もう一つの地球が見つかる日: 系外惑星探査の最前線

  • 草思社
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本棚登録 : 60
感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794219213

作品紹介・あらすじ

太陽系以外の惑星、つまり地球から遠く離れた恒星を回る惑星を「系外惑星」という。この系外惑星の探査は現在、科学界でも最も熱い領域となっている。1990年代以降、数々のブレイクスルーにより、遠い星を周回する惑星が数百個発見され、さらにはその惑星の大きさや軌道、組成までもが次々と明らかになっているのだ。地球外生命の証拠をとらえる日もそう遠くないだろう…。生命は地球にしか存在しないのか、地球のような惑星は他にはないのかという、人類はじまって以来の疑問に、今、答えが出ようとしている。系外惑星探査の歴史から技術的背景、将来への展望、発見に次ぐ発見で熱気溢れる研究現場の興奮までを、第一級の研究者が描く科学ノンフィクション。

感想・レビュー・書評

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  • 系外惑星探査の歴史を第一線の研究者が書いたもので臨場感があります。
    専門用語の注釈もある程度巻末に附されていてわかりやすいですね。
    褐色矮星や著者が関わった系外惑星の直接撮像についてもページが割かれていて、幅広い分野に触れることができます。
    内容的にはもうだいぶ古くなってしまっていますが、それがこの本の価値を減ずるものではありません。

  • 子供の頃みたカール・セーガンのコスモスで、系外惑星の発見を「天文学者の夢」として扱っていたのを考えると、現在の状態は隔世の感がある。テクノロジーの進歩の賜物だろう。ETの発見も時間の問題か。わかりやすい形でみつかるとよいなあ。

  • 系外惑星、すなわち太陽系とは異なる恒星系に属している惑星の存在を探索の歴史といまをわかりやすく紹介した本です。何光年も離れた恒星のそのまたまわりをめぐる惑星をどうやって見つけるのか、読むまでは全く想像もつきませんでした。 おもに以下の3つの方法で探すとのことです。

    ①ドップラー法
    恒星のまわりを惑星が回っていると、惑星に引っ張られるため、恒星が周期的に少しふらつきます。その恒星のふらつきをドップラー偏移(救急車が近づくときと遠ざかる時で音程が変化して聞こえるあれの光版)を利用して測定する方法。

    ②トランジット法
    系外惑星が恒星の前を通ると、惑星に遮られて恒星の光が周期的に弱まるという現象を利用して系外惑星を見つける方法。

    ③惑星の光を直接とらえる方法
    上2つの方法は、恒星の動きや光の周期的な変化で惑星の存在を間接的に推測する方法ですが、それとは別に惑星の光を直接とらえる方法が近年確立されたとのこと。「地球は可視光線で見ると太陽の数十億分の一の明るさしかなく、地球の300倍の質量をもつ木星でさえ、地球より多少明るく見えるに過ぎない(p.188)とのことで、これまで不可能と考えられてきたようですが、大気によるゆがみ(星のちらつき)を極限までおさえる「補償光学」の技術や明るすぎる恒星の光を抑える技術などによって、近年続々と惑星の姿が画像として把握できるようになってきたとのことです。

    当然ながら大きな惑星ほど見つけやすく、木星程度の惑星は数多く、地球の数倍程度の大きさの「スーパーアース」まではいくつか見つかっているようですが、本書の執筆時点ではアース・ツインと呼ばれる地球と同程度の惑星は見つかっていないとのこと。ですが、見つかるのも時間の問題だろうとの結論。最後には地球外生命体の発見可能性についても触れられていて、近い将来E.T.の存在が確かめられる可能性はかなり高いと結論付けられていて、興味深いです。


    フランスの哲学者で近代社会学の創始者と目されることも多いオーギュスト・コントは、人間の知識の限界を考察した際、われわれ人間には、未来永劫、星特有の性質は理解できないといっても大過ないと考えた。千八百三十五年に著した『実証哲学講義』第二巻の中で、コントは次のように述べている。「星の問題について言えば、どのような研究であれ、最終的に視覚による単純な観測に訴えることのできないものが・・・われわれの手に及ばないのは必定である・・・星の形状、大きさ、運動を確定できるかもしれないと想像はできても、星の化学的組成や鉱物学的構造の研究はどうやってもなしえないだろう・・・星の化学的組成は言うに及ばず、星の密度すら確定するのはまったく不可能である・・・さまざまな星の真の平均温度に関してはいかなる見解にも到達しないと思われる。」(本文p.16)
    コントの素朴な不可知論をよそに、物理学者・天文学者は星からの光に含まれる様々な情報から天空の星の化学的組成や鉱物学的構造、密度などを解き明かしてきました。本当に科学者というのは勝つことはなくても負けることもない連中だなぁと思います。

  • 私には専門的すぎた。もう少し知識をつけてから読みます。。

  • 専門的なことは解らなくても、天体観測の分野は日々発展進歩している様子が解った。このような本を読んでいると、単純にわくわくしてきて、自分もまた望遠鏡で夜空を見上げたことを思い出す。もちろん、ちっぽけな望遠鏡に過ぎないのだが、実際に自分で見た月面や木星の姿にいたく感動したものだ。10年以上前に家族全員で眺めた、獅子座流星群のその流星の数と大きさと明るさはほんとうに素晴らしかったです。私の生存中には二度とこのような天体ショーを見ることができないことは、天文学的にわかっています。それが、悲しい。

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