「逆さ地図」で読み解く世界情勢の本質 (SB新書)

著者 :
  • SBクリエイティブ
3.22
  • (3)
  • (8)
  • (11)
  • (2)
  • (3)
本棚登録 : 116
感想 : 13
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784797381429

作品紹介・あらすじ

●世界のホンネがわかる「逆地図的視点」のススメ!

地図はついつい自国を中心に見てしまいがちである。
しかし、地図の向きを柔軟に変えて世界を眺める癖をつけることで、
実は世界の本当の姿がより見えやすくなるのである。
この本では、地図の東西南北の向きを柔軟に変え、
焦点となる場所が目立ち、本質が理解しやすい向きから、
現代起きている問題や過去から引きずっている問題を
地政学を援用しながら俯瞰していく。

たとえば、中国を中心に、
南北を逆さにした地図を見ることで、
中国が日本列島や島々に取り囲まれていることがわかり、
何とか出口を探そうとする戦略が理解でき、
尖閣諸島の問題などの本質がつかみやすくなる。

ほかにもロシア、中東、イスラム国、アメリカなどをめぐる
最近の情勢や各国の戦略などの本質をつかむことで、
今後の日本が歩むべき方向性がわかるであろう。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 今人気の「サクッとわかる ビジネス教養 地政学」と同じような内容です。

    この本は、タイトルのとおり『逆さ地図』がポイントです。
    各国の位置関係に新たな発見がありました。

    中国が下で日本が上にくるようにして中国から見ると、日本列島やフィリピンが覆いかぶさっていて、なんとも邪魔な存在だということが良く分かります。

    ヨーロッパでは、ヨーロッパを制したナポレオンもヒトラーもロシアに攻め込んでいます。
    ロシアを征服すれば肥沃な土地が得られ、陸路でアジアに通じることができる経済的メリットが見込めるからです。
    これを防ぐために防波堤として、チェコ、ポーランド、ハンガリー、さらに東ドイツまでがソビエト連邦の勢力下に置かれていました。
    隣国が強く干渉してくるのですから、なかなか民主化ができなかったのも仕方ないですね。

    今でもウクライナが欧州とロシアの双方にとって重要な位置にあり、各国の思惑によって政治的混乱がしばらく続きそうです。

    パソコンで「逆さ地図」を検索して、日本列島を別角度から眺めると、きっと何か新しい発見がありますよ♪

  • 目からウロコとは、この本を読んで感じることでしょうか。私が外国と関係するニュースに接する場合、昔から見慣れている日本を中心とした世界地図を頭に思い浮かべて捉えてしまいます。

    日本中心の地図を見ていると、なぜ、中国や韓国が尖閣諸島や魚釣島のことを話題にしているのかが見えてきません。せいぜい、海底油田の資源を欲しいからだろう、という誰かの解説が印象に残ってしまいます。

    ところが、中国を中心とした地図(この本のタイトルである逆さ地図)で見てみると、沖縄や尖閣諸島の重要性が理解できるような気がします。同様の考え方で、現在、ロシアで起きている問題も、彼らの地域を中心にした「逆さ地図」で見ると、違って見えてくるのが私にとっての発見でした。

    特に、p29にあったロシア側から見た中国、韓国、日本の地図を見て、日清戦争後に三国干渉で返却することになった「遼東半島」の戦略的重要性がよくわかりました。

    地図が好きで昔から何度も見てきましたが、いつも見慣れた地図ばかりで、それを反対から見たことがなかった私にとっては、この本は地図の新たな見方を示してくれた、記念すべき本でした。この本の著者である松本氏には、この考え方を更に深めて、続編を書いてほしいと思いました。

    以下は気になったポイントです。

    ・中国が地図を逆さまに見るようになれば、自国の本当の姿が良く見えるようになる、周辺国はその動きに対抗しようと躍起になる(p15)

    ・アラスカはかつてロシア領、クリミア半島を巡る戦争で経済的に疲弊し、1867年に720万ドルでアメリカに売却した(p19)

    ・中国の海軍は、地図上に日本列島から台湾、フィリピン、南シナ海にいたる線を引き、「第一列島線」とした、さらに、日本の本州、小笠原諸島、グアム、ニューギニアを結んだ線を、第二列島線とした(p25)

    ・行詰ったウクライナ政府に対して、ロシア政府が財政改革なしの財政支援と天然ガス等のエネルギー値下げを提示したので、2010年のウクライナ大統領選では、親ロシア派のヤヌコビッチが復活当選した(p40)

    ・旧ソ連の、バルト三国を含む、東欧7カ国のNATO加盟が2004年に実現した、なのでウクライナ問題はロシアとしては絶対に譲れない(p50)

    ・現在では、ロシアの輸出の75%は、石油と天然ガスで占められている。一方で、ロシア工業は高い労働コストと低い生産性のために国際競争力がない(p55)

