- Amazon.co.jp ・本 (262ページ)
- / ISBN・EAN: 9784795224803
作品紹介・あらすじ
青木愛子はアイヌコタンに代々続いた産婆の家に生まれ、古代から継承されて来た産婆術(イコインカル)、診察・治療のための特殊な掌、薬草、整体手技、あるいはシャーマンとしての技量をも駆使して、地域住民の心身健康の守り役、相談役として活躍した。本書は十年にわたって愛子の施療の実際を見て、その言葉の一つ一つを丹念に記録した、アイヌの信仰と文化の実態に迫る伝承の知恵の書。
感想・レビュー・書評
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大地と人とをつなぎ
風と人とをつなぎ
元気と人とをつなぐ
それが
シャーマンと呼ばれる人なのでしょう
長井さんが
聞き書きをされた
青木愛子さんも
間違いなく
そのお一人ですね詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
青木さんというおばあさんのドキュメント。
助産技術もすごいけどアイヌのシャーマン要素も多数。
エコーもない時代から赤ちゃんの状態や性別を読むのは当たり前。
性別によってうつ伏せで出すのか仰向けで出すのを変えているとか。
興味深いー。 -
なんとも不思議な本だったな。私が読んだのは、1983年もの。
本の古さも手伝って(図書館の本は、古い箪笥のにおいがした)
、かなり不思議感が増していた。
とにかく、青木愛子さんが、すごい。お産のテクニックもすごいし、霊能力もすごいし。お産のテクニックは、これこそ本当、生きているうちに、多くの助産婦に伝えたほうがいい!というようなものばかり。きっと多くの助産婦(病院勤務)はこういった事とはかなり遠いところで働いているのだろうと思おう。勘のかわりに薬なのだ。真剣に読んだけれど、ふと、あ、私が取り上げる立場になるのではないのだから、読んでもムダだわ、とやっと気づいた。
肛門を、足の親指でおさえると、脱肛もしないし、ふんばりも効くしで一石二鳥、というのはとてもいい事を聞いた。
でも私が知っても、それを生む瞬間に「肛門をおさえてください。」と言わなければならず、それができる人(嫌悪感とかも含め)に助産をしてもらわなければ、この知識があってもどうしようもなく。御願いできるものなら、愛子さんに御願いしたい、と思う限り。ああ。本当にいい人に助産していただきたい。こういう、代々の知恵、技術というものは、本当、こういう風に伝えていかないと、消えてしまう。残したい。
でも、このテクニックの部分だけを伝えても、アイヌのカムイ(神)への祈りの部分などはどうなのだろう。きっと青木愛子さんは、この神への祈りや信仰心などもあってこその、お産婆のテクニックであったりするのだろう。それの両方があるから、成立する。
しかし、かなりの頻度でアイヌ語がそのまま載っており、注釈ばかりを読む読み方になってしまった。読みづらい。ここは、外国語ということで、もう日本語に翻訳してしまった方が読みやすかったのではないか?とか思うけれど、アイヌ語の研究をしている人とかの為なのかな。言葉も含めて継承する必要がある、みたいな。
研究書、という感じだった。
読んでいて、本多勝一さんの本の事を何度か思い出した。少数民族のルポ。
アイヌ=差別の話のときにでてくる、日本にいる少数民族。という意識しかなかったが、かなりアメリカのネイティブアメリカンだとかに近いスピリチュアル面を持っているような気がした。
この本にもかかれていたけど、こういう哲学面での研究書がほとんどない、との事。これは、是非とも残していくべきだと思う。
アイヌ、気になります。