのように考えていた。しかし、事業部では Sony 単独で事業を進めることにこだわり、Edy が Suica に乗らないような領域を使う仕様にしてしまった。
もし、その時 Edy が Suica に乗り、FeliCa で唯一の電子マネーとして使われていたら、もっと便利になっただろうし、 Sony の FeliCa 関連の事業も発展していただろう。
消費者に真に便利なものを提供することを考えていく必要性を考えさせられた。 -
失敗から学ぼう!
NFC方式のIDカードであるフェリカについて、技術的な面とビジネスの面の両面から学ぶことができます。
私は文系の人間なので、技術的な面は他のサイト等で学びながら読み進めていく必要がありました。
ビジネスの面からは、先見性、意思決定、リスク分散など多くのことを学べました。
海外のビジネスにも触れているので、大変視野が広がりました。一読をお勧めします。 -
バーチャルフェリカの道。
開発者ビジネスモデルを持っていた話。
今は別のところで手腕を発揮しているともきく。
クラウド時代の突入のビシネス感を当時持てていたかで変わる未来様相。
2019年になってようやく電子マネーが統計的にも当たり前化したがSuicaの力が限りなく大きい。
そのベースとなるFelicaそして電子マネーと化してしまったEdyの流れを本書で学べる。 -
常々そのお店でしか使えないプリペイドカードに何の意味があるんだろう?と思ってきたのだけど、フェリカが元々はマルチな機能を持った決済手段になろうとしてたものの様々な思惑によって辿り着けなかったものだったんだね。ソニー側の硬い頭や企業のエゴが残念です。
日本にオクトパスカードあったら良かったのに。サービスありき、ビジネスモデルありきという目的があってこそというのを忘れないようにしたい。パスモのように相互利用の価値に理解ある会社が増えることを願う。
エンジニアながら日下部さんの先見の明がすごすぎる。
香港行ったらオクトパスカードを利用してみたいな。
LSI 半導体
SRAM 半導体メモリの一種、記憶素子
システムインテグレーター
エスクロー マニュアルを作成し万が一の時誰でも見れば作れるようにという対応策
インレット
AVCSD オーディオビジュアルコンテンツスーパーディストリビューション
サイバネ
ディファクトスタンダード事実上の業界基準
戦術の間違いは戦略で補えるが、戦略の失敗は戦術では補えない
ボックスビジネス物販よりオペレーター運営者
ネット時代に売るのはコンテンツではなくライツ視聴権
TASPO=マイフェア(オーストリア ミクロン社)
ボックスビジネス 物販 キャピタルゲイン 売却益
インカムゲイン 運用益
全部の要求に応えようとしたものと、無理と諦めたものの差は大きい。
そうか、資本金が無駄に多いところも何か問題があるのか。金融機関からの融資が受けられないから増資もあるんだね。 -
ソニーが1997年に香港の公共交通機関向け非接触IC「オクトパス・カード」の生産を始めてから、フェリカICチップの累計出荷数は、2010年6月末時点で4億6千万個を突破したとのこと。
殆どのガラケーにはモバイルフェリカICチップが載っているし、ナナコもワオンもスイカもパスモも電子マネーの種類は違えど基盤はみなフェリカなわけです。
タイプAとかタイプBとか、国際的にみれば非接触ICのライバル規格が存在するにも関わらず、少なくとも国内市場を席巻しているという点では素直に凄いなあと感じるわけですが、その規模感がそのままソニーの収益に繋がっているかというと、そういうイメージはない。
技術で勝ちビジネスで負けた、ソニーの非接触IC事業の20年余にわたる歴史を振り返るドキュメンタリーです。
焦点は、ソニーが独自に進めたビットワレットによる電子マネー”Edy”事業の失敗に当てられています。
実はJR東日本がスイカを出したときに、ビットワレットが提携して、決済手段としてエディを載せる道もあったとか。
ここでうまく提携できていれば、スイカやパスモが別規格の電子マネーとして展開されることはなかったことでしょう(それでもナナコやワオンは出てきたかもしれないけど)し、その後ビットワレットが楽天に買収されるようなことはなかっただろうと思います。
が、その果実をソニーがうまく吸収できていたかどうかはまた別の話という気もします。
モノ作りをやってきた会社がオペレーションで儲けるには、相当の戦略性が必要になるわけで、その点やっぱりAppleは凄いな、と改めて思わされます。
まあそれはそれとして、本来、決済の「手段」でしかないはずの電子マネーをアプリケーションと切り離して独自に展開しようとしたことに無理があった、という点には重要な教訓が込められている気がします。 -
今さらながら読んでみた。途中技術的な部分でやや分かりにくい説明はあったものの、全体的に面白かった。理由は二つで、単純に読み物として面白い、もう一つが NFC やフェリカというものがどういったものなのかが理解できた事。
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・パスモ成功
・モノ売りからサービス売りへ
・セキュリティ高