認知症「不可解な行動」には理由がある (SB新書)

著者 :
  • SBクリエイティブ
3.97
  • (7)
  • (17)
  • (5)
  • (0)
  • (1)
本棚登録 : 135
感想 : 15
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784797368192

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 認知症は今までの自分の人生の中にかかわりのない出来事でした。
    ただ、いろんなメディアや知人の話等を耳にするといつ、何時自分にも関わりが起こり得る事ではないかと感じ、この本を手に取りました。
    正直、こういう症状はこういうところがどうなってるから、こういう風な行動になるのかどうかは、医学的なことなので自分の頭にはあまり入ってこない部分でしたが、例がいくつもあるので、こういった場合は認知症の本人はどう感じてる。周りはきっとこう感じてる。こういう風な言動になることが多い。ということで、イメージがしやすいところがいいですね。
    そして、その場合、認知症の方がこういう風に感じてるから、周りの人はこういう風な言動をしたほうが双方にとっていい方向に向かうのではないか?
    というのはとても心算として、いい刺激となりますし、勝手に自分がそういう風な状況に陥っても例題と同じような言動をとってただろうな・・・と思うとこのことがすぐに実行できるかどうかは別としても頭のどこかにもう少し上手くいく手だてがあるんだと感じると少しだけ心が軽くなるような気がします。
    いい本に出会えたた感覚です。

  • 今はなき祖母の事を思い出しながら読みました。これを知っていればもっと出来た事があった。
    と同時にここまで脳の事が分かって来たのかという興奮も。

  • 大阪大学大学院教授、佐藤眞一先生による認知症の解説書。

    認知症の方と接している人や認知症近接領域で仕事する人にも、かなり分かりやすく、認知症についての解説がされている。

    学問的に理解するためではなくて、認知症の方にどのように接したらよいかというアドバイスがとてもためになる。
    そして、介護者側からの視点だけではなく、認知症の人の視点からも多くのことが語られている点がとてもよかったと思う。
    ----------------
    【内容】
    なぜ認知症の人はあのような行動をするのか?──20事例をもとに、認知症の人とその家族が抱える「心」の問題に迫る!

    認知症の人の数は、2010年時点で226万人、2015年には262万人に達すると言われている。
    高齢者社会の日本では、もはや認知症は特別なものではなく、ごく当たり前のものとなっている。
    誰もが認知症の人になったり、認知症を介護する人になる可能性があるのだ。
    「認知症の人は、なぜ、あんな行動をとるのだろうか?」
    「介護する人は、どのように、行動すればよいのだろうか?」
    ──こうした疑問に答えるために、認知症の人と介護する人の心と行動を、豊富な事例をもとに、
    心理学・人間行動学の観点から読み解いていく。
    ----------------
    【目次】
    第1章 認知症の人が抱える不安、家族が抱える不安
    第2章 認知症とは、いったい何なのか?
    第3章 ケーススタディで理解する認知症1──認知症になると見られることが多い症状
    第4章 ケーススタディで理解する認知症2── 認知症が進行するにつれて現れることが多い症状
    第5章 ケーススタディで理解する認知症3──認知症が重くなると目立ってくることが多い症状
    第6章 認知症の原因はアルツハイマーだけではない
    第7章 「ケア」と背中合わせにある「コントロール」
    ----------------

  • 最近流行りの認知症の人の心から、認知症の人の行動を解説する本。
    認知症の心の内を、その病気から、うまく行かなくなった機能を理解し、どうして、そのような行動が出るのかを解説している。多くの事例が紹介されており、また典型的な症状が多く紹介されており、特に認知症の人を介護している方の参考になると思う。
    認知症の人の症状は、脳の障害から来るとは思うが、その人の背景もかかわっているため、なかなか科学的に解明できないのかもしれないが、著者の解説はしっくりくるものだが、本当に認知症の人の心の内は分からないんじゃないかなとも思った。入浴を嫌がるのは、介護者か誰かわからなくなっており、知らない人から服を脱がされるのを不安に感じているからだ、と解説し、入浴介助をしているときに、性的行動をとるのも、相手を理解できないからだ、とか、正しい気もするし、違うような気もするような解説もあった。こういう部分に関して、心理的に深く推察することはできるが、さらに科学的に解明できる時代が来るといいなと思った。

