直近の成功している企業を具体例に取り上げながら、ビジネスモデルのパターンを紹介する一冊。単に紹介するだけでなく、それぞれのビジネスモデルパターンのカードが付いていて、手軽にブレストに使えるのが良いかな。
①フリー戦略
・ソーシャルゲーム。ただでプレイできる設計にしながら、途中で課金しないとゲームがクリアできない仕掛け。課金で与えるアイテムはあくまで空想世界上のものであり、原価は限りなくゼロに近いため、一部のユーザーが課金することで、全体の利益を賄える。フリーで多くの集客をすることで、課金ユーザーの「率」は低くても、「額」は十分稼げる。
②プラットフォーム戦略。
・楽天市場。自社では何も製品をもたないが、個人商店をネット上に集積させることで、巨大なショップモールを構築した。楽天はプラットフォームの価値を高めることに投資(楽天ポイント等)をし、出店料、取引料等を各個人商店より徴収するモデル。また、集客した人を自社のグループで収益率の高い楽天銀行等に誘導することで、ビジネスを拡大。
・クックパット。自己開示欲の強い人のニーズを拾いつつ、レシピを見たい人のニーズにもこたえる「場」を先駆けて作り上げた。検索は基本無料だが「有料会員に誘導することで、月次の会員収入料を積み上げ」「また大量の閲覧回数をフックにバナー広告料で稼ぎ」「更に大量の閲覧データを各企業に提供すること稼ぐ」。1つのプラットフォームより、3度おいしい収益モデルとなっている。
・家元制度。ノウハウを学ぶために集まる人から金をとり、ノウハウのライセンスを発行・更新するのに金をとり、更にはノウハウを積み上げた人にはライセンスを発行できる権利を与えることで、その人が更に弟子を増やして行く。特定ジャンルのライセンス発行団体の大元締めになれば、勝手に収入が増え続けて行く。
③替刃モデル
・ジレット。髭剃りの本体は安く売り、替刃の買い替えで収益を上げるモデル。
④逆替刃モデル
・アイフォン。アイフォンユーザー向けのコンテンツを充実させることで、アイフォン本体の購入を促進、本体で利益をあげるモデル。
⑤グル―ポン。期日を決め、特定数量までオーダーが入れば特別価格で提供する仕掛け。特定数量までオーダーを持ってきたい顧客が、勝手に顧客を連れてきてくれる仕組み。フラッシュマーケティング。
⑥分割モデル
・ディアゴスティーニ。シリーズ連続ものの初回を大幅に安くすることで、1回目をとにかく買わせる。1回買うと2回目以降も購入したくなる心理を活用。2回目以降の購入で利益を回収。1回目の購入数により、2回目以降の生産予測数の精度を高めることも可能で廃棄ロスの低減にもつながる。
⑦ロングテールモデル
・アマゾン。リアル店舗ではスペースの制約上、売れ筋製品しか品揃え出来ない。地方の巨大倉庫を抱えるアマゾンなら幅広い品ぞろえが可能。年に数回しか発注かからない製品でも、裾野を広く持つことで莫大な売り上げになる。また、競合が品揃え出来てない為、価格競争に巻き込まれることが少なく、利益の貢献も高い。
⑧会員制モデル
・スポーツクラブ。来ようが来まいが、月極めで定期会員費を支払わせるモデル。休眠会員が利益を支える構造。
・コストコ。会員のみ買い物可能。会員は年1回会費を払わないとならない。会員費を払ったお客様は、元を取り戻すためにも「行かないと損」という心理状態になり、リピート率が高くなる(囲い込みにつながる)。会員費を払ってもその店で買いたいと思わせれる魅力があることが前提。