関所抜け 江戸の女たちの冒険

著者 :
  • 晶文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (302ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794964977

作品紹介・あらすじ

秋田の中年女・於以登が遺した旅の小遣い帳「参宮道中諸用記」に見える「女かくれ道通る」という文字。どうやら、江戸の庶民は、ドキドキハラハラしながらも、地元の人に手引きされ、関所を抜けていたようなのだ。いったい、どうやって?「諸用記」をもとに、様々な旅行記を繙きながら、関所抜けの様子を再現していく。善光寺にはじまり、京都、金比羅、高野山、伊勢、江戸、日光まで、於以登らとともに、江戸の旅に出てみよう。名所や難所もあり。スリリングな関所抜けもあり。江戸の旅のイメージがガラリと変わる歴史読み物。

感想・レビュー・書評

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  • ■一橋大学所在情報(HERMES-catalogへのリンク)
    【書籍】
    https://opac.lib.hit-u.ac.jp/opac/opac_link/bibid/0000202047

  • 江戸時代末期、急に思い立って金毘羅・伊勢巡りをした女性の旅の記録を通じて、関所抜けが容易になっていた実態が書かれています。酒代などと称して、手間賃や賄賂がまかり通っていたことや、悪い業者がよく知らない旅人に高い金をふっかけていた当時の旅の様子もよくわかります。

  • 幕末期の有力商人家の女性(いわゆる有閑マダム)今野於以登ら一行が、出羽本庄から北陸、京阪、四国金比羅、奈良、伊勢、東海道、江戸、日光、羽州街道を経て帰郷するまでの旅の道程を、同時期の他文献も参照しつつ追跡したもの。当時の旅の実情、風物(土産物、特産物、景色)がよくわかり、なかなか面白い。本書の大筋とは関係ないが、女人禁制の高野山にて、裏(心付は必要)からではあるが、奥の院まで見聞でき、さらには僧坊で宿泊できたとあり、建前と実際のあまりの乖離に驚かされた。

  • 春はもうすぐそこ。あたたかくなると、ちょっと遠くまで足をのばしておでかけでもしようかなぁ♪という気持ちになります。世界的に見ても日本人は旅行好きとよく言われますが、日本人の旅行に対するあこがれは、さかのぼれば江戸時代から続いているとのこと。むしろ現代より娯楽の少ない生活を強いられていた江戸の人々にとって“旅”に対する思いはひとしおでした。しかし江戸時代には正当な理由のないかぎり旅に行くことは許されませんでした。また女性が旅に行くことは、男性のそれとくらべさらに狭き門。そんなあこがれの“旅”のために女性たちはどんな知恵をしぼって領土からの脱出(?!)を試みたのか?!

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著者プロフィール

1946年、新潟県中蒲原郡横越村(現・新潟市)に生まれる。國學院大學文学部卒業。
著書に、『〝きよのさん〟と歩く大江戸道中記』(ちくま文庫、2012)、『伊勢詣と江戸の旅』(文春新書、2004)、『芭蕉「おくのほそ道」の旅』(角川書店、2004)、『江戸庶民の旅』(平凡社新書、2002)、『関所抜け 江戸の女たちの冒険』(晶文社、2001)、『芭蕉はどんな旅をしたのか』(晶文社、2000)、『江戸の女俳諧師「奥の細道」を行く』(晶文社、1998;角川ソフィア文庫,2008)、『お葉というモデルがいた』(晶文社、1996)、『女流誕生』(法政大学出版局、1994)、『瞽女んぼが死んだ』(角川書店、1990)、『旅の石工』(法政大学出版局、1988)、『石の旅』(クロスロード選書、1988)がある。

「2013年 『「曽良旅日記」を読む』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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