スマホを落としただけなのに (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)
- 宝島社 (2017年4月6日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (403ページ)
- / ISBN・EAN: 9784800270665
作品紹介・あらすじ
麻美の彼氏の富田がタクシーの中でスマホを落としたことが、すべての始まりだった。拾い主の男はスマホを返却するが、男の正体は狡猾なハッカー。麻美を気に入った男は、麻美の人間関係を監視し始める。セキュリティを丸裸にされた富田のスマホが、身近なSNSを介して麻美を陥れる凶器へと変わっていく。一方、神奈川の山中では身元不明の女性の死体が次々と発見され…。
感想・レビュー・書評
-
面白かった
そして、怖くなってしまった。
スマホを落としたのは女性ではなくて彼氏だったのね。
ストーリとしては
主人公はアラサーの美人派遣社員の麻美。
その彼氏の富田がタクシーでスマホを落としてことから始まります。
拾った男はクラッカー
富田のスマホのパスワードを破り、SNS情報をもとに、麻美の個人情報洗い出していきます。
このクラッキング&情報取得作業が生生しくて恐ろしい。
FaceBookの成りすまし
パスワードのクラッキング
フィッシング
さらには架空請求などなど、
こうやって、個人情報を取得して悪さするんだというのがよくわかります!
そんなわけで、現在のネット犯罪の典型パターンがいろいろ紹介されていて勉強になります
そして何よりも怖いと思ったのが、本人がセキュリティ意識が高くても、付き合っている相手のセキュリティ意識が低いことによって、SNSでつながっている自分の個人情報がだだ漏れになってしまうところ。
本書は、そういったクラッキングに加えて、サイコパスのクラッカーが殺人までしていて、麻美の身も危なくなるところまで語られています。
クラッカーの視点、麻美の視点、警察の視点から、物語が進んでいきます。
麻美はどうなる?
クラッカーは捕まるのか?
といった展開からのラスト。
ありがちな展開でしたが、楽しめました。
やっぱりパスワードは変えましょう
推測しやすいものはやめましょう!
会社のセキュリティ講習の受信よりもセキュリティの意識が高まる一冊でした。
お勧め詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
本の内容が、全てタイトルに集約されている一冊でした。
ある日、彼氏がタクシーにスマホを置き忘れた。
それが悪夢の始まりだった。
拾った男はクラッカーとよばれる殺人鬼だった───
詳しく書くとネタバレになってしまうので、ちょっとだけ。
怖かったです…
もしもスマホを落としてしまったら…
自分の身にも降りかかってくるかもしれないと思うと、
背筋がぞくっとしました。
そして最後に明らかになった事実にあ然…
あの小さな機械の中にある膨大な情報、
それらに対応できるスキルもないのに、
何気なく扱っていることが急に怖くなりました。
忘れた時に困るからと、安易に設定しているパスワードを、早速見直さなくては!
そして何より、スマホは絶対に落としてはいけない。 -
嘘みたいな本当の話…読了したての時、バス停で放置されていたスマホが鳴っていた。雨が降り始めてきていたし、拾って帰宅。
ここからレビュー。うっかりスマホを落としたことから生じるサスペンス。拾い主はサイコパス。
着信履歴の美女をターゲットにあらゆる情報を抜き取る。
Facebookって怖いのね((( °ω° ;)))
ジワジワと罠に仕留められていく麻美に、いくら警告しても、もちろん届かず焦る。
日常の恐怖を一緒に味わった。
文体と表現力は、作者がテレビマンということで納得。画像を文章化している感じがした。
私がリアル拾ったスマホは持ち主に届けました -
現代の、スマホ社会ならではのミステリー。
スマホを落としたことで、少しずつ魔の手が伸びてくるのが面白くて、間延びせずに読める。
個人的には、麻美の過去の話をもっと掘り下げてくれたら面白いのになあ…とちょっぴり物足りなさも覚えました。 -
とても面白く、あっという間に読み終わってしまった。
の割に皆さんの評価が低いなぁと思ったのだが、ストーリーが怖すぎてなのか?
自分も以前Facebookをやっていたし、何となく身近でも起きてもおかしくないような、リアルな恐ろしさを、読書中ずっと感じた。
ページをめくるのが怖い感じがあったが、そこまで追い詰められた感じもなく、最後までドキドキしながら読むことが出来た! -
❇︎
『このミステリーはすごい大賞』
そして映画化。
いつか読めば……になっていた一冊。
期待し過ぎず、かと言ってどんな感想を持つか
全く見当つかずでもない、程よくいい感じの
読後感を想像して読み出しました。
〜感想〜
このミス大賞はやっぱりいい感じに外さない。
話がスマホ関係のトラブルから始まるので、
あり得そうな設定も想像しやすくてとても
読み進めやすい。
SNSやネット社会の良い表面と怖い深層層の
両方が描かれていて話に入りやすいくて、
グイグイ進む一気読み本。
既にシリーズで合計3冊出ているので、
何を読みたいか悩んだ時は残りの本を
探してみようと思います。
-
タイトルと素材が如何にも今風なので、それに釣られて読んでみた。たしかに安易にSNSにのめり込み気味の風潮が顕著ではあるから、警鐘を鳴らす意味合いもあるミステリーになっている。
半ばまでは結構な運びだったけど、終盤のバタバタな終わり方がミステリー要素詰め込み過ぎで残念な印象が強い。
なので解説者の手放しの称賛に鼻白んでしまった。 -
11月の映画公開を前に、この1年で早くも10刷を数えている評判の原作を読んでみた。
褒め殺しの解説子が云うように確かに読みやすい。久しぶりに約1日で読み終えた。それは反対に言えば、(私の基準では)読み応えがなかったということでもある。よくあるサイコパス。よくある連続異常殺人。よくある警察捜査の迷走。そして、被害者たる女性も、その恋人も、何処かに居そうな共感出来ない人物像。それでも読ませてしまったのは、よくある(私もしょっちゅうやる)スマホを落とした事が、事件のきっかけだったこと。しかもその後がホラーだったからである。セキュリティの危うさと、そこから続き紐のように引き出される個人情報の描写が、ぞっとして読ませるからに他ならない。
しかも、女性は既に北川景子で脳内に刷り込まれているので、主人公がいくら気に食わなくても、どうなるのか心配して読んでしまう自分がいる。私は何が気に食わなかったのだろうか?それは、作者のホントに描きたいモノがわからないからだ。サイコパスを描きたいのか?毒島刑事を描きたいのか?それとも麻美を描きたいのか?読んだ後は悪役にせよ、善人にせよ、心に残る魅力的な人物が残らないからである。
原作と映画は別物である。久しぶりの中田秀夫監督のジャパニーズホラーに期待したい。
2018年10月読了 -
再読。
いまやお財布が見当たらないよりも、スマホが見当たらない方が激しく狼狽する。
ましてや こんな怖い思いをするなら尚のこと。
便利な世の中になったけど、携帯、スマホが抱える負の部分も大きいなぁと思う。