- Amazon.co.jp ・本 (245ページ)
- / ISBN・EAN: 9784794923738
作品紹介・あらすじ
1900年1月。イタリアはヴェローナの川で、切り刻まれた死体の一部が見つかった。それは、エリート将校の子を身ごもり、結婚を夢見ていたイゾリーナの無残な姿だった。まもなく恋人の将校が逮捕されるが、複数の軍人の関与が露顕しはじめるや、証拠不十分で釈放される。将来たちがふざけ半分の堕胎によってイゾリーナを死にいたらしめ、証拠隠滅をはかった-しだいに明らかになる真相も、軍の圧力でもみ消されてゆく。司法も報道も、少女の味方にはならなかった。イゾリーナは「ふしだらな女」の烙印を押されたまま、放りだされた。マライーニは、新聞報道と関係者遺族への聞き取りをもとに、闇に葬られた猟奇的殺人事件を掘り起こす。墓もない少女の、踏みにじられた尊厳を回復させる鎮塊の書。
感想・レビュー・書評
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1900年に実際にあったスキャンダラスな事件を、作者が自ら歩き現場を見て情報を集めた記録。昔の事件なので当時の裁判記録がメイン。川で若い女性のバラバラ死体が見つかる。当時事件のあったヴェローナという都市は、市民より軍人の人口が多かった。当然軍人達はデカイ顔をし、街にはびこる。かなり享楽的な雰囲気の中、19歳の貧しい娘が軍人に妊娠させられ殺されて仲間達によって解体されたが、当然軍によって隠蔽された。裁判の証言も軍に顔色を伺うばかりで、軍のための裁判となり、少女の死は向こう側に追いやられた。淡々とした記述。
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闇に葬られた事件の真相、国家による隠蔽。どれもが非常に醜悪でむごたらしい。1900年頃の実話を元にした記録小説(?)
なるほど世界は単一ではいけないのだと真に思う。反対勢力って必要なのね。
よく某政党は反対ばかりでなんの実行力も無い、ただの飾りだ!的なことを言われ、私もそうだなぁと思ったけど、この本を読むと反対勢力の存在意味が見える。まぁただ、反対ばかりで前に進まないっていうのはやっぱり頂けないと思うわけですが。
2010-4-15~20読了