- Amazon.co.jp ・本 (111ページ)
- / ISBN・EAN: 9784800230065
作品紹介・あらすじ
本物はもう二度と見られない…犯人はなぜ、どのようにして名画を盗んだのか?レンブラント「ガリラヤの海の嵐」、ゴッホ「ケシの花」、マネ「トルトニ亭にて」、コロー「セーヴルの道」ほか、忽然と消えた名画59点を掲載!
感想・レビュー・書評
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窃盗犯が転売目的で行うことが大半だが、政治的主張を達成するための〝人質“として標的にされふケースもある。フェルメールの恋文は、その最初の犠牲者となったと言える。
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美術の世界は、大きな事件や政治に絡むようなことがあるんだなぁ。世界の美術館を知るのも勉強になった。
フランスのマルモッタン美術館には、モネの部屋というのがあるんだ。
スイスのビュールレ•コレクションは、印象派作品の宝庫だったんだな。そこで、2008年と、まぁまぁ最近、被害総額175億って、全然知らなかったけど、そういうのが今でも起きているのが驚き。 -
2019年8月17日読了。
消えた名画
●1934年4月10日
聖バーフ大聖堂(ベルギー・ゲント)
・ファン・エイク兄弟 「正義の審判者たち」
※多翼祭壇画「神秘の子羊」の一部
●1969年10月19日
サン・ロレンツォ礼拝堂(イタリア・パレルモ)
・カラヴァッジョ
「聖フランチェスコと聖ラウレンティウスのいるキリ
スト降誕」
●1945年
インメンドルフ城(オーストリア・ウィーン) 焼失
・クリムト 「ピアノを弾くシューベルト」
⇒ナチスが奪った絵画をこの城に疎開させていたが
最後、敵の手に渡ることを悔やみ火を放った。
●1972年9月4日 モントリオール美術館(カナダ)
・レンブラント 「小屋のある風景」
・ドラクロア 「洞窟の中の雌雄のライオン」
・ゲインズバラ「サー・ロバート・フレッチャーの
肖像」
・コロー 「井戸端でのもの思い」
「左ヒジをつく若い女性」
・ミレー 「ミレー夫人の肖像」「搾乳する女性」
●1972年11月12日
アルベール・アンドレ美術館(フランス)
・ルノワール 「アルベール・アンドレ夫人の肖像」
「花瓶のバラ」
・マティス 「サン・トロペの眺め」
・マルケ 「マルセイユの古い港」
●1981年3月11日
アルベール・アンドレ美術館(フランス)
・ルノワール 「野の若い女性」
●1986年5月21日
ラスボロー・ハウス(アイルランド)
・ルーベンス 「騎士の頭部」
●1990年3月18日
イザベラ・スチュワート・ガードナー美術館(ボストン)
・フェルメール 「合奏」
⇒遺言で空の額縁が飾られている
・レンブラント
「若き芸術家の自画像」(エッチング)
「ガリラヤの海の嵐」「黒装束の婦人と紳士」
・マネ 「トルトニ亭にて」
・フリンク 「オベリスクのある風景」
・ドガ 「三人の騎士」「フローレンス近郊」
「芸術的な夜会のためのプログラム」
「パドックからの退場」
⇒この世に残されたフェルメールの作品数は
わずか30数点
⇒2人の男が警察のフリをして侵入~警備員を
地下室に監禁。
●1990年9月16日 リンカーン法曹院(イギリス)
・ゲインズバラ 「ウィリアム・ピットの肖像」
●1993年11月8日
ストックホルム近代美術館(スウェーデン)
・ブラック 「静物」
●1995年1月6日
ロングリート・ハウス(イギリス)
・ティツィアーノ 「エジプトへの逃避途上の休息」
●1997年2月18日
リッチ・オッディ近代美術館(伊・ピアチェンツァ)
・クリムト 「女性の肖像」
●1998年5月3日 ルーブル美術館(フランス)
・コロー 「セーヴルの道」
●2000年1月1日
オックスフォード大学アシュモレアン美術館(英)
・セザンヌ 「オーヴェル=シュル=オワーズの眺望」
●2002年3月25日
フランス・ハルス美術館(オランダ)
・デュサルト 「酒宴」
・オスターデ 「居酒屋で酒を飲む農民」
・ベーハ 「居酒屋の前の陽気な一座」
●2002年12月7日 ゴッホ美術館(オランダ)
・ゴッホ 「スヘフェニンゲンの海の眺め」
「ニューネンのプロテスタント教会を出る会衆」
●2004年7月31日
サント・スピリト・イン・サッシア病院(イタリア)
・パルミジャーニ 「聖家族」
・チェーザリ 「鞭打ち」
●2006年2月15日
ストリンドベリ美術館(スウェーデン)
・ストリンドベリ 「嫉妬の夜」
●2006年2月24日
シャカラ・ド・セウ美術館(ブラジル)
・モネ 「海景(マリン)」
・ピカソ 「ダンス」
・マティス 「ルクセンブルク庭園」
