ウィキッド(上)

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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784797342703

作品紹介・あらすじ

名作『オズの魔法使い』で、主人公ドロシーは『西の悪い魔女』を打ち負かす。しかしこれは、ドロシーの視点から語られた話であった。魔女からはどう見えたのだろうか。魔女はどのように育ち、なぜ悪い魔女になったのか。オズの国では、言葉を話す"動物"たちが自らを守るために戦い、権力者はその権力を濫用し、民衆は快楽信仰の虜となっていた。愛、信仰、善とは、そして悪とは何か?緑の魔女エルファバが、人間の本質について問いかける、壮大で謎めいた空前絶後のファンタジーロマン。大ヒット上演中の劇団四季ミュージカル『ウィキッド』原作。

感想・レビュー・書評

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  • ブロードウェイ・ミュージカルの「ウィキッド」が今年で20周年を迎えたらしい。
    女友達と劇団四季版を観に行ったのはもう十数年も前になる。ナンバーに聴き惚れ、エルファバとグリンダを勝手に自分たちと重ねていたっけな…。あの時劇場で感じたこと全てが、今でもくっきりと記憶に残っている。

    先日ある紹介動画にて、「ウィキッド」は湾岸戦争をモチーフにした物語であることを知った。
    「何が本当の正義か」を問う戦争に、劇中で対立するエルファバと「オズの魔法使い」を当てはめたというが…。戦争と物語を結びつける以前に物語をどこまで理解できているのか、自分が非常に怪しい地点にいることに気づく。
    例の動画でミュージカルには原作があることを同時に聞きつけ、一も二もなく入手&再履修する運びとなった。

    「ウィキッド」はあの『オズの魔法使い』の前日譚であり(刊行年は『オズの魔法使い』が先)、そこに出てくる西の悪い魔女 エルファバが主人公。『オズの魔法使い』を知っていれば、あちこち伏線が張られているのがよく分かる。

    エルファバは生まれた時から緑色の肌をしており、異端者のようにみなされていた。成長した彼女はオズの国にあるシズ大学に入り、そこでルームメイトのグリンダ(のちの南の善い魔女)と出会う。その頃国内では「オズの魔法使い」が全てを掌握し、また、「魔法使い」によって人語を話す<動物>たちの権限が奪われ始めていた…。

    「つまり、すべての悪は、神性の不在のしるしだというわけ」

    控えめに言って、立派なアメリカ文学だと思う。(文学が何たるかはよく分からんが笑)
    原作は上下巻に分かれ、上ではエルファバの誕生から始まる。ミュージカル版とは別物と考えて良いくらい相違点が多かったものの、寧ろそこが良かった。

    シズ大学でのグリンダ(本書ではある事情から中盤まで「ガリンダ」と発音されている)は学内では褒めそやされていなかったこと。グリンダに一途な学友のボック君が、より重要人物として扱われていたこと。(一生懸命なのになかなか報われないところがいじらしくて、個人的に好き^ ^) エルファバのお茶目な一面を沢山見られたこと。そして、ステージでは到底描ききれない過酷な運命や事件の数々。

    あとはエルファバが魔術の講義を専攻するどころか、興味さえ示さなかったことだろうか。
    シズ大学に入った時から魔女の印象だったけど、元は生命科学に関心のある学生だった。科学的に<動物>たちの苦境を救おうとしていた。
    この時点で邪悪(“wicked”ウィキッド)とは程遠い彼女は、このまま変わらずにいられるのか。この辺が物語のキーポイントになりそうな気がしている。

    動画でも言われていたが、第二部(原作で言うと下巻)では予想もつかない怒涛の展開が待ち受けている。(あいにく自分は観劇した関係で、ほんのり記憶しちゃっているが…)
    どのように後の『オズの魔法使い』へと繋がるのか、原作ならではの入り組んだ物語を引き続き冒険していきたい。

    • ahddamsさん
      なおなおさん、こんばんは。
      夜分遅くにお騒がせして申し訳ないです…!( ; ; )ウィキッドは10数年以来ですが、読んでいて久々に観たくな...
      なおなおさん、こんばんは。
      夜分遅くにお騒がせして申し訳ないです…!( ; ; )ウィキッドは10数年以来ですが、読んでいて久々に観たくなりました☆彡
      そうですね…!原作は思っていたよりもずっと社会派で、明るい雰囲気はなりを潜めていました(^^;; 色々と衝撃的でしたが、面白かったので自分も興奮冷めやらない感じです笑 このまま下巻も突っ走ります!
      李さん調べてみたらとてもイケメンですね♪原作のフィエロは少しワイルドでしたが精悍な感じがぴったりなので、下巻は李さんをイメージしていくかもしれません(^◇^;)
      2023/12/07
    • akikobbさん
      ahddams さん、おはようございます。
      なおなおさんも、おはようございます。

