美女とは何か: 日中美人の文化史

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  • 晶文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (474ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794965004

作品紹介・あらすじ

古来、美女は世の憧れを誘い、人の心を癒す一方で、男の運命を狂わす悪女であり、亡国の元凶であり、薄幸・世の移ろいのたとえであった。狐も蛇も幽霊も、かならず美しい女に化けて出てくるのはどうしたわけか-。文化によって時代によって、美人観は大きく変化する。文学や絵画のなかで美人はどのように描かれたか。イメージはいかにつくられ、実社会で機能したのだろうか。楊貴妃・遊女・明治令嬢コンクール・ガングロ…日本と中国の歴史を行きかい、異文化交流のはざまに、美女という謎をダイナミックに追いめぐる。東アジアにおける美人幻想をめぐる比較文化研究の決定版誕生。

感想・レビュー・書評

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  • 絵画、文学に表現されている美人の特徴、文章表現を分析し、日本、中国における美人像、美人観の変遷を分析します。日本では紫式部日記、平家物語、雨月物語、金色夜叉(紅葉)、痴人の愛(谷崎)など。中国ではなんといっても白楽天。また史記、三国志、水滸伝、紅楼夢。そして西洋で出てくる美人がクラウディウス帝の妻メッサーリーナと後妻アグリッピーナの2人だけだったのには、タイミングが良過ぎて驚きでした。ほとんど、日中の美人のみを追いかけています。それにしても東・西洋の文化の交流により美人観が以前は文化の上下により、相手をお互いに醜いと思っていたとの事。確かに他の民族を見下すことに思い当たるところはあります。絵画・詩文の表現とも楊貴妃の時代の美人の要件は肥満だったとのことで、幻滅ですが、白い肌、黒い長髪、濃い眉(蛾眉)、白い歯(皓歯)などはずっと変わらない美人の特徴。一方、小さい口、細い目が要件だった時代もあるとのことで、絶対的な基準がないのだと思います。清晩年からは写真が残っていますが、ほぼ現在と同じ基準といっても良いのは西洋との交流による影響が出て以降だからということも納得がいきます。西施、王昭君、貂蝉、楊貴妃が中国4大美人だとか、いずれも王宮にいた人たちです。日本は遊女が美人の代表格だとか。その点でも日本との違いは対照的です。美人悪女説などとの関係も書いています。また美人薄命、美人は不吉という根拠の説得力もありました。考えてみれば中国・西洋には美人の悪女は数多く登場しますが、日本は全く思いつかないのも不思議です。その辺りの分析はなかったですが。

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著者プロフィール

1953年生まれ。華東師範大学卒業。1988年東京大学大学院総合文化研究科修士課程修了、1991年同大学院博士課程修了。博士(学術)。東北芸術工科大学助教授、国学院大学助教授、明治大学法学部教授を経て2008年より現職。著書に『恋の中国文明史』(筑摩書房〈ちくまライブラリー〉、1992年/ちくま学芸文庫、1997年、読売文学賞)、『近代中国と「恋愛」の発見―西洋の衝撃と日中文学交流』(岩波書店、1995年、サントリー学芸賞)、『美女とは何か――日中美人の文化史』(晶文社、2001/角川ソフィア文庫、2007年)、『夢想と身体の人間博物誌――綺想と現実の東洋』(青土社、2014年)、『時代の憂鬱 魂の幸福――文化批評というまなざし』(明石書店、2015年)ほか多数。

「2024年 『与謝野晶子の戦争と平和』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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