・ダリ 「2つのバルコニー」
●2007年6月10日
ニュー・サウス・ウェールズ州立美術館(豪)
・ミーリス 「自画像」
●2010年5月20日 パリ市立近代美術館
・ピカソ 「鳩と小さなえんどう豆」
・ブラック 「エスタックの近くのオリーブの木」
・モディリアーニ 「扇を持つ女性」
・レジェ 「ろうそくのある静物」
・マティス 「田園風景」
●2010年8月21日
マハームド・ハリル美術館(エジプト・カイロ)
・ゴッホ 「ケシの花」
●2012年10月16日
クンストハル美術館(オランダ・ロッテルダム)
・モネ 「ウォータールー橋、ロンドン」
「テムズ川のチャリングクロス橋、ロンドン」
・ピカソ 「アルルカンの頭部」
・ゴーギャン 「開いた窓の前の女」
・マティス 「白と黄色の読書ランプ」
・フロイド 「目を閉じた女」
・ハーン 「自画像」
⇒6人の男による、わずか2分48秒の盗難劇
⇒主犯格のラドゥ・ドガル容疑者の母親が証拠隠滅の
ために 絵画を焼き捨てた疑い。
【戻ってきた名画】
●1911年8月21日 ルーブル美術館(フランス)
・レオナルド・ダ・ヴィンチ 「モナリザ」
⇒休館日に盗難
⇒犯人は、美術館に出入りしていたイタリア人大工
ヴィンチェンツォ・ペルージャ
⇒裏で糸を引いていたのは、贋作売りのマルケス
⇒2年後の1913年に発見
●1951年11月17日
ボルチモア美術館(アメリカ・ボルチモア)
・ルノワール 「セーヌ川の風景」
⇒2012年、1人のアメリカ人女性がフリーマーケ
ットで1枚の絵を7ドルで購入。
それが、長年行方不明だった本作と判明。
その後、その女性の母親が50年以上前から本作を
所有していたことが明らかになり、母親が美術館か
ら盗んだのではないかと疑われている。
●1961年8月21日
ロンドン・ナショナル・ギャラリー(イギリス)
・ゴヤ 「ウェリントン公爵アーサー・ウェルズリーの
肖像」
⇒4年後に戻る。
●1968年12月27日 京都国立近代美術館
・ロートレック 「マルセル」
⇒7年後の時効成立の1ヵ月後、会社員からの連絡に
より大阪で発見。
●1971年9月24日
パレ・デ・ボザール(ベルギー・ブリュッセル)
・フェルメール 「恋文」
⇒展覧会に貸し出されていた時に盗難。
⇒深刻な損傷も1年間掛けて修復
●1974年2月23日
ケンウッド・ハウス(イギリス・ロンドン)
・フェルメール 「ギターを弾く女」
⇒ロンドン市内の協会の墓地で発見
●1974年4月26日
ラスボロー・ハウス(アイルランド)
・フェルメール 「手紙を書く女と召使い」
⇒2度盗まれる。
⇒犯人はアイルランドの窃盗犯マーティン・カーヒル
●1985年10月27日
マルモッタン美術館(フランス・パリ)
・モネ 「印象ー日の出」
・ルノワール 「岩に座る浴女」
・モリゾ 「舞踏会で」
⇒犯人はフランス人のフィリップ・ジャマン。
フランス最大のギャングの一員。
⇒日本の有楽町3億円事件が事件解決の糸口に。
⇒5年後にギャングのアジトがあるコルシカ島で発見。
●1988年5月20日 アムステルダム市立美術館
・セザンヌ 「瓶とリンゴのある静物」
・ゴッホ 「カーネーションのある花瓶」
・ヨンキント 「ヌヴェールの通り」
⇒10日後に発見。
●1991年4月14日 ゴッホ美術館(オランダ)
・ゴッホ 「アルルの寝室」「ひまわり」
「ジャガイモを食べる人々」
⇒数時間後に無事発見
●1994年2月12日
オスロ国立美術館(ノルウェー)
・ムンク 「叫び」
⇒リレハンメル冬季オリンピック開会式の日に盗難
⇒3ヵ月後に奪還
●1994年7月28日
シルン美術館(ドイツ・フランクフルト)
・フリードリヒ 「漂う霧」
⇒5年後に実行犯は逮捕されたが
黒幕のマフィアのリーダーが捕まらず
作品が戻ったのは2003年8月。
●1998年5月19日 ローマ国立近代美術館
・ゴッホ 「アルルの女(ジヌー夫人)」
「若い農夫の肖像」
・セザンヌ「ジュルダンの小屋」
⇒8人の逮捕者の中、2人は強盗常習犯で
1人は美術館の監視係だった。
●2000年9月19日
ポナズン国立美術館(ポーランド)
・モネ 「プールヴィルの海岸」
⇒2010年に戻る。
●2000年12月22日
スウェーデン国立美術館(ストックホルム)
・ルノワール 「会話」「若いパリの女性」
・レンブラント 「肖像」
⇒ルノワールのの前者は2001年に
後者は2005年にLAのギャングから奪還。
●2001年3月22日
エルミタージュ美術館(露・サンクトペテルブルク)
・ジェローム 「ハーレムの浴場」
⇒2006年、匿名の男からの連絡で
損傷大きくも返還される。
●2003年4月27日
マンチェスター大学ウィットワース美術館
・ゴッホ 「パリの家々ととりで」