  • 症例が如何にもありそうである。しかし、行動の理由付けも、成程と思わせる。しかし、決めつけも多い。水戸黄門はワンパターンなので,ワーキングメモリの負担が少ないので安心して見ていられる上に、展開が読めて自分に対する有能感が感じられるから高齢者に人気があるとか言ったら、不愉快に感じる人もいるだろう。
    それにしても,相手の行為を常に理不尽だと思わず、理由があると思えば楽になる部分もあるだろう。だからって、認知症の人の気持ちに寄り添ってなんかいられない。また、寄り添ったからといって、本当に状況が改善するとも限らない。しかしまあ、自分で抱え込まない、また、自分の反応を客観視すると言うのは役に立つだろう。

  • S493.758-ソフ-202
    300633120

    認知症は多くの人に誤解されている病気(=認知症になったら何もわからないなど)であるが、なぜ不可解な行動がおこるのかを、具体例をあげわかりやすく解説している。根拠を理解して対応する、という当たり前にことを思い出させてくれる。まさにevidence-based careを理解できる。

  • カバーの写真が気味が悪くて買うのを躊躇していたが、買ってみたら、黄色カバーだった。あの写真は販促になっていない。ただ、中身は、わかりやすく、ぼけ老人に世界がどう見えているか分かった。しかし、いかんせん学者なので、問題行動への対処などは、夢物語になってしまう。徘徊や性的逸脱行動などの問題行動は制止せず、共感し、傾聴し、注意をそらせば、和らげられる、と主張するが、それができるなら苦労しない。筆者もそれは分かっているだろう。筆者の主張通りなら、それができるロボットに介護させるしかないように思う。

  • 認知症、特にアルツハイマー型について、さまざまなケースを紹介するとともに、例えば俳諧とか物取られ妄想などの具合的な症状について、脳のどの部分がどういう風に障害されてそのような行動をとってしまっているのかということを解説しているので、大変勉強になった。認知症の人たちが、認知が障害されてしまったがためにどのような不安を感じているか、物事をどのように受け止めているのかについて解説し、それにどのように対応していけばいいのかのアドバイスもあり、本当に参考になった。
    ただ、特に家族が、認知症の人たちの不安を受け止め、寄り添っていくためには、認知症について頭では理解できても感情として受けとめられるかという「受容」がとても重要になると思うが、どのように受容していけばよいかということについては、少し筆が足りないかなあとは思った。「受容」こそ、家族の歴史、関係性、仕事、他の家族の状況など個別具体的な事情抜きには語れないので、新書のような本ではそこまで書けないのは承知しているが、認知症患者への対応についてのアドバイスに、そこまでできたら誰だって苦労はしないよ…と思ってしまうだろうなあという箇所もあり、この点が少し残念だった。

  •  理由があるのは、よくわかった。でもなあ。アルツハイマーの原因やメカニズムがわかっていなくて、結局どうすればいいんだというのがわからないのがつらいなあ。

  • 認知症について、例を挙げてわかりやすく書かれていると思う。
    なぜ?と思われる行動にも理由があること、その行動に隠された気持ちを理解すること、など、医療・介護に関わる人として頭に入れておくべきことと思う。
    しかし、家族に同じことを求めるのは、時として難しいのではないかと思ってしまう。
    実践できることが理想であるとは思うが…

    認知症の人、本人が一番辛いということを忘れずにいたい。

全15件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

大阪大学名誉教授

「2024年 『高齢期の発達科学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

佐藤眞一の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×