危ない「道徳教科書」

著者 :
  • 宝島社
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784800286857

感想・レビュー・書評

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  • 2018年から教育再生の一環として教科化された道徳、政治の強い意向により教科化自体が目的化し、文科省・教科書会社も極めて短時間で対応させられたことから、肝心の教科書の中身がおろそかなものになってしまった。

    考え議論して自ら学ぶために、教える側に要求される高い能力を、学校の先生たちが持っていると信頼することも任せることもできませんってことですね。

  •  道徳はあってもなくてもそれはそれでかまわない。
     一番許せないのは、それを教科として子供たちに強制的に学ばせようとしている連中が道徳心を持っていないという事だ。

     これでは子供たちに道徳を教えるという示しがつかない。
     大人のやる事はとみに汚いものである。

  • 議論できる教材探しが重要だとわかった。今使用されているものは、答えがわかっているので、つまらない。真に新しい教科書での活発な議論ならば、という著者の案に賛成する。また忙しく、地域での体験不足の子どもたちには、多くの体験の方が真の意味での学習ができるという点にも共感。

  •  「特別な教科」として出発した「道徳」。本書は,2018年度から小学校で行われている「特別な教科=道徳」に関して,何が危惧されるのか,そして,現実に何が起きているのか…について,具体例も挙げながら示してくれています。
     例えば,ある会社の小学生むけの道徳教科書に「星野君の二塁打」という教材がありますが,これの取り上げ方には,大変問題があるといいます。内容は,監督のバンド指示を守らなかった星野君(結果的にはヒットを打ってチームが勝つ)が,監督から強く反省を迫られる…という話ですが,授業展開例を読むと「監督の指示は必ず守るべきである」「自分のことよりも集団の規律(この場合は,監督の指示=集団の規律)を優先すべきである」ということを決まり切ったこととして押しつけているだけだ―といいます。
     しかし,2018年,問題になった大学のアメフト試合のことを考えるとき,この結論がいかに馬鹿げているのかが分かります。
     文科省自らが言っている「討論する道徳」「主体的に考える道徳」という目標からも大きく離れつつある学校の道徳教育ですが,なぜ,こうなったのかというと,教科化を急いだからです。なぜ急いだのかというと,政治的な圧力があったからなのは間違いありません。
     かといって,今すぐに「やっぱり教科化はやめよう」とはなりません(たとえ安倍政権が終わっても…です)。ましてや「道徳教科化反対!」と旗を揚げても,現場の改革にはつながりません。今の現状を受け入れながら,「子どもが主体的に考える道徳の授業」に改善していくための方法を私たち現場の教師は考えていく必要があるようです。
     元文科相に勤めていた寺脇さんの文章は,説得力もあります。

  • 学校がめちゃくちゃやん!

  • 東2法経図・6F開架 375.3A/Te66a//K

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著者プロフィール

1952年福岡市生まれ。映画プロデューサー、映画評論家、落語評論家、京都造形芸術大学客員教授。東京大学法学部卒業。1975年文部省(当時)入省。初等中等教育局職業教育課長、広島県教育委員会教育長、高等教育局医学教育課長、生涯学習局生涯学習振興課長、大臣官房審議官、文化庁文化部長を歴任。2006年退官。著書に『国家の教育支配がすすむ 〈ミスター文部省〉に見えること』(青灯社)、『危ない「道徳教科書」』(宝島社)他多数。

「2022年 『教育鼎談 子どもたちの未来のために』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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