写真集 野口健が見た世界

著者 :
  • 集英社インターナショナル
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本棚登録 : 53
感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (144ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784797672541

作品紹介・あらすじ

アルピニスト野口健、初の写真集。ヒマラヤ高山の荘厳な姿、アフリカの躍動する生命、フィリピン・沖縄の遺骨収集、そして東北の被災地まで。世界中を駆け巡る清掃登山家が撮り続けた写真の集大成。

感想・レビュー・書評

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  • 衝撃的。常に心と頭の隅に引っ掛かっている大きな問題を、野口さん、あなたは全てに自ら乗り出し、行動に移し…。TVクイズ番組での姿は家猫だったのですね。生死を常に体感している方の実行力に感服。少年の頃思い描いた写真家への道をこれから歩まれる野口さん。その写真はコントラストが非常に強く、ギラギラしています。肉食を自認する野口さん、多くの男性が「生きている」実感を求めながらも能わず、閉塞感に苛まれたり、戦場赴任や暴力といった間違った手段で実現した錯覚に陥っている現在。野口さんの真似をしたらいいと本気で思います。

  • 登山家 野口健さんが撮影した自然や人、動物の写真集。
    ただの写真集ではなく、とても“内容が重い”写真集です。非常に重いテーマなのですが全人類が一度は手にしてほしい作品です。

    現地で彼の眼と心で感じ取ったあらゆる衝撃が伝わってきました。厳かで美しい自然風景の写真もあれば、目をそむけ本を閉じたくなるようなすさまじいものなど、表情に富む1冊です。
    写真も然ることながら、野口健さんの率直で素直な文章もこちらの心に響きました。1秒ごとに変化していく空をまるで生き物のようだ、との表現には、ああ、本当にそうなんだろうな…とその様が頭に浮かびました。あと、ヒマラヤに対して“死”を感じるから“生”を感じられるという彼の死生観は胸に来るものがありました。また文章から彼が目にしたであろう光景を思うと、胸の中にとてつもなく重い鉛を乗せられ、写真を眺めたり、読み続けるのが辛くなるときもありました。しかし、それほどにこちらに強く訴えてくるものがありました。
    ウガンダの、自らの手で親を斧で殺さなければならなかった少年兵の話や震災3か月後の福島原発20km県内の養豚場で眼にした凄惨な現場、南三陸町 佐藤仁町長の「他のみんながいなくなって、俺らだけが生き残ったんだから、もう生き延びるしかないんだ」という言葉、フィリピンのレイテ島での遺骨収集にあたっての野口さんの気持ち。特に海の見える洞窟で御遺骨が多く見られる、というのも最期に海の向こう側にある祖国の日本を思って逝かれたのではないかとの野口さんの考察には、今をのほほんと適当に生きている私にはとても重く感じられました。私は戦争を生身で体験したことは幸いなことにまだありません。しかし本書を通して実際にこのような状況に置かれた人々が確かにいたのだという事実は胸に刻まれました。

    まだまだ、感想を述べたい写真(ナイロビ郊外でゴミを運んでくるトラックに群がる人々、ヒマラヤの雪が溶けそれが原因で起きた洪水で亡くなった方などなど)や文章がたくさんあるのですが考えがまとまらず、書くことさえやめてしまいそうだったので思ったことを走り書きました。

    特に今上げた環境問題については自分を含め、現代社会の便利さの恩恵に与れている人とそうでない人を問わず、好き勝手に自然を利用してきた報いを近い将来に受けることになるだろうなと思いました。

  • 写真で見ることが、現状を知ることが出来た

  • いい写真集だ。ヒマラヤ、アフリカ、フィリピン・沖縄の遺骨収集、そして東日本大震災の被災地を野口がゆく。中学生や高校生の頃に出会いたかったというのが本音である。目をどこに向けるか、何を見て、どう感じるかで人生は決まる。噂話を垂れ流すテレビよりも、一枚の写真に心を動かされる。
    https://sessendo.blogspot.jp/2016/06/into-world.html

  • いい視点をもってるひとだな、羨ましい

  • アルピニスト野口健の目が捉えた世界。雄大なヒマラヤの大自然にページいっぱいに広がる。大雪渓が持つ壮麗さと怖さ。人間の儚さを思い知らされる。さらにページを進めると、今度は力強く生き抜く人間にスポットが当てられる。どんな状況下に置かれても逞しく生きる子供たちの精気が清々しかった。このほか動物があり、遺骨収集があり、大震災が映し出されており、強いメッセージを受け取った。

  • ヒマラヤに登ると死を感じると書かれていたが、日本にいても死を強く感じることはできるし、強ければ強いほど生も同時に感じられる。両極にあるものは実は身近にあると思う。

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著者プロフィール

■野口 健(ノグチ ケン)
アルピニスト。1973年、アメリカ・ボストン生まれ。亜細亜大学卒業。99年、エベレスト(ネパール側)の登頂に成功し、7大陸最高峰最年少登頂記録を25歳で樹立。以降、エベレストや富士山に散乱するゴミ問題に着目して清掃登山を開始。野口健環境学校など子どもたちへの環境教育や、ネパール大震災、熊本大震災の支援をきっかけに災害支援活動などにも取り組む。

「2022年 『父子で考えた「自分の道」の見つけ方』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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