プロが語る胸アツ「神」漫画 1970-2020 (インターナショナル新書)
- 集英社インターナショナル (2021年10月7日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
- / ISBN・EAN: 9784797680829
作品紹介・あらすじ
「日本一漫画に詳しい漫画家」との呼び声も高い著者が、漫画界に革命を起こした作家たちの作品とその表現方法を解説。
「あの名作漫画のルーツはどこにあるのか」「萩尾望都『半神』が“神作品"である理由」「『鬼滅の刃』大ヒットの秘密」など、漫画を知り尽くした著者が、1970年代から2020年にかけての作品を分析しながら、「漫画表現の歴史」を論じる。水島新司、井上雄彦、萩尾望都、鴨川つばめ、さらに吾峠呼世晴の作品を「構造」から読み解く。
著者描き下ろしの漫画・イラストも掲載!
【目次より抜粋】
まえがきにかえて(描き下ろし漫画)
第一章:不朽の名作『ドカベン』と『スラムダンク』――水島新司から井上雄彦への系譜
日本が誇る二大「化け物コンテンツ」/生きる伝説・水島新司/「野球漫画」の歴史/『イガグリくん』事件/大友克洋の衝撃
第二章:少女漫画を変革した萩尾望都1――ルーツから初期作品まで
手塚治虫の『新選組』に衝撃を受ける/伝説の漫画家・岡田史子/「花の二四年組」に与えた影響/少女から大人になる恐怖
第三章:少女漫画を変革した萩尾望都2――『ポーの一族』『トーマの心臓』はどのようにして生まれたか
伝説的な漫画「11月のギムナジウム」/「大泉サロン」時代の武勇伝/伝説の漫画『トーマの心臓』/死ねない孤独を描いた『ポーの一族』/「半神」を今こそ読んでほしい理由
第四章:「鴨川つばめ」が残したもの――『マカロニほうれん荘』以前・以後
脈絡なく放り込まれたアートなギャグの魅力/青春譚としてのマカロニ/壊れてしまった鴨川つばめ先生
第五章:『鬼滅の刃』の少女漫画要素――他者の「痛み」に寄り添う
『鬼滅の刃』に見られる少女漫画要素/『天使なんかじゃない』と『鬼滅の刃』の共通点/「別マまんがスクール」とは何か/困っている人・弱っている人に寄り添う
【著者略歴】
きたがわ翔(きたがわ しょう)
漫画家。1967年、静岡県生まれ。1981年、13歳のときに少女誌『別冊マーガレット』(集英社)に投稿した『番長くんはごきげんななめ』でデビュー。
86年からは活動の場を『週刊ヤングジャンプ』(集英社)に移す。漫画の技法や歴史に詳しく、その豊富な知識をウェブやラジオ番組などで披露している。
代表作に『19〈NINETEEN〉』『B.B.フィッシュ』『C』『ホットマン』(すべて集英社)などがある。
感想・レビュー・書評
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さいこう。
山田玲司のヤングサンデー、れいとしょうも大好きで見せていただいているんですが、文章になるとその愛とか情熱がさらに深みを持って感じられました。
個人的には前書き漫画の『つらいぜ!ボクちゃん』の一言に感激。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
SNSでかなりマニアックな漫画ネタを披露している漫画家きたがわ翔による熱い漫画話。きたがわ翔は少女漫画時代は雑誌で読んでいたけど13歳でデビューしていたとは知らなかった。
権利関係からだろうか? 例えば作中でスラムダンクの絵柄の変遷を語っているが、それを示す図版がないのが残念。評論というよりストレートにきたがわ翔の漫画愛を吐き出している感じ。 -
え?いや、なに?これ?
めちゃくちゃ面白かった。
そんなに漫画のマニアでもないし、
少女漫画となるとほとんど読んだ事ないのに、
めちゃくちゃ面白かった。
ストーリーの紹介だけで泣きそうになるものも。
ドカベンの殿馬はスラムダンクの流川?
「11人いる!」の作者はやはり凄いんだ。
マカロニほうれん荘!トシちゃん25歳!!
鬼滅の刃は少女漫画だったの?
面白すぎました。 -
●井上雄彦先生は北条司先生のアシスタントをしていた。
●鴨川つばめ先生は「過去は振り返らない」と言う理由から、ほとんどの取材や過去作品の出版依頼を断ってきました。
●鬼滅の刃が大ヒットした理由に、少女漫画の要素がふんだんに盛り込まれていたからだと捉えています。
●今の読者の求めているものとして「根っからの悪人がほとんど出てこない」
●女の子の好きなこと=恋愛ではなくなってきた。 -
山田玲司さんのヤンサンから。
ここから私は岡田史子さんの作品を読みました。
あれほど共感できないと匙を投げてた「鬼滅の刃」のヒットも、あぁ、そういうことなのかもな、と、少し納得できた。
私にも、あぁこれはいいな、と思う本屋漫画はあるのだけど、「誰もが認める名作」と謳われる作品を読んでも、天邪鬼な性格からか、「え?で?」という感想しか持てないものが結構ある。
私はそれを「嫉妬なのかな?」とか、なんとか自分の気持ちを探ってみようとしても、なかなか辿り着けない。「辿り着けないほど根深い嫉妬なのかな」と思うも、分からない。
…まぁ、いいんだけどさ。私には私で良いと思えるものがあるなら…、ということなんだけど。
自分なりにこんな風に、影響された作家をたどり読み解くことごできたら、すごく楽しそうだし、「え?で?」という2文字の感想に止まらない考えを持てそうだな。やってみたいな。 -
萩尾望都の解説、鬼滅の刃のヒットの秘密などの考察を面白かった。100分で名著の萩尾望都回を見ていると、相乗効果半端ない。れいとしょうもオススメ。
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漫画家である著者が他の漫画家の方や漫画について背景も含め語っています。
萩尾望都作品とかは読んだことがなかったですが読んでみたくなりました。 -
「この作者はこの先生の影響を受けている」といった文言が、ちょっと断定的に感じられる。まぁ、著者のきたがわ先生はあくまで漫画家であって評論家ではなく、また個々の断定や推察ももっと掘り下げれば、きっとなるほどと納得できるものと信じて読んだわけなのだけど、その辺りが文章としては少しストレスだった。
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<目次>
第1章 不朽の名作『ドカベン』と『スラムダンク』~水島新司から井上雄彦への系譜
第2章 少女漫画を変革した萩尾望都①~ルーツから初期作品まで
第3章 少女漫画を変革した萩尾望都②~『ポーの一族』『トーマの心臓』はどのようにして生まれたのか
第4章 「鴨川つばめ」が残したもの~『マカロニほうれん荘』以前・以後
第5章 『鬼滅の刃』の少女漫画要素~他者の「痛み」に寄り添う
<内容>
自身もマンガ家の著者による、マンガ論集。第4章までは順調だが、急に5章が現代篇で、もっと書いてあったのを割愛したのだろうな?と想像してしまう。ともかく、扱われた作品・作者への愛が凄い、圧が凄い。自分は、高校時代の愛読書『マカロニほうれん荘』が熱く語られているだけで、嬉しかったので買ったのだが、共感できた。