- Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
- / ISBN・EAN: 9784796666985
感想・レビュー・書評
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あたしが引っ越してきた新しい街には沼があった。
緑色にぬめぬめと鈍く光るそれは、夏には異臭を放ち
死んだ魚がぷかぷかと浮いていた。
生きている実感なんてもてない。
セックスはしてみたら、拍子抜けするほど大したことはなかった。
鬱々として抑圧された感情はある日突然爆発する。
死体を宝物だという山田君、
食べては吐いてを繰り返す吉川こずえ、
引きこもってあげくには妹を刺してしまう友人の姉、
まるで自分のようだと思った。
猫の死体を見て泣きながら吐いている若草が
もどかしくて、愛おしい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
虚無感、閉塞感、残酷・・・言葉ではうまく出せない空気を切り取ってみせる手腕が秀逸過ぎ。
読後は、それでも私たちはこんな世界で生きていくのだと、リアルな実感がないことこそがリアルなのだと、妙に納得させられてしまう青春小説的な作品。
岡崎先生の最高傑作。 -
「本当にそうだ
あたし達は
何かをかくすために
お喋りをしてた
ずっと
何かを言わないで
すますために
えんえんと放課後
お喋りをしていたのだ」 -
CUTIE少女だったころのバイブルです。
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このマンガは日常を書いているようで、意外と多くの事件やアイテムが登場する。
だから映画化や、ドラマ化の可能性もなきにしもあらずだと思う。(すでにされているかも知れないが)
ただ、映画化しても、ドラマ化しても、それは陳腐なものになるだろう。
マンガでしかこの空気感と、リズムは味わうことは出来ない。
岡崎京子という人も知らず、ただ表紙を見て買ったが、それは大正解だった。ある意味では、この表紙も作品を語る上ですばらしいと思う。 -
映画のような、音楽のような漫画です。
詩がとても素敵。
宝物です。 -
そんなことがあっても風化していってしまうものなのだろうか。
川沿いの青春群像、
みんなどこか駄目なんだけど、その、お互いの歪みが共鳴だったり衝突だったりする、その反応の描き方がとても上手。
私はヘルタースケルターが岡崎京子の初めてだったので、吉川こずえにも会えて嬉しかった。
印象に残る作品でしたよ。 -
現実離れした話が初めてリアルに感じた。
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2022.10 再読。小沢健二「アルペジオ(きっと魔法のトンネルの先)」を聴いたので。映画の方は観ていない。
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