気はやさしくて力持ち 子育てをめぐる往復書簡

  • 晶文社
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感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794973856

作品紹介・あらすじ

子育てにおいて、いちばん大切なことは「子どもに対して敬意を以て接すること」男の子の親にも、女の子の親にも読んでもらいたい、旧くてあたらしい子育て論。男手で女の子を育てた内田先生と、女手で男の子を育てた三砂先生。共に「離婚して子どもを育てた親」であるふたりによる、誰も書かなかった子育て論。最優先にされるべきは、「子どもに対して敬意を以て接すること」。いまの時代にあわせてアップデートされた、旧くてあたらしい子育て論にして、すべての子育て中の親たちと、育てられ中の子どもたちへ贈る、あたたかなエール。「子どもを育てる、ということは、許されることを学ぶことだ、と思います。(…)子どもを持った時点での親の成熟なんて、たかが知れているし、親自身が生きてきた時代と環境とに抜き難い影響を受けながら、なんとか生き延びようとしているような不完全な存在なのですから、かならず、間違います。よかれ、と思ってやったことも、間違っているかもしれない。」(三砂ちづる)「僕は未熟な親として子育てをしてきて、ある時点で、「子どもを愛すること」と「子どもを傷つけないこと」では、「子どもを傷つけないこと」の方を優先させるべきではないかと考えるに至りました。(…)「子どもを愛しているから」「子どものことを心配して」「子どもの将来のことを考えて」という理由で子どもを傷つける親が実に多いということを骨身にしみて知ったからです。」(内田樹)子育てって困難でしょうか?/子どもは手離すときがむずかしい/親子関係で決定的に重要なこと/子育てにおける母語の意味/性教育はナナメの関係で/感情のカタログを増やす/親を許すこと、親から許されること/生きているなら、それでいい/一度は死んだもの、と思って育てる/「女の社会」にも「男の社会」にも逃避できること/「〈それ〉を何と呼ぶか」よりも「〈それ〉をどう扱うか」/複雑な現実は複雑なままに/今日を機嫌良く生きていくことができたら/……子育てで悩み迷うひとに響く言葉が満載。

感想・レビュー・書評

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  • 子育て論のためのあとがき - 内田樹の研究室
    http://blog.tatsuru.com/2023/06/26_0915.html

    気はやさしくて力持ち – 晶文社スクラップブック
    http://s-scrap.com/category/uchidamisago

    気はやさしくて力持ち | 晶文社
    https://www.shobunsha.co.jp/?p=7810

  • 子育ての言葉にしにくい複雑さが二人の往復書簡から伝わってきました。その中でも、子どもを愛するのでは足りず、子どもを傷つけないことを優先すること、子どもに敬意を払うこと、イノセンスがある=人に自分を委ねられるだけの信頼感が育っていることであり、そのために子どもを見守ることが子育ての大事な部分である、など時折ハッとさせられる言葉に出会えました。

  • 子育てにおいて何が重要なのか。とにかく一発勝負の世界なのだと思った。人間性がすべてあらわれる世界。でもそう言われるから大事、という安易な考えじゃなくて、自分がどう考えるのか、なんだろうな。
    (20240205)

  • 親はたいへんなんだぞ、なんて話はよく聞くものだ。子育ての困難というのは、少子化をいわれる世の中にあっては、考えざるを得ない問題だろう。でも、子どもの立場に立って見たらどうか。自分の存在が親にとっての困難だといわれたら?そのあたり、不倫関係になぞらえて考えさせる冒頭のやりとりは、なかなか楽しく、同時にとても考えさせられる。

     ナナメの関係、失われるものへの哀惜、親を許すということ、没入する体験、必ずしも子育ての話に限らないけど、どこかでつながりも感じられる。なにか答えを与えられるというよりも、問題提起されて自分なりに考えを進めたくなる本だった。

     親が成熟していると、子どもはイノセントになれる。

     つい先日、内田氏の『待場の成熟論』を読んだばかりだし、成熟というのは自分自身の中でも大切な課題として存在する。

     俺自身、親であるわけなんだけど、どこまで成熟しているものやら。

     考えていきたいね。

  • 231122-3-1

  • 子育て本ではないですが、子ども論の部類に入るエッセイ的な本。
    レヴィが子どもには甘やかす人と厳しい人が必要といったよう。今の日本の親は甘やかしすぎだと思う。

  • 九州産業大学図書館 蔵書検索(OPAC)へ↓
    https://leaf.kyusan-u.ac.jp/opac/volume/1439750

    誰もが子供時代に一度は見たことがあるであろう。アンパンマンや仮面ライダー、実際に自分が強い力を手にしたとき、アンパンマンや仮面ライダーのようにまだ強くないものを助けることが出来るだろうか

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著者プロフィール

1950年東京生まれ。東京大学文学部仏文科卒業。神戸女学院大学を2011年3月に退官、同大学名誉教授。専門はフランス現代思想、武道論、教育論、映画論など。著書に、『街場の教育論』『増補版 街場の中国論』『街場の文体論』『街場の戦争論』『日本習合論』(以上、ミシマ社)、『私家版・ユダヤ文化論』『日本辺境論』など多数。現在、神戸市で武道と哲学のための学塾「凱風館」を主宰している。

「2023年 『日本宗教のクセ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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