悲しみの力 「悲しみ」と「切なる思い」が私たちを健全な人間にする

  • ディスカヴァー・トゥエンティワン
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  • Amazon.co.jp ・本 (500ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784799329818

感想・レビュー・書評

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  • 読む人を選ぶ本かもしれません。
    気になる方は”はじめに”を読んで判断するのがいいかもしれません。

    全部で3部構成になってまして、興味深かったのは第2部と第3部です。

    スクールカースト上位に所属するために、それが自然な姿であるようにふるまう学生。
    学生生活が充実しているように見える彼らも、実は、心がお疲れ気味なんですよ、というお話です。
    そもそも、スクールカースト上位の人(根っからのスクールカースト上位者)に認められないと、そこに所属できないってのが馬鹿らしいと私は思ってしまうのですが、学生だとそうじゃないんでしょうね。。。
    上位にいた方が何かと得で、何かと有利な事が多いからなんでしょうけど。(自分もそうだったかも)

    自身の弱みを認められず、キラキラになるべくもがいて苦しいんだけど、それさえも受け入れられず、キラキラであろうとする。
    (弱みを認める=他人にバレる=スクールカースト上位にいられない、だから素の自分はないものとする)

    そりゃ、心が折れるよ。
    暗黒時代と言われる黒歴史も、自分が好きになれない性格も、全部なかったものとしてるんだから。
    でも、それらは消えないし、忘れられないし、なくならないし。心にずーーーとあり続ける。
    否定すればするほど苦しくなるんですよね。
    (さらに昔の自分を思い出した)

    それらの心の悩みを少しでも和らげてくれるのが、”書くこと”だそうです。
    弱みや人に話したくない感情や出来事を紙に書き出すのです。それを同じ境遇の人と共感すると更にいいようですが(自分だけでないとわかる)、これはハードルが高いかと思います。なので、書くだけでも十分ではないかと思います。
    実際、私は毎日心の毒吐き(ノートに書く)をしてますが、それだけでも効果はあります。

    第3部は「死」という重いテーマを扱ってます。
    大切な人の「死」をどのように受け入れるか?
    ここで小林一茶の短歌が登場します。
    このパートを読んでいて思い出したのが、「樽とタタン」(中島京子著)の”ぱっと消えてぴっと入る”です。

    その人(亡き人)が生きていた事実は消すことはできない、忘れようと思っても忘れることはできない。
    その人との記憶は胸の中で生き続ける。
    私とその人は、そのようにしてつながることができるし(自分一人ではない)、その人を知る人とも同じようにつながることができる。だから私は大丈夫。
    そういう事なんだと思います。

    「死」と「弱点」は全く異なるものですが、第2部と第3部をつなげてみると、対処の仕方は一緒になるのではないでしょうか。
    「死」や「弱点」を一旦認め、それらと共に自分という一人の人間が生き続ける。
    すると、下記のように自分自身を取り扱う事が上手くなっていく。
    ”私たちは「生まれ持った性質」を受け入れれば受け入れるほど、それをうまく扱う可能性が高くなる。”

    なかなか難しい事ですが、時間をかけてゆっくり取り組んでいこうかと思いました。

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著者プロフィール

プリンストン大学卒業、ハーバード大学ロースクール修了。ウォール街の弁護士を経て、ライターに転身。『ニューヨーク・タイムズ』『ウォールストリート・ジャーナル』紙、『アトランティック』誌などに寄稿するほか、企業や大学などでコミュニケーション・交渉術の講師を務める。TED2012の”The power of introverts”と題された講演は2500万回以上インターネットで視聴され、ビル・ゲイツお気に入りの講演の一つとして紹介されている。本書は1作目の著書で、すでに40言語に翻訳され、アメリカでミリオンセラーとなった。

「2020年 『内向型人間が無理せず幸せになる唯一の方法』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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