- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784797673975
作品紹介・あらすじ
あなたは最後までページをめくれるか?
寄生虫が寄生する先の生物(宿主)の脳に司令を出して彼らの行動を操作する生物の存在が、近年解明されつつある。
宿主から恐怖心を奪ったり、ゾンビ化させたり、危険な場所へおびき寄せたり――
背筋がゾワッとしてしまうほどおぞましく、したたかな生態をもつ寄生虫たちを、人気イラストレーター・猫将軍の魅力的なイラストとともに紹介。
例えば、ある寄生虫は昆虫の体内で成虫になり、やがて水中で交配する。
昆虫にとって水辺は開けていて明るく、天敵に見つかりやすい場所なので通常は近づかないが、それでは水中に移動できない。
そこで寄生虫がとある化学物質を分泌すると、宿主の昆虫は水に飛び込みたくて仕方がなくなってしまう――。
このように宿主を自在に操り、自らに都合の良い行動を取らせる寄生中の生活環は、精緻かつ巧みに設計されており、非常に残酷かつ興味深い。
そのなかでも特にキモ怖い生物を厳選してその生態を紹介。キモ怖すぎて眠れなくなること間違いなし。
【本書に登場する寄生虫たち】
ハリガネムシ/トキソプラズマ/リベイロイア/メジナ虫 他
エキノコックス/サナダムシ/トリパノソーマ/フォーラーネグレリア 他
タイコバエ/ロイコクロリディウム/フクロムシ/タイノエ 他
【著者プロフィール】
大谷智通:サイエンスライター、編集者。東大農学部卒業後、同大学院農学生命科学研究科水圏生物科学を専攻。
魚病学研究室に所属し、小川和夫(現・目黒寄生虫館館長)のもとで魚介類の寄生虫病の研究を行なう。出版社勤務を経て独立。
主な著書に『寄生蟲図鑑』(講談社)、『えげつないいきもの図鑑』(ナツメ社)など。
猫将軍:イラストやキャラクターデザインを得意とするアーティスト。和歌山県在住。
ゲームのコンセプトイメージやジャケットイラストなど、数多くのアートワークを手掛ける。昆虫、動物、女性、宝石、肉、スイーツといったモチーフを得意とする。
画集に『猫将軍画集』(2021年・玄光社)『ILLUSTRATION MAKING & VISUAL BOOK 猫将軍』(2014年・翔泳社)がある。
感想・レビュー・書評
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地球上に存在する約870万種の生物のうちの大半は寄生生物。そして、寄生生物は単純に種類が多いというだけでなく、その姿かたちやライフサイクル(生活環)は想像をはるかに超えて多彩。
本書は、そんな多様な寄生生物のなかから、「キモい」という言葉を幅広く捉えて、思わず目を背けたくなるようなグロテスクな姿をしたもの、私たちヒトにとりつくもの、吐き気をもよおす邪悪な戦略をとるもの、宿主に大きな害を与える行儀の悪いものなどに的を絞って取り上げられている。
第一章は取り付いた生き物の行動を操り、自分(寄生生物)の生存や生殖に都合の良い行動にさせるものたちの例。
別に寄生生物は意識を持っている訳ではないが、実にうまくコントロールしているのは、驚きだ。
第二章は、「ヒトに棲む」と題し、お馴染みのエキノコックス、サナダムシ、アニサキス等含め、それら寄生生物の危険性を説く。
これを読んでいると、野生動物に下手に近寄れなくなるし、野原や山、海や川や湖にも行けなくなってしまう。
第三章は「おぞましい生き様」で、見るからに気持ち悪くなるような姿や動きをするものを中心に。
原虫は、我々と同じ真核生物であり、寄生生活への適応から宿主の免疫システムを回避する能力を備えている。原虫を殺すような薬は多くの場合、私たち人間の細胞にも有害であり、原虫病を予防するワクチンの持続性は低い。
ヤバい生き物が、結構身近にいることを学んだが、君子危うきに近寄らずだな。
暫くしたら忘れそうだけど。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
多種多様な寄生虫の生存戦略に驚かされました。
キモいが目が離せない寄生虫のイメージを変えてくれる一冊。