読む文化をハックする: 読むことを嫌いにする国語の授業に意味があるのか?
- 新評論 (2021年1月8日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
- / ISBN・EAN: 9784794811714
作品紹介・あらすじ
いますべての教室が読むことが好きな生徒で満たされているなら本書の存在理由はありません。しかし、残念なことに読むことが好きな生徒だけで満たされた教室を見出すのはとても難しいのです。これは日本でも米国でも同じです。
本書原著の副題を直訳すれば「教室を読書家の文化(a culture of readers)に変える五つの方法」となります。教室が「読書家の文化」となるのを阻んでいるのは何か。著者のドーソンさんは、①教師が教科書をカバーすることばかり気にかけていること、②教師が文章に対する生徒一人ひとりの反応に目を向けていないこと、③教室での話し合いや様々な情報源から集めた事実や考えをコピーする力ばかりを重視していること、をあげています。本書は、教師がこのような事態を「ハックする」(修繕する)ことによって教室が、読むことの好きな生徒に満ちた「読む文化」になると主張しています。
生徒たちが自分の好きなことに熱中するのは「当たり前」ですが、教科書教材に読むことは生徒の皆にとって「当たり前」ではありません。皆が読むことを好きになるには、つまり教室を読むことが当たり前の文化にするにはどうすればよいか。どのようにして自分がひたすら読み浸ることのできる本を見つけることができるようにしていくか。ひたすら読み浸り続けることのできる環境をどのようにつくっていけばいいのか(アナログでもディジタルでも)。そして生徒が読書家になる道を歩むのに私たちはどのように伴走していけばいいのか。本書はこうした問いに正面から取り組み、教室を読むことが当たり前になる「読む文化」とするための五つの取り組みやすい方法を示した本です。
一人でも多く読むことが好きな生徒を育てていくことが国語教育の多くの問題(ひいては、学校教育全体)を解決するという著者の強い信念には、一人の読者としてこころ打たれるものがあります。(山元隆春)
感想・レビュー・書評
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やはり読む時間を授業内に作ることは大事だ。読書家を増やすにはカンファランスが重要だ。実行するのみだ。
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「教師がモデルとして読むことを示すためには、まず教師自身が本を読まなければなりません。」
「なかには、ブックトークについて二つのことを恐れている生徒がいるものです。すなわち、読むことと人前で話すことです。本について話すのが当たり前だという感覚を生徒がもっていると、私は思っていません。なぜなら、彼らの多くは、教養の高い大人が自分の読んだ本や経験について話している様子を見たことがないからです。」
教師が本を読み読書家となることが何よりも大事だと感じた。
生徒にとっての身近な大人が教師なのだから、読書家のモデルとして、今、何の本を読んでいるのか、何の本を読み終えたのか、何の本を読むのを途中で止めたのか。そういうことを授業の5分や朝のSLRの5分でも使って、生徒に伝えることで、読む文化を醸成するための土壌をつくることに繋がるんじゃないだろうか。
仕事をしながら読んでいけるかな…… -
「本書原著の副題を直訳すれば「教室を読書家の文化(a culture of readers)に変える五つの方法」となります。教室が「読書家の文化」となるのを阻んでいるのは何か。著者のドーソンさんは、①教師が教科書をカバーすることばかり気にかけていること、②教師が文章に対する生徒一人ひとりの反応に目を向けていないこと、③教室での話し合いや様々な情報源から集めた事実や考えをコピーする力ばかりを重視していること、をあげています。本書は、教師がこのような事態を「ハックする」(修繕する)ことによって教室が、読むことの好きな生徒に満ちた「読む文化」になると主張しています。
生徒たちが自分の好きなことに熱中するのは「当たり前」ですが、教科書教材に読むことは生徒の皆にとって「当たり前」ではありません。皆が読むことを好きになるには、つまり教室を読むことが当たり前の文化にするにはどうすればよいか。どのようにして自分がひたすら読み浸ることのできる本を見つけることができるようにしていくか。ひたすら読み浸り続けることのできる環境をどのようにつくっていけばいいのか(アナログでもディジタルでも)。そして生徒が読書家になる道を歩むのに私たちはどのように伴走していけばいいのか。本書はこうした問いに正面から取り組み、教室を読むことが当たり前になる「読む文化」とするための五つの取り組みやすい方法を示した本です。」 -
良い読書家になれば、すべての教科で成績が向上する。
本を自立して読む子どもを育てるには。 -
読書家を育てるための方法。
学校が舞台で、どう子どもたちを本好きにするか、読む習慣を身につけさせるか、読書家にするかということが書かれていますが、家庭でも参考にできることがたくさんありました。
本を読む習慣、文化を身につけるには、環境を整えることが大切。
本を読みなさいと言うだけで、子どもが本を読むようにはならない。
そして、大人も読むことが大切。
という部分に、なるほどと思うと同時に共感。
読書の枠から外されがちな、コミックやファンタジー小説についても寛容で、そこから読書の世界が広がる可能性を示してくれていることが個人的に嬉しかったです。 -
読む力ではなく、読む文化をつくる!
つい読解力に目がいくけれど、やはり環境かー。
目から鱗だった。 -
東2法経図・6F開架:019.2A/D47y//K
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タイトル:読むことを嫌いにする国語の授業に意味があるのか?
ジェラルド・ドーソン
山本隆春・中井悠加・吉田新一郎
発行年月日:2021年 1月
定価:1,980円
ISBN:978-4-7948-1171-4
判型:四六判並製
頁数:192
著者 Gerard DAWSON(ジェラルド・ドーソン)
アメリカ・ニュージャージー州ハイツタウンの高等学校で国語とジャーナリズムを教える。学びに革命を起こすテクノロジーの力を信じ、教師向けにオンライン講座を提供する他、YouTubeやTwitter( @gerarddawson3)でも積極的に情報を発信している。
〈https://www.shinhyoron.co.jp/978-4-7948-1171-4.html〉
【簡易目次】
1 読書家に焦点を当てる
(問題―読む文化をつくることは難しすぎる;ハック―読書家に焦点を当てる ほか)
2 読む文化とカリキュラムのつながりをつくる
(問題―既存のカリキュラムに一人読みをうまく位置づける;ハック―読む文化とカリキュラムのつながりをつくる ほか)
3 教室の図書コーナーを充実させる
(問題―生徒は本が容易に入手できる環境をもっていない;ハック―教室の図書コーナーを充実させる ほか)
4 読むコミュニティーを築くために評価する(問題―評価が読む気を失わせてしまう;ハック―読むコミュニティーを築くために評価する ほか)
5 読むことを学校の中心に据える
(問題―読むこととほかのことが関連していない;ハック―読むことを学校の中心に据える ほか)