⇒翌日、公衆トイレ付近でみつかるも雨風にさらされ
損傷が大きかった。
●2003年8月27日
ドラムランリグ城(スコットランド)
・レオナルド・ダ・ヴィンチ 「糸車の聖母」
⇒76億円の価値が付いた作品。
⇒ツアー客に参加した犯人が白昼堂々強奪。
⇒4年後の2007年にグラスゴーで発見。
●2004年8月22日 ムンク美術館(ノルウェー)
・ムンク 「叫び」「マドンナ」
⇒美術品強盗で初めて銃が使用される。
⇒2年後に無事見つかる。
●2007年8月5日
ジュール・シュレ美術館(フランス・ニース)
・モネ 「ディエップ近郊の崖」
・シスレー 「モレのポプラ並木」
⇒10ヵ月後に無事救出
●2008年2月10日
ビュールレ・コレクション(スイス・チューリッヒ)
・モネ 「ヴェトゥイユ近辺のひなげし」
・ゴッホ 「花咲くマロニエの枝」
・セザンヌ 「赤いチョッキの少年」
⇒セルビア人グループによる犯行
●2008年7月30日
国立西洋東洋美術館(ウクライナ)
・カラヴァッジョ 「キリストの捕縛」
⇒2010年に回収するも損傷が激しく
修復にはかなりの時間が掛かる見込み。 -
「消えたフェルメール」の関連書として手に取った。
A5判で写真重視、本文の充実度は「消えた~」とは比べるべくもない。
読んだ順序が逆だったならそれなりだったかもしれないが、「消えた~」の後ではふーん、でしかなかった。
2018/10/24~10/25読了 -
忽然と消えた世界でも至極の名画59点が取り上げられ、説明されている。未だに見つからず、戻ってきていない名画の数々。何度も盗難にあっている名画。盗難事件の経緯なども紹介されている。
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盗まれ、未だ行方不明の名画と、戻ってきた名画59点に関して。かなり荒っぽい手口で破損も酷かったと知ると、すごく残念な気持ちに。ここ数年の事件もあり、いつあの名画が消えてしまうか分からないと考えたら、美術館に足を運びたくなりました。
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近代においても絵画の盗難が簡単に行われ、なおかつ美術館の手落ちが案外多いということに驚いた。
燃やされたと思われる美術品が悲しい。
価値が理解できない人間は触るべきではないよ。悲しい。
1990年3月にイザベラ・スチュワート・ガードナー美術館から盗まれたマネの「トリトニ亭にて」は、ぜひとも見つかって欲しい。
どうか一度でいいから実物を愛でてみたい。 -
フェルメールのファンなのと、「ムンクを追え!」 (エドワード・ドルニック /著、 河野 純治/翻訳)を読んだことがあるので、
表紙にもある、「合奏」と1994年の「叫び」の盗難事件は知っていましたが、
他にも70作品以上の絵画が盗まれていて、その中の半分以上は行方がわからなくなったまま、という事実を知り胸が痛くなりました。
本の内容としては、あくまでも盗難(及び返還)の事実を記してあるだけなのですが、
数十年前の技術で撮られた写真でしか見ることのできない作品もあり、掲載されている色あせた写真を見るだけでも胸が痛くなります。
名画は時に数十億の価値を生み出すものですが、資産としての価値の前にひとつの作品として、
その絵が出来上がるまでの画家の思いや、積み重ねた技術力などを思えば、とてもではありませんが無碍に扱うことなど許されない行為です。ましてや、元の持ち主から盗むだなんて言語道断。
盗難事件が風化されないためにも、こういう本の存在は大きいと思います。 -
ここで紹介されている絵画は、印象派などのジャンル別や年代別や、
画家によって分けられたわけではなくて、
「以前に盗まれたことがある絵画」という斬新なコンセプト。
絵画の素晴らしさよりも、その絵画が盗難にあった背景や経緯、
その後の成り行きを細かく説明している。
有名な作品を盗む動機としては、
闇市場での転売目的だったり、
美術館側の作品の買い戻し狙いだったり、
単なる金儲けのためのマフィアの強盗だったり、
もしくは、個人収集家が私物化するために
マフィアに依頼する契約強盗だったり、
美術館による保険金目当て(自作自演)など、多岐にわたる。
せめて盗むときは丁寧に扱ってくれーと
叫びたくなるような犯人の強引な手口もある。
絵画の一部をナイフで切り取ったり、
グチャグチャにポケットに丸めて持ち去ったり。
息子が犯人だと気づいた母親が、
証拠隠滅のために、かまどにくべて焼却した事件は特にたまらない。
http://www.afpbb.com/articles/-/2956251?pid=11042242
ゴッホとルノアールの絵を
「死んだら棺桶に入れてもらうつもりだ」
なんて言った日本人がいたなあ。とんでもないぜ。