- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784801301078
作品紹介・あらすじ
累計40万部突破のベストセラー「今日、ホームレスになった」シリーズの著者が取材対象に選んだのは「ワーキングプア」。
正社員でも生活できない人たち、突然の失業で追い込まれた人たち、女性ワーキングプアの実態、底辺労働に希望が見いだせない若者たちなど、現代社会のいびつな構造を明らかにするノンフィクション。
感想・レビュー・書評
-
再分配の仕組みを早急に構築してもらいたい。
そう言ってもう何年経つんだろう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
私はまだ恵まれてるかなとか、私も結構こんなとこあるなとか、明日は我が身だなとか、結構差し迫って自分に置き換えて考える部分が多かった。お金があればあるだけいいとまでは思わないけど、ある程度はないとどんどん卑屈になっていくなと。もう自分の努力ではどうしようもないところにある時に、手が差し伸べられるでもなく更に突き落とされるような現実ばかりのこんな世の中なんて、本当にやるせない。搾取する側・される側、立場の強弱など、必要以上に行き過ぎてると思う。
-
20代から60近い人まで、正社員から非正規等々、様々な事情でワーキングプア生活になった34人のインタビュー。怠けていたり、学歴が低いなどというわかりやすいわけでもなく、まじめに働き、ダブルワークも珍しくないのに、ワーキングプアに陥ってしまったという厳しい現実が見える。
個別の事例紹介が中心なので、この社会問題自体を掘り下げる本ではない。が、あとがきで、「中流以上にいる危機感の軽薄な人たち」が問題だと書き、決して対岸の火事ではなく、また、一度陥ると悪循環にはまり挽回は困難と警鐘をならしていたのが印象的 -
働き方や安定の概念が大きく変わりつつある現代社会。
人生のちょっとしたつまづきで貧困になり、一度なると抜け出すことが極めて困難という事実が身に染みた。
-
図書館にて。ワーキングプアの実態インタビュー集。割と最近出た本なので、状況を抑えておくのに良さそう。
非正規雇用の広がりと、それに呼応して厳しくなる正社員の長時間労働という構図は、企業のグローバル競争の激化からもたらされているところがあり、一部の大企業を除けば企業側も負担しきれない図式があるように思う。賃金が上昇していかない、有期雇用でいつでも雇い止めがある、というのは希望をもつことができない働き方だと思う。それが生活していけないところまで落ちてしまっているのが一番の問題なのだろうが、そこは最低賃金の引き上げとか、雇用扶助とかでセーフティーネットを作っていく必要があるのだろう。重たいな。 -
このシリーズ、暇つぶしがてらに読んでいますけれども、いやはや…現代日本にはこんなに大変な人が多々、いらっしゃるんですね! という感じですかね…。
まあ、収入的には僕だってこの本に登場していた人らと何ら変わらないわけですけれども…不思議とネットカフェを梯子したりせずにそれなりの生活をしています…社畜死ね!!
ヽ(・ω・)/ズコー
んー…僕と彼らとで何が違うのか…おそらく諦念? みたいなものを持って生活しているかどうかなんじゃないかと…人間、上を見たらキリがない…何事も程々で良し、とするのがいいんじゃないかと…。
大きな喜びはないかもしれませんけれども、少なくともこの本に登場してきた人らみたいな崖っぷち・転落人生になるのだけは避けられるかと…さようなら。
ヽ(・ω・)/ズコー -
本書を読んで最初に思うのは「ワーキングプア」という言葉の曖昧さ、定義の難しさ、状況の多様さである。
本書でインタビューされている人々は皆、大なり小なり困窮している。しかし困窮の姿にあまりにも幅がありすぎる。
ある主婦は正規雇用の夫を持ちながらも子供の教育費や家のローンのためにパートに出なければならないことを困窮と嘆く、ある男性は住所を失い現状から脱出するためには仕事が必要だが仕事を得るために住所が必要であるというデッドロックの中にいるハウスレス生活を困窮と嘆く。
これは一方がまだ幸せな生活の中にいるという話ではない。人にはそれぞれの状況があり、家庭があり、それらに応じた苦難があるのだ。低所得支援と一口に言うがまずはどのように対象を絞っていくべきなのか、捉えるべきなのかを考えた。 -
一度職を失うと、そのあとは非正規の仕事に時間をとられ、体力も気力も希望もなくなっていく流れに陥る事例として「自分には関係ない」とは思えません。
何とかなるだろう、と飛び出すことが怖くなります。
ただ、一方で、正社員でも生活できないほど時間を拘束されるくらいなら、その会社にいつづける道を選んではいけないことも痛感します。
「自己責任」と片づけるにはあまりにも硬直化している労働環境を実感しました。