住んでみた、わかった! イスラーム世界 目からウロコのドバイ暮らし6年間 (SB新書)

著者 :
  • SBクリエイティブ
3.88
  • (6)
  • (11)
  • (7)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 95
感想 : 10
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784797376906

作品紹介・あらすじ

世界から年間1000万人を呼びこむ都市ドバイ。
世界一の高さを誇るビル、街中どこでもつながるWiFiなど、先端的な近未来都市である一方で、
そこに暮らす人々はイスラームの教えに忠実に生きていた!
イスラーム世界に飛び込んだ日本人女性による体験記!

はじめに
第一章 誕生から葬式まで、信仰とともにある生活
第二章 食材と料理
第三章 イスラームの成立と制度
第四章 ラマダーン(断食月)体験
第五章 イスラームに基づく身なり
第六章 男女別々の社会
第七章 イスラーム教徒が日本を好きな理由
第八章 イスラームに対するありがちな誤解
参考文献
おわりに

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • イスラム教の世界観は馴染みの薄い日本人には理解し難い事も多い。最近は日本で仕事に従事するムスリムの人々も増えてきたようで、たまに会社のエレベーターなどですれ違うこともあるが、周囲にいる日本人がどれほど彼ら彼女らを理解しているだろうか。イスラームを知ろうとしなければ、一日に何度もお祈りする姿やハラールしか口にできず、基本的には酒も飲めないなんて、何か我々で理解できない大きな力に支配されている様にも感じてしまう。そうした疑問を解消する為、昔から多くの書籍を読んできたが、平和主義でありながら過激派によるテロ、原理主義的に女性の権利を認めていないかと思えば、本書の様に女性を危険から守るための自然な慣習とも取れるなど、未だにそのいずれかが真の姿であるかは私には理解し難い点もある。ただ一つ間違いないのは、筆者が暮らしたUAEの様な恵まれた環境もあればタリバンに支配されたアフガニスタンの様な諸外国から見たら明らかに女性蔑視とも取れる環境もあり、またエジプトの様にミニスカートを履いた女性が普通に街を歩く姿もあれば、肌を見せる事を本心から恥ずかしいと考える様な、それら程度の差が国や地域または社会環境によって大きく異なる事だ。だが何れも人々は必ずイスラームの心を持っている。
    本書はUAEに6年暮らした筆者が女性の視点で見たイスラームについて、日常的な生活や冠婚葬祭、ビジネスなどあらゆる場での経験を基に描いていく。日本語教師として大学に勤め、学生(女性のみに分けられて受講するのが普通)達との対話を通じて、徐々にイスラームを理解していく経過を筆者と一緒に辿っていくことができる。
    もしかしたらそれはアラブ諸国の中のUAEという範囲に限定されるものかもしれないが、イスラームの生活に密着する形で語られる内容には、説得力があり、筆者が素直に感じた感想などが実に私の様な庶民的な感覚に親しみやすい。正直これまで読んできた中では一番わかりやすく、また読み終わった瞬間に読書ならではの追体験がまるで旅行をしてきた感覚の様に記憶に鮮明に残った(最近一番早く読み終わったかもしれない)。
    これからの世界は確実にイスラム教徒は増加する(イスラム教の教えは多産を善とし、現に人口増加率は高い)。少子高齢社会も改善の兆しがない日本で移民政策の必要性が訴えられいるが、前述の様に自分の所属する会社にも数名のムスリムが居るように、日本社会でも確実に増えていく傾向に向かう。ハラールを入り口に掲げる店はまだまだ少なく、モスクも多いとは言えない。ただ少し前なら公共施設には無かったお祈りの部屋がある事も珍しくはなくなったし、スーパーにハラール食コーナーを目にする事も増えてきた様に感じる。本書は2013年ごろのものだから、当時UAEの学生達が見た日本社会はまだまだだったと思うが、彼女達の目から見る日本社会はまだまだ住みにくい環境だというのは間違いないだろう。
    勿論、公共施設や交通機関、食事、住居、衣服など物理的な充実度を上げていくには時間がかかるが、先ずは人の心、彼ら彼女らの考え方を受け入れ普通に接する事ができる人が育たないことには、いつまで経ってもムスリムの人々の心からの充実感や信頼は得られないだろう。
    人は解らないものを恐怖・畏怖の念で見て接してしまう。生きていく上で本来的に備わっている未知なるものへの警戒心を持つのは当然だ。だからこそ、本書の様なイスラーム関連の書籍から学び知る事が重要だ。そして何よりニュースで流れる過激な組織が起こすテロ事件などで一つに括ってしまうのはあまりにも単純思考かつ愚かな事に気づくべきだ。それはイスラム教に限った事ではなく、キリスト教、ユダヤ教、ヒンドゥー教など我々が知らない世界への共通の接し方とも言える。隣人を知り隣人を受け容れ隣人を愛せよ、という事ではないだろうか。
    本書を沢山の人に薦めたい。

  • UAEの人たちはおおむね日本人に好意的という話が中心。

  • 知らないイスラムの世界とても面白かった。大砂嵐は元気かなあ。

  • UAEの日本語を教える大学教授の、日常をベースにしたイスラームの宗教観、文化を学べる本。
    すっと入る文章と、日常生活の端々から見える宗教観からくる、日本との違いはとても勉強になった。

    入門書としてオススメ。

  • ドバイで暮らし、UAEの国立大学で日本語と空手道を教える女性が実際に見聞きした現地の生活。

    イスラームのことが中心ですが、ドバイらしいお金持ちエピソードや女性だから知ることのできるファッション、学生たちからの現代ならではの話題などもあり、楽しくイスラームの習慣や生活がわかりました。

  • イスラームに対して全く無知だった自分にはとっつきやすい内容だった。
    人々の暮らしに息づくイスラームの考え方や習慣を、日本人の著者の視点で等身大に書かれているのがいい。

  • 同じイスラム教であっても、国によって違うが、イスラム教徒の人々が嫌だなと感じるポイントがわかった。謎が解けた感じ。

  • 女性が生きづらい社会、という印象が大きかったのですが、偏った見方だったのだと反省しました。著者と同じく、むしろ男性の方が大変だと思いました。

    持ち物を褒めることもむやみにしない方がよい、というその理由も、何だか納得できる気がしました。

  •  著者は、ご主人の転勤で、突然アラブ首長国連邦(UAE)のドバイに住むことになりましたが、そこでの生活は驚きと発見の連続でした。
     彼らの行動をながめたり、話していることを聞いたりしているうちに、日本人には不可思議に思えるイスラーム教徒の行動に一つひとつ意味や目的があることがわかってきたといいます。

     詳細なレビューはこちらです↓
    http://maemuki-blog.com/?p=2348

全10件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1968年生まれ。早稲田大学大学院アジア太平洋研究科博士課程退学。日本語指導の講師として、UAE国立ザーイド大学に2007年~2012年まで勤務。ドバイに2006年~2012年まで滞在。UAE国立ザーイド大学では、日本語のほかに空手道の講師も務めた。現在はロンドン在住だが、UAEと日本のかけ橋となるべく活動を続けている。

「2014年 『住んでみた、わかった!イスラーム世界』 で使われていた紹介文から引用しています。」

松原直美の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×