    ・仏領インドシナとよばれた、ベトナム、ラオス、カンボジアは、日本が敗退した後にフランスから独立を宣言したが、フランスは再度植民地化を図った(p69)

    ・第二次安倍内閣発足直後の2012年12月27日付で発表された「アジアの民主主義防護のダイアモンド」という論文は、中国を名指しで批判した。日本のメディアはほとんど紹介していない(p82)

    ・日本のANZUKグループへの参加が実現されれば、安倍論文の言う「ダイヤモンド」が事実上結成される(p95)

    ・第一次世界大戦でオスマン帝国が敗退した戦後処理は、「サイクス・ピコ協定」という密約(フランス、イギリス、ロシア)によって、国境線が引かれ、シリア、レバノン、イラク、ヨルダンに分割された。(p118)

    ・現在のイスラム国は、シリアとイラクの国境をなくし、サイクス・ピコ条約を事実上、反故した形となっている。イスラム法による中東の新秩序成立を目指してい
    るからだろう(p125)

    ・モスルに居座った武装集団は、2014年6月29日に、「イラク・シリアのイスラム国」から、「イスラム国」へと名称をかえて、国家樹立を宣言した、7月3日にはシリア最大のオマール油田を占拠した(p125)

    ・15-29歳の男性人口が全男性人口の30%を超えた時、既存の社会では能力を発揮できる場が極端に少なくなるので、若者に残された道は、海外移住、対外侵略、革命、テロ、内戦となる(p139)

    ・ベトナムとラオス、カンボジアの国境線に、安南山脈が走っている、この両者で文化が異なる。箸食と手食のように(p145)

    ・20世紀初頭には、イギリス領は、ビルマ、マレー(含むシンガポール)、フランス領のインドシナ(ベトナム、ラオス、カンボジア)、アメリカ領フィリピン、オランダ領東インド(インドネシア)であり、4分割されていて、独立国はタイのみ(p149)

    ・エリート達は自分達の主張を宗主国に伝えるために宗主国の言語を利用した、こうしてインドネシア語にはオランダ語、マレー語・ビルマ語には英語、ラオス語にはフランス語が入り込んだ(p150)

    ・タイは、1867-1909年まで6回にわたって、イギリスとフランスに領土を割譲して、領土はほぼ半減している(p164)

    ・2003年時点でアメリカ陸軍には、155の戦闘大隊があるが、実戦従事しているのは、2001年10月以前は17だったが、2003年9月には、98(p201)

    2015年7月19日作成

  • 地図の向きを柔軟に変えて眺めることで、世界の姿が見えやすくなる。中国、アジア、地中海、中東、そして世界の領土問題について、地政学を援用しつつ読み解いてみる。

    定型パターンとして思考停止になってしまっている地図を、改めて読み直すためのひとつの手段だと思いました。

  • 世界地図を逆さにしたり、中心をズラして見ることで問題の本質が見やすくなる。
    海洋国家=シーパワーと大陸国家=ランドパワーでは考え方が違うのかもしれない。
    ユーラシア大陸南部の海に面してる一帯が「リムランド」、「真珠の首飾り」、「ダイヤのネックレス」、「不安定の弧」などと様々な名称で呼ばれていて、世界的に今後の重要な地域であるとともに、何が起こるかわからない地域でもある。
    地理的な内容が多いが、歴史もわかるので、世界情勢を知るにはいい一冊。

  • 地図の見方を変えることで、いろいろな国の思惑が見えてくる。歴史と地理が苦手な私でも読みやすい本。

  • 近代史の知識の補填ができて為になった。
    長年にわたる各国の領土問題は根深く、解決の糸口が見えないからこそ、本質は変わらない。満足度9

  • タイトルにある地図を逆さにすることは本質的な話ではなく、地政学の基本的な話を知るとウクライナや東・南シナ海の話がだいぶ分かりやすくなるという内容でした。

  • 東2法経図・開架 312.9A/Ma81s//K

  • 地図を逆さにすると見えてくるもの。各国の欲望、外交駆け引き、防衛戦略。そして歴史の負の代償。

  • h10-図書館2017.11.21 期限12/5 読了12/9 返却12/10

全13件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1947年高知県安芸郡生まれ。1971年明治大学政治経済学部政治学科卒業。国士舘大学大学院政治学研究科修士課程修了、政治学修士。ジャーナリストとしてアメリカ、アフガニスタン、パキスタン、エジプト、カンボジア、ラオス、北方領土などの紛争地帯を取材。
TV、新聞、雑誌のコメンテイター、各種企業、省庁などで講演。著書に『戦争民営化』(祥伝社)、『国際テロファイル』(かや書房)、『「極東危機」の最前線』(廣済堂出版)、『熱風アジア戦機の最前線』(司書房)、『日本人だけが知らない「終戦」の真実』 (SB新書)など多数。

「2021年 『知らないではすまされない地政学が予測する日本の未来』 で使われていた紹介文から引用しています。」

松本利秋の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×