プーチン戦争の論理 (インターナショナル新書)

著者 :
  • 集英社インターナショナル
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784797681093

作品紹介・あらすじ

なぜロシアは、ウクライナに侵攻したのか。
プーチンの行動原理がわかる、入門書にして決定版の一冊!

「特別軍事作戦」という名の「プーチンの戦争」が世界を震撼させている。
この「戦争」を理解するには、ロシアが置かれている軍事的・経済的な状況だけではなく、プーチン、さらには多くのロシア人がもつ宗教観・民族観を知る必要がある。ロシア研究の第一人者が、新たな「文明の衝突」の核心に迫る。

(本書の特徴)
●旧ソ連・ロシア研究の第一人者が、「ウクライナ侵攻」の真相をわかりやすく解説。
●プーチン大統領と何度も対面し、東アジア情勢について話し合った経験をもつ著者が、西側のメディアではあまり報道されることのない「素顔のプーチン」を明らかにする。

【内容】
第1章:なぜロシアは、ウクライナへ軍事侵攻したのか
第2章:宗教・歴史からロシアを読み解く
第3章:分裂するウクライナ
第4章:プーチンの素顔
第5章:ロシアとCIS(独立国家共同体)
第6章:今後の安全保障体制

【著者略歴】
下斗米伸夫(しもとまい のぶお)
政治学者。法政大学名誉教授。専攻はロシア・CIS政治史。1948年、北海道生まれ。1971年に東京大学法学部卒業、78年に東京大学大学院法学政治学研究科博士課程修了。1988年から2019年まで法政大学法学部教授。2019年より同大学名誉教授。この間、モスクワ・ボストンなどでも在外研究を行う。『プーチンはアジアをめざす』(NHK出版新書)、『新危機の20年』(朝日選書)など著書多数。

感想・レビュー・書評

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  • ・ウクライナ東部地域はロシア語を話す住民が多く、工業が盛んでロシアとの結びつきも強い。
    ・クリミア半島がウクライナの単独管理であったことは、歴史的にない。
    ・ロシアは経済制裁で痛手を受けていない。原油価格の高騰で潤っている。
    ・落としどころがない戦争。

  • ソ連〜ロシア研究の専門家によるウクライナ戦争の解説。

    ウクライナ戦争については、どうしてもウクライナ側、欧米側にたった記事や論評が多く、ロシア側からみようとしていても、実は、ロシア側というより、反米という視点にたったものが多い感じがする。そういうなかで、長年、ソ連〜ロシアを見てきた著者による本は、新しい視点を与えてくれた感じがする。

    著者は、この戦争は、長い時間軸のなかでみることの必要性を述べていて、どこが起点になるかというとキリスト教化、正教化した時点となる。

    そして、ソ連という建前上、無神論の時代においても、実は正教的なものが指導者の間にもあって、ソ連崩壊後は、それが前面にでてきているということ。

    つまり、いわゆる安全保障のための力の論理だけでみることができなくて、宗教を理解することの必要性を説明している。

    その指摘の正しさについて、論評はできないが、そういう視点もあるのかということで、いくつもの発見はあった。

    本当にそういう因果関係なのか、もしかするとそういうストーリーがあとで構成されているのかは不明だが、プーチンやロシアの人々が生きているストーリーとしては、リアリティがあると思った。

    ロシア側の視点を理解することは、今、ロシアがやっていることを幾分も正当化することにはならないのだが、良くも悪くも理解することは、一定レベル、その行動を許してしまうことにもつながる感覚もあり、その辺りが悩ましいところ。

    この本は、どうしてプーチンがこの戦争を始めたかということの説明ではあるが、どうしてこうした過酷で残虐な戦争行為がなされているかの説明にはなってないような気がする。

    本のなかでも、あまりそうしたことへの言及がなく、その辺のバランスの悪さは感じるところ。

    もしかすると、ロシア側からの情報を得るためには、そういうことに言及することで、ルートがなくなってしまうことを恐れ、その辺りは他の著者にお願いというスタンスなのかな?

    という前提をおけば、他の本とは一味違う見解がわかって、有益だと思う。

  • 東2法経図・6F開架:319.3A/Sh54p//K

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著者プロフィール

法政大学法学部国際学科教授。
1948年生まれ。東京大学法学部卒業、同大学法学博士。成蹊大学教授をへて1988年より現職。専門:ロシア政治、ソ連史、冷戦史。
主な著書:『ソビエト政治と労働組合─ネップ期政治史序説』(東京大学出版会、1982年)、『ソ連現代政治』(東京大学出版会、1987年/第2版、1990年)、『ゴルバチョフの時代』(岩波新書1988年)、『「ペレストロイカ」を越えて─ゴルバチョフの革命』(朝日新聞社、1991年)、Moscow under Stalinist Rule, 1931-34(Macmillan, 1991)、『スターリンと都市モスクワ─1931~34年』(岩波書店、1994年)、『独立国家共同体への道─ゴルバチョフ時代の終わり』(時事通信社、1992年)、『ロシア現代政治』(東京大学出版会、1997年)、『ロシア世界』(筑摩書房、1999年)、『北方領土Q&A80』(小学館文庫、2000年)、『ソ連=党が所有した国家─1917~1991』(講談社、2002年、2017年文庫版『ソヴィエト連邦史』予定)、『アジア冷戦史』(中公新書、2004年)、『モスクワと金日成─冷戦の中の北朝鮮1945~1961年』(岩波書店、2006年、露版、2010年)、『図説 ソ連の歴史』(河出書房新社、2011年)、『日本冷戦史─帝国の崩壊から55年体制へ』(岩波書店、2011年)、『ロシアとソ連 歴史に消された者たち─古儀式派が変えた超大国の歴史』(河出書房新社、2013年)、『プーチンはアジアをめざす 激変する国際政治』(NHK出版新書、2014年)、『日ロ関係史─パラレル・ヒストリーの挑戦』(共編著、東京大学出版会、2015年)、『宗教と地政学から読むロシア─「第三のローマ」をめざすプーチン』(日本経済新聞出版社、2016年)。論文に「クバン事件覚え書」(『成蹊法学』No.16、1982年)、「労働組合論争・再論─古儀式派とソビエト体制の視点から」(『法政志林』No.1-3、2016年)など。

「2016年 『ロシアの歴史を知るための50章』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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