観察力の鍛え方 一流のクリエイターは世界をどう見ているのか (SB新書)

著者 :
  • SBクリエイティブ
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784797398229

作品紹介・あらすじ

「ぼくらの仮説が世界をつくる」「WE ARE LONELY, BUT NOT ALONE. 〜現代の孤独と持続可能な経済圏としてのコミュニティ〜」に続く、3冊目の著作は、感性よりも表現力よりもたいせつな「観察する」力について。

数多くのトップクリエイターに伴走し、新人漫画家を育成するなかでたどり着いた最重要な能力、それが観察力だ。「仮説→観察→検証」のサイクルを上手にまわせる者だけが、深く対象を理解し、心を動かす作品を残すことができる。
では、観察力とは何か?どうすれば身につくのか。
文学から心理学、仏教、経営まであらゆるジャンルを横断し、3年をかけて思索を深めてきたその「ドミノの1枚目」とは!

感想・レビュー・書評

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  • "私達は目ではなく脳で世界を見ている"というフレーズが印象的だった。
    言われて見れば確かに…と納得だった。
    今までの考え方に新たな視点を貰った、そんな発見があった。

  • 本書を手にしたとき、アーサー・コナン・ドイル氏の作品、シャーロック・ホームズの1シーンが浮かんできた。
    ホームズとワトソンとの会話
    以下引用
    ホームズ「きみは確かに見てはいる。だが観察はしていない。見るのと観察するのとでは、大違いなんだ。たとえばの話、この家の玄関からこの部屋まであがってくる階段、きみは何度も見ているだろう?」
    ワトソン「ああ、たびたび見ている」
    ホームズ「たびたびとは、何回くらい?」
    ワトソン「そうさな、何百回となく」
    ホームズ「じゃあ訊くが、階段は何段ある?」
    ワトソン「何段か、だと?知るものか」
    ホームズ「そらね!きみは観察していないんだ。そのくせ、見るだけは見ている。そこなのさ、ほくの言いたいのは。〜〜以下略」
    (シャーロック・ホームズの冒険{新訳版}創元推理文庫から抜粋)
    本書は、観察すること、その行為そのものに関する思索を深め、理想的な観察者の頭の中を開示しようとしている。
    今までにないものの見方や、意識的に観察するモードへのスイッチを手に入れたと思う。このスイッチも使い続けないと錆びついてしまうだろう。
    マネジメントの現場でも、観察することはとても重要なこと。本の帯には「全表現者必読!」と記載があるが、表現者のみならずリーダーやマネージャーという役割の人にもお勧めだと感じた。

  • やはり一流のクリエーターの語ることは、すっきりわからなかったりもやもや感じることもありました。
    それでも佐渡島さんの思考や観察力は学ぶところがいろいろありました。

    人がいかにいろいろなバイアスによって思い込み、判断をくだしているか

    いつも新しく人を惹きつけることを生み出してる佐渡島さん。
    「優れた仕事に必要なことは、ホームランではない。当たり前を積み重ねることだ。だから、突飛なアイディアを思いつくよりも、基本を身につけることが一番重要だ。どんなフェーズにいる人も、まずは『真似る』。」
    は意外でもあり、とても心に残りました。

    「あいまいさを受け入れる」はなかなか難しい

  • 1.私は観察することが苦手です。観察しても何か閃くこともないし、退屈になってきます。
    ただ、観察することの大切さは充分に理解しております。だからこそ、観察力を高めるために読みました。

    2.本書は鍛え方と言っているが、実は違います。著者自身、観察力というものについて答えが出ておらず、明確な定義もないと述べています。そして、本書は著者自身も観察力とは何かと問いながら作っているのがこの本です。
    観察を見誤るのはなぜか?感情まで読み取るにはどうするか?などのテーマを述べてます。

    3.観察して明確な答えを出すことが大切だと思ってましたが、最後の章で「曖昧でもいい」という結論に驚きました。観察が歪む原因は心理学でもわかっていたので気にしませんでしたが、曖昧であることの良さ、深さを学べました。

