くじ引きしませんか?―デモクラシーからサバイバルまで (法と哲学新書)

制作 : 瀧川 裕英 
  • 信山社
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784797281590

作品紹介・あらすじ

◆〈運の平等主義〉と〈結果の不平等〉を多角的視点から考える「法と哲学新書」第2作。◆
人生に対して運が作用することをどう評価するか。現代のデモクラシーの淵源は、古代ギリシアの公職者くじである。また、生存のくじ、臓器くじ、じゃんけん等による決定方法、いわゆる「くじ」について、〈運の平等主義〉と〈結果の不平等〉を多角的な視点から考究する。意外に「ましな決定方法?」くじ引きへの誘い。「知の糧」への企て(法と哲学新書)第2弾。

感想・レビュー・書評

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  • 新しい見解が聴けた気がします。

  •  政治や生存・財の配分について、「くじ引き」を活用することの意義を各論者が哲学、政治学、関連法学の観点から、多角的に検討する一冊。
     結局のところ、おおざっぱに言えば、哲学的な思考実験にすぎないのだが、覇権主義の台頭、特に日本での投票離れなどから、民主主義の根幹が問われている中で、くじ引きを通じて、平等や政治の在り方を問う意欲的な内容。特にくじ引きが、モイラ(公正・公平)として、古代ギリシア時代に、神意的な問題解決の手段としてとらえられていたという1章の内容は興味深かった。

  • くじで決める、というのは、何となく無責任な感じがする。ただ、くじは単なる偶然ではなく神意と捉えられている部分もあり、恣意的な人間の判断よりは公正・公平が実現できる場合もある。くじは、民主制における代表者決定場面やハード・ケースにおける政策毛決定場面にいかにしたら導入できるのか。本書はくじの効用を探求している。くじの結果に対する信頼はくじの実施者に対する信頼に由来する。

  • 東2法経図・6F開架:321.1A/Ta72k//K

  • 【書誌情報】
    『くじ引きしませんか?――デモクラシーからサバイバルまで』
    編著者:瀧川裕英
    ジャンル 法哲学、哲学/思想
    シリーズ 信山社新書 >> 法と哲学新書
    出版年月日 2022/06/06
    ISBN 9784797281590
    判型・ページ数 新書・256
    定価 本体980円+税

     (法と哲学新書)第2弾 人生に対して運が作用することをどう評価するか。運の平等主義と結果の不平等を多角的な視点から考究する
    https://www.shinzansha.co.jp/book/b10013291.html

    【目次】
    ・はしがき/瀧川裕英

    ◆1 くじ引きは(どこまで)公正なのか――古代と現代における空想的事例をめぐって/古田徹也

    はじめに(3)
    I 古代ギリシアにおける「くじ」(5)
      1 世界分領神話とくじ引き(5)
      2 「神意」としてのくじ(9)
      3 プラトンの〈エルの神話〉におけるくじ引きの役割(18)
      4 プラトンの国制構想におけるくじ引きの役割(23)
      5 くじ引きの背景 ①――誰がなぜ、いつくじ引きを行うと決めるのか(33)
      6 くじ引きの背景 ②――くじ引きによって何が、誰の間で割り当てられるのか(37)
      7 くじ引きの背景 ③――「いかさま」の可能性をどう考慮すべきか(40)
    Ⅱ 現代における「臓器くじ(サバイバル・ロッタリー)」(46)
      1 「臓器くじ」とは何か(46)
      2 「臓器くじ」におけるくじ引きという方法それ自体をめぐる諸問題(49)
      3 現代においてくじ引きに対して向けるべき姿勢(54)

    ◆2 選挙制・任命制・抽選制/岡﨑晴輝
    Ⅰ 抽選制議会(63)
      1 抽選制議会論の争点(63)
      2 選挙制議院+抽選制議院の擁護(67)
    Ⅱ 抽選制市民院の構想(71)
      1 選挙制参議院から抽選制市民院へ(71)
      2 抽選制市民院の効用(74)
      3 憲法改正の問題(76)
      〈中間考察〉(77)
    Ⅲ 抽選官僚制(80)
      1 抽選制の自由主義的可能性(80)
      2 混合抽選制の擁護(82)
    Ⅳ 抽選官僚制の構想(87)
      1 最高裁判所への適用(87)
      2 内閣法制局への適用(93)
      3 その他の公職への適用(96)
      結語(98)

    ◆3 くじ引き投票制の可能性/瀧川裕英

    Ⅰ 選挙と抽選(109)
      1 くじと民主制(109)
      2 くじ引き投票制(113)
      3 くじ引き投票制の利点と欠点(116)
    Ⅱ 人数問題(119)
      1 総和(120)
      2 追加(121)
      3 総和と追加(124)
      4 均等確率説(127)
      5 公平確率説(個人くじ)(129)
      6 くじ引き投票制と公平確率説(134)
    Ⅲ 事前くじと事後くじ(136)
      1 抽選が先か、投票が先か(136)
      2 事前くじと事後くじの相違(137)
      3 事後くじの優位?(140)
    Ⅳ 事前くじの可能性(141)
      1 ミニ・パブリックスと事前くじ(141)
      2 裁判員制度と事前くじ(143)
      3 事前くじの優位性(145)
      4 事前くじの欠陥(147)
      5 事前くじの擁護(148)
      6 くじに対する信頼(154)

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著者プロフィール

東京大学教授

「2023年 『リーガル・ラディカリズム』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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