同伴避難

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  • 日本出版社
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  • Amazon.co.jp ・本 (128ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784798410937

感想・レビュー・書評

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  • まぁ〜!‥ #東日本大震災 及び新潟と言う双方の大震災の被災及び遺族の両者に拘った皆様には、明らかなる不適切な記述なので御詫び申し上げます。

    けども、動物達の避難と言う観点も生まれた案件(海外では?…スペインとフランス及びイタリアとコスタリカ並びにニュージーランド、ネパールの7地域(カ国も含めて)のみで、アジアではネパール台湾に次いで3地域目?)なのらしいので?…災い転じて福と為(な)す!と一考した方が?…泣く泣く手放した前(元も含めた)飼い主と被災者の為(ため)ですね?…。

    九州沖縄をはじめとした西日本地域でも、こう言う自治体の誕生を…心から御待ちして居(お)ります!…。

  • 図書館にて。

    災害が起こった時、人命優先の中、ペットたちに襲った被害についてはごく一部の報道でしか知ることができません。
    言葉を持たず、自らの窮状を訴えることが出来ない動物たち。
    法律的にも守られているとはいいがたい、家庭や社会の中で最たる弱者である動物たち。

    3.11の時、深刻だったのは原発事故の福島。
    すぐに帰れるだろうと思って動物を置いたまま避難したが戻れなくなった。
    避難所にはペットは入れないと断られた。
    集団避難で県外に行くバスには乗せることが出来なくてペットを置いてきた。
    そんな置き去りにされたペットたちが、鎖に繋がれたまま、家に閉じ込められたまま、または野放しにされて、飢えで瀕死の状態になっていたり、死んでいたり・・・。

    ペットの苦しみもだが、飼い主にとっても、その苦しみや悲しみ、怒り、自分の無力さなどと戦っていたのだろう。今でも戦っている人も多いと思う。

    この本には沢山の飼い主とペットの体験談が載っている。
    その中で南相馬市から避難してきた、クンクン(3歳・犬)と、飼い主のおばあちゃんの話しが印象的だった。
    大きな揺れが来て、クンクンと一緒に家を出て木につかまってやりすごした。その後、放射能が来るから体育館に避難しろ!と有線放送。
    2、3日で帰れるだろうという気持ちでクンクンを連れて避難所に向かったがペットは禁止だから、犬も猫も牛も豚もみな放してきてくださいと言われる。
    もし私だったら・・・。放すことなんてできない。一緒にいたい。守りたいと思う。
    このおばあちゃんも放すことは出来ずに、車の中でこっそりとクンクンと一緒に過ごすことになる。

    そんな生活を1週間ほどしていたが、放射能の値が上がって来たから、市のバスで新潟に避難すると言われる。
    ペットはバスに乗れないので、自宅に戻ってリードを放して置いてくるようにと指示される。
    おばあちゃんは車のガソリンは底をついていて、ガソリンスタンドも開いておらず、自家用車で新潟まで非難することは不可能だった。
    おばあちゃんは、どうせあと5年か10年しか生きられないのだから、クンクンと一緒にここにいたいと訴えたが、家族に反対され、泣く泣くクンクンのリードを放し自宅に置いていった。家にある限りのエサと水を残して・・・。
    すぐに迎えに行くと、数日で戻って来られると信じていたが、原発事故が収束することはなく、帰宅の見通しは全くたたない。
    おばちゃんは「クンクンを見殺しにするわけにはいかない。私は歩いてでもクンクンをむかえに帰る」そう決心し、避難先の市の職員にそのことを伝えた。
    すると、ペット専用のコンテナを用意するから、ペットを連れてきてもいいと言われた。

    新潟は中越地震の経験から、ペットと共に避難することや、ペットと飼い主の苦しみの理解など、災害時の動物救護ノウハウを活かし、ペットとその家族の受け入れを全面的にバックアップしてくれたのだ。
    おばあちゃんは家族と共に、電車とバスを乗り継いで自宅に向かう。クンクンを置いてきてから約2週間のことだった。
    自宅に戻るがクンクンの姿はない。エサも水もあまり減っていない。呼んでも出てこない。何度も何度も呼んだ。
    その時、険しい顔をしたクンクンが出てくる。毛はボサボサ、犬相も変わり、家族にすら近付いてこない。
    置き去りされた2週間で、ひとりぼっちで放浪し、怖い経験、不安な思い、家族に捨てられたことに傷ついたのだろう。
    家族が一緒に行こう!と言ったら大喜びでいつものクンクンに戻った。

    自分に置き換えてみたけど、考えただけでも苦しくて涙が出る。
    うちの猫を連れて一緒に避難したい。でも、ペット同伴避難は不可。
    立ち入り禁止区域になるから県外に避難しなければならない。でもガソリンがない。自力で避難するのは不可能。
    そうなったら、自分の命よりも大切に思えるほど愛しているのに、自宅に置いて逃げる決断を私はするのだろうか?
    娘もいて、娘の命も守らなければならない。
    そうなったら私は命の優先順位をつけて、愛猫を置いていくのだろうか?
    考えるだけでもその苦しみに潰されそうになる。

    自分、家族、そして2匹の猫。
    私は全てを守りたい。
    そうするにはどうしたらいいのか。
    しっかりと考え、市の防災についても事前に調べておくこは大事。
    この本は、そんなことを真剣に考える機会を作ってくれました。
    ありがとうございました。

    今現在も、この苦しみは終わっていません。
    ひとりでも多く、1匹でも多く、幸せになれますようにと願わずにはいられません。

    2016 23冊目

  • どうしても、一緒に避難できなかった家族もいる事を考えると苦しい気持ちになりました。
    動物と一緒に暮らしていない人にはわからないかもしれないけれど、本当に家族同然にかわいがっていた子を生きているのにおいて行かなければならなかった人、おいて行かれて家族を待ち続けた子たち…。

    そういう中で、こうして家族と一緒に避難出来た子たちがいて良かった。
    私たちも、もしもの時にどうすればよいのか、また自治体も動物の受け入れ態勢を整えてほしいと思う。

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著者プロフィール

1970年、広島県生まれ。“人と動物との共生”をテーマに取材活動を続けているフォトジャーナリスト。どうぶつ福祉ネットワーク代表。言葉を持たない動物たちの代弁者としてメッセージを発信することをライフワークにしている。著書に、『“いのち”のすくいかた』(集英社)、『どうぶつたちへのレクイエム』(日本出版社)、『ラスト・チャンス!』(WAVE出版)、『明るい老犬介護』(桜桃書房)など。

「2019年 『老犬たちの涙  “いのち”と“こころ”を守る14の方法』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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