大魔神伝奇 (クトゥルー・ミュトス・ファイルズ)

著者 :
  • 創土社
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  • Amazon.co.jp ・本 (356ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784798830292

作品紹介・あらすじ

1549年、宣教師フランシスコ・ザビエルは海路日本を目指すその途上、海中から出現した忌まわしいものに遭遇した。日本に辿りついた彼が布教しはじめたその教えは、それまで彼が信じていた神とは違う神への信仰であった。それから88年の時を経て徳川家光の治世。島原・天草の農民たちは苦しい年貢に追いつめられていた。キリスト教への改宗とその弾圧が繰り返され、ついに大穴山に眠る巨大神が長い眠りから目覚める。暗躍する豊臣の残党。天下の騒乱を目論む天狗たち。そして神の子天草四郎は恐るべき力を開放しようとする。巨大な魔神像と異形の邪神との決戦の舞台は原城へ…。戦慄の時代伝奇クトゥルー作品。

感想・レビュー・書評

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  • 大魔神といえば、特撮史上有名な、アレです。
    あの大魔神。
    なんとあれが、江戸時代がスタートしたちょうどその頃、
    島原の乱が起こったあの頃に、大暴れすることに……あんまり、ならない。
    まあ、大魔神というものは、虐げられた民衆が最後にすがって、ようやく崖の中から復活し、ラストに大暴れして終わりという印象があるが、あんな感じだ。
    しかし、そこまでのもっていき方がなかなか「まだか、まだか」と思わせて、面白い。
    一方、クトゥルーものという観点からすると、実に斬新。クトゥルーものであり、かつ伝奇ものでもあるのだけれども、そのグロさは、ああ、あの『水霊』の田中啓文だよね、という納得ができる。
    はっきり言おう。
    気持ち悪いです!
    読了語または読む直前に、目黒の寄生虫館に行くと、余計にリアルにグロい気が……ぐぇ。
    かの寄生虫は日本でも古くから知られていましたが、あれが体中に詰まってしまって、死んだあと、人の皮しか残ってなかった的な話が、『今昔物語集』に残っていまして、あーあーあー。
    ……グロいですね……。
    このグロさに、『太平記』に登場する妖霊星と天狗のくだりを彷彿とさせるシーンが混ざり、かつ、柳生十兵衛が登場することで、『柳生十兵衛暴れ旅』みたいな……。
    こんな、なんでもありでいいんだろうか!(いいんだ!)
    盛りだくさんで田中啓文作品好きには、大満足いくこと疑いなし。

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著者プロフィール

1962年大阪府生まれ。神戸大学卒業。93年「凶の剣士」で第2回ファンタジーロマン大賞佳作入選、短篇「落花する緑」で「鮎川哲也の本格推理」に入選しデビュー。2002年「銀河帝国の弘法も筆の誤り」で第62回日本推理作家協会賞短篇部門を受賞。ミステリー、ホラー、伝奇と様々なジャンルで活躍し、時代小説では「鍋奉行犯科帳」「浮世奉行と三悪人」などのシリーズなどがある。

「2023年 『貧乏神あんど福の神 秀吉が来た!』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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