      ウィキッドは、もちろん楽曲もいいですけどなんといってもス...
      ahddams さん、おはようございます。
      なおなおさんも、おはようございます。

      ウィキッドは、もちろん楽曲もいいですけどなんといってもストーリーが魅力!と私は思います!ぼんやりとしか覚えてないですが、「いいモノ?わるモノ?!」(←捉え方が雑)が二転三転するし二人の女性の友情も一筋縄ではなくてすごく複雑なのに、ちゃんと舞台でも味わえる、すごいもの見た感がありました…。
      原作いつかは読んでみたいです。まずはahddamsさんのレビューを楽しみます!笑 オズの魔法使いも改めて読み直したいんですけどね〜
      2023/12/08
    • ahddamsさん
      akikobbさん、おはようございます。
      自分も誰が何が“wicked”(ウィキッド)なのかを考え込んでしまうくらい、ストーリーに引き込まれ...
      akikobbさん、おはようございます。
      自分も誰が何が“wicked”(ウィキッド)なのかを考え込んでしまうくらい、ストーリーに引き込まれていました…!最強のシスターフッドだと今も思っています。(そして楽曲や舞台セットに只々圧倒されたりして感情が大渋滞でした笑)
      ちょうど下巻を読み終えたら『オズの魔法使い』も再履修する予定でいます♪原作『ウィキッド』は舞台版とのギャップがとにかく凄いですが、こちらはこちらでどうなるのか最後まで楽しんで行きたいと思います^ ^
      それにしても、舞台を観たくなってきました…笑
      2023/12/08
  • ミュージカルに感動したので原作も読んでみた。
    ミュージカルとはかなり違っていて、キャラクターの印象が全然異なりました。
    ミュージカルは二人の友情がテーマとしてかなり焦点絞られてましたが、原作はもっとオズの社会情勢や変革に向かうエネルギーを書いている感じ?

  • オズの魔法使いの、悪い魔女が主人公の物語。
    これのミュージカル版が大好きなので読んでみた。
    が!かなりお話しが違うのでとまどいました。キャラクターも全然違うし、もっと大人向けで、夫婦問題、人種や宗教問題も絡んでくるので結構難しいと思います。
    ただこれはこれでどろどろしていて面白いので(笑)下巻が楽しみです。

  • ★上巻読了 ブロードウェイミュージカル『ウィキッド』の原作本。オズの魔法使いの前日譚作品である本作。ミュージカル舞台版が大好きすぎて読み始めたけど…上巻だけでも舞台版は原作をかなり脚色したことが分かる。正直ミュージカルのような楽しい明るい雰囲気はあまり感じられない。そのぶん社会派な作品に仕上がっているため、読み応えはあるけども。西の悪い魔女になるエルファバの出生から、南の良い魔女になるグリンダとの出会いや学園生活など、大体舞台版の第1幕にあたる部分が上巻には描かれてたかな。いざ下巻へ。

  • 信仰と人種差別、階級が全面的に出ている社会で暮らすエルファバの生い立ちと、人生の選択。
    ミュージカルは見ていないので、これが楽しい感じになるのかな?と疑問ではあるがメッセージ性は強いと思う。物語の展開が今ひとつゆっくりなのと結局みんながどうなったか分からないところが多く、下巻でいろいろ回収してくれることを願う。

  • 劇団四季のミュージカルとは大分趣がちがってびっくり。ディラモント先生はそうそうに亡くなってしまうし、フィエロは結婚してるし、えっ?って。設定だけでなく話の内容もかなり違うのでべつの話を読んでいるようで新鮮。これはこれで続きが楽しみです。

  • 大傑作ミュージカルの原作ではありますが、
    ミュージカル版と同じモノを期待していると
    大いに落胆することになる可能性が高いです。

    社会風刺や人間のドロドロした部分が嫌いでければ
    それなりに楽しめる部分もあるかもしれません。

  • みんなどえろじゃん

  • ミュージカルと内容が違って、読むのに時間がかかってしまったけど、いい本だった。

  • 劇団四季を鑑賞してから読んでみたけど、
    設定がかなり違っていてびっくりしました。

    最初に魔法を習い始めたのはグリンダだし、
    ネッサローズはエルファバと一緒に入学してないし、
    フィエロは結婚してるし。

    ただ、舞台と違っていて嬉しいのは、
    エルファバがクラスメイトから愛され仲良くしていることと、
    暗く閉じこもっているというよりは、
    探究心のある信念を持った女性として描かれていること。

    翻訳があまり上手くないのか、
    話がスッと入ってこなかったは残念だけど、
    これから下巻でどんな展開が待っているか待ち遠しいです。

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