- Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
- / ISBN・EAN: 9784794810267
作品紹介・あらすじ
近年、海外に進出する外食店が急増している。大手チェーンだけでなく、まだ国内に一、二店舗しかない近所のラーメン店も、香港やシンガポールに店を出す時代になっている。
筆者の調査によると、戦後の外食業の海外進出は、二〇一四年末までで何と一四〇〇件以上にも達する。驚くべきことは、その半数近くが、二〇一〇~一四年までの五年間の進出であったことだ。今まさに、空前の海外進出ブームが起きているといえよう。
進出先は、七割以上がアジア地域である。最近では、カンボジアやミャンマー、ラオスへの進出も見られる。業種を見ると、ラーメン店がトップで、居酒屋・定食屋・和食店がそれに続いている。うどん店や焼肉店も増えている。他方、伝統的な高級日本料理店の進出は減少している。今、海外では「大衆的な和食」が人気となっているのである。
このような外食業の国際化は、小零細企業が多いことが特徴となっており、その点が製造業による進出とは異なる。外食産業においては、肩肘張らずに、気軽に海外の消費者を相手に商売ができる時代になったのである。
では、なぜ資金も人材も制限された外食業が海外に進出できるのであろうか。その秘密は、海外でのサポーティング・インダストリー(支援産業)の増大と、フランチャイジングという進出手法の普及にある。その結果、個人経営のラーメン店が容易に海外に出店できる状況が生まれている。これは、まさに「新しい越境のかたち」の出現に他ならない。
本書は、海外に進出した多くの外食企業のヒヤリング調査を通して、国際化の現場で生じている大きな変化を明らかにし、それが有する可能性と課題を検討したものである。(かわばた・もとお)
感想・レビュー・書評
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近年急増している外食の海外進出の歴史や背景がよく分かった。日本の外食企業が海外で直面してきた食文化的な障壁について書かれた第2章は、とくに面白く読めた。とにかく大変な量の海外ヒヤリング調査を基に書かれているため、説得力がある。巻末の進出リストは圧巻としかいいようがない。これから海外に出ようという外食企業はもちろん、その他の業界の企業にとっても、海外市場進出のヒントが詰まっているようにも思えた。
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