  • 生きていく上で、一つの強力な引き出しになると思う。

  • ・いい観察は、ある主体が、物事に対して仮説を持ちながら、客観的に物事を観て、仮説とその物事の状態のずれに気づき、仮説の更新を促す。一方悪い観察は、仮説と物事の状態に差がないと感じ、わかった状態になり、仮説の更新が止まる。
    ・何者かであることは牢獄だ 自分であることは存在しないことだ
    ・仮説は観察を始めるときの最強の武器になる。現代はたくさんの道具がある。その道具に振り回されると、人は観察ではなく「観測」を行ってしまう。観察をすると手触り感のあるデータが手に入り、それ以上先を見ようとしなくなってしまう
    ・徹底的に真似る 型に気づく
    ・オリジナリティとは、型がないものがないのではない。型と型を組み合わせたときに生まれる。いかに遠い型と型を組み合わせるかが確信を生み出す。だから「革新は、辺境から生まれる」といわれるのだ。オリジナリティがあるものを作るためには、型を携えて、辺境へ行く必要がある
    ・起きていることはすべて正しい
    ・後知恵バイアス:ものが起きてから、それが予測可能だったと考える傾向。
    ・感情と理性は対立するものではなく、最終的に調和するものであり、それを目指すことこそが人としての成長
    ・感情とは、意思決定を素早くするための道具でしかない。あなたの感情は、無意識に、思考の癖で、自らが選んでしまっているものだ。そうではなく、自分で自由に選べるものだと思う方がいい
    ・いろいろな感情の特徴
     不安:わからないものに対して注意が向く
     恐怖:手に負えないものに注意が向く
     悲しみ:ないことに注意が向く
     怒り:大切なものが脅かされることに注意が向く
     喜び:獲得したことに注意が向く
     安らぎ:満たされていることに注意が向く
    ・人が作ったものには、混合感情が込められている。その混合感情を読み解き、受け取ることが、他社からの匿名の贈与を受け取ることではないか
    ・僕たちは、意識していることしか思考できないので、無意識の力を低く見積もりがちだ。だが、反応のかなり多くは無意識で行われている。それどころか、どうやって無意識で行い、習慣に組み込んでしまえるかという努力を、僕たちは普段している
    ・絶対からあいまいへ。自分がどこに住んでいるのかなど曖昧な状態が思考を刺激する
    ・18歳の君たちは、世の中で最も保守的です。教科書に書いてある「わかったこと」ばかりを頭に詰め込んでいる。でも、革新的なことを考えるには「わからないこと」を学び続けないといけない。
    ・不惑:「わからないこと」「あいまいなこと」を受け入れられているから
    ・親が間違いを細かく指摘しだすと、子どもは間違いのない作文を書くことを優先させてしまう。作文に書かれている子供の感情に対して、感想を伝えるようにしてほしい
    ・絶対⇔あいまい、想像⇔模倣
     あいまい×模倣:未分化の状態
     模倣×絶対:再現可能(論理的)
     絶対×創造:多様性(感情的)
     創造×あいまい:わからないまま「ある」
    ・「わからなさ」を味わいつくすことが、よく生きること

  • 前半は良かったし、役立った。でもなあ、最後「愛」と言ってしまったらそれは最大の偏りで物事を観察することになりはしないか。ちょっとがっかりしてしまった。

  • 著者の佐渡島さんは、「WE ARE LONELY, BUT NOT ALONE.」以来、
    チェックする著者の一人なんですが、今回のテーマは「観察力」。
    中々ツウな感じのするテーマです。

    ※WE ARE LONELY, BUT NOT ALONE.
    https://booklog.jp/users/noguri/archives/1/4344032918#comment

    新書でライトな感じのつくりになっていますが、
    内容は結構濃くて、じっくり読まないと理解できないです。

    最初のころは、「見えるもの」の観察について書かれており、
    問い→仮説→観察(≒検証)のサイクルについての話や
    バイアスに関する記載がよくまとまっています。
    後半からは、「見えないもの」を観察するという
    佐渡島さんらしい観察についてのユニークな広げ方で、
    話が進んでいきます。

    後半はちょっと難しいと感じましたが、
    佐渡島さんの編集した漫画が好きな方なら、
    そのクリエイティブの断片を覗き見ることができて、
    面白いのではないでしょうか。

  • 物事を一つの方向から見ない。
    自分の「基準」だけで決めつけない。
    普通に生きていたら、なんとなく気にも止めずに通り過ぎたり、さらっと流してしまうことでも、疑いを持ったりさらに奥深く考えて観ることで、思考レベルが格段に上がるのだろう。
    著者の突き詰めていく頭に感銘を受けた。

    感情をコントロールできてしまうと人間らしくはないなと思ったが、どんな感情があって自分が今どういう状態かを把握できていると、心を整えることができる気がする。
    それでも、人間の本能的に出てしまう感情を抑えなくてもいい時もあるかな。

  • 2023.01.22
    まずは読み出し。自分自身の観察は感覚的なものである事に気付かされる。直感だけを頼りに、経験を単純に重ね、身体的に覚えている感覚が強い。もっと言葉で表現できるようになると、変わってくるのかも知れない。
    やはり、日記をつける事が有効そうだ。

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著者プロフィール

編集者、コルク代表取締役。1979年、兵庫県に生まれる。東京大学文学部を卒業後、講談社に入社して「モーニング」編集部に。『ドラゴン桜』(三田紀房)、『働きマン』(安野モヨコ)、『宇宙兄弟』(小山宙哉)などのヒット漫画を生み出し、小説家の伊坂幸太郎、平野啓一郎も担当した。2012年に独立し、クリエーターのエージェント会社コルクを創業。漫画家や小説家などとともにインターネット時代の新しいエンターテイメントの創出を目指している。
著書に、『ぼくらの仮説が世界をつくる』(ダイヤモンド社)、『WE ARE LONELY, BUT NOT ALONE.』(幻冬舎)、『観察力の鍛え方』(SB新書)などがある。

「2022年 『言葉のズレと共感幻想』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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