文庫 「自然」という幻想: 多自然ガーデニングによる新しい自然保護 (草思社文庫 マ 6-1)

  • 草思社
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  • Amazon.co.jp ・本 (382ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794225153

作品紹介・あらすじ

自然を「元来の姿」に戻そうとしてきた自然保護活動。
外来種を徹底的に駆除、手つかずの自然から人間を遠ざけ、人工物を撤去……。
しかし、それで本当に、地球の自然が守れるのか?
著者は「手つかずの自然こそ至高、自然を元の姿に戻すべき」というこの価値観が、
じつはアメリカでつくり出された「カルト」であり、科学的にも、費用対効果からも、
実現不可能な幻想であると、世界各地の実例から示していく。
自然を「かくあるべし」と限定してきた過去の自然保護のあり方を批判し、
自然をもっと多面的なものととらえ直して、多様な現実的目標設定の下で
自然を創り出す「多自然ガーデニング」を提案する。


第1章 自然を「もとの姿に戻す」ことは可能か
第2章 「手つかずの自然」を崇拝する文化の来歴
第3章「原始の森」という幻想
第4章 再野生化で自然を増やせ
第5章 温暖化による生物の移動を手伝う
第6章 外来種を好きになる
第7章 外来種の交じった生態系の利点
第8章 生態系の回復か、設計か?
第9章 どこでだって自然保護はできる
第 10 章 自然保護はこれから何をめざせばいいか

「昔に戻す」以外の自然保護の目標を議論する
多様な目標を土地ごとに設定しコストも考慮しよう

感想・レビュー・書評

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  • ベランダで植物を育てることに「本当の自然ではない」という抵抗感があったのだが、それでもいいんだ、意味があるんだとい勇気づけてくれる本。
    人新世においては、人間活動の影響が大きくなりすぎているので、生態系ももはやヒトの影響なしにはありえない。この中でどうしていくのか、という新しい自然観。

  • ふむ

  • 著者は、厳密な意味で手つかずの自然や原始の森などない中で、守るべき自然とはどの時点の姿なのかを問いかけ、人為を介した自然保護手法について考察、提案する。
    失われた大型動物を他所から導入して再野生化をすること、温暖化によって生息域が狭まった生物を他所に移送して絶滅を防ぐこと、など近年の議論を紹介し、「昔に戻す」以外の自然保護の目標を持つべきと訴える。
    これまでの常識や保護の取り組みの意義を根本から覆すことになるので社会のコンセンサスが形成されるのに時間がかかりそうだが、「当たり前」を考え直すきっかけになった。
    情報量が多いのと著者の攻撃的で挑発的な文体が鼻につくので、気になるところをつまむぐらいの読み飛ばし方で自分にはちょうどよかった。

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著者プロフィール

エマ・マリス(Emma Marris)
サイエンスライター。自然、人々、食べ物、言語、書籍、映画などについて執筆。数年間記者として勤務していたネイチャー誌のほか、ナショナルジオグラフィック、ニューヨークタイムス、ワイヤード、グリスト、スレート、オンアースなどの雑誌・新聞に寄稿している。ワシントン州シアトル出身、オレゴン州クラマスフォールズ在住。

「2021年 『文庫 「自然」という幻想』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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