歴史から消された 禁断の鉄道史

著者 :
  • 彩図社
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784801304796

作品紹介・あらすじ

明治初期に開業して以来、日本の鉄道は国家の産業や経済、そして軍事の中心にあり続けてきた。
 だからこそ、日本の鉄道には表には出せない「歴史から消された過去」がある。
 太平洋戦争の直前に日本を訪れた満州国皇帝の溥儀が乗ったお召列車、陸軍登戸研究所で極秘に製造された偽札を運んだ輸送列車、GHQ 統治下の東京で米軍兵士のためだけに敷かれた鉄道、鉄道の建設に協力した暴力団、政治権力と鉄道、鉄道会社同士の争い、そして住民と鉄道との軋轢……。
 はたしてその秘話の裏にある真実とは!?
『封印された鉄道史』の小川裕夫が、鉄道の歴史に隠された知られざる謎を解き明かす!

感想・レビュー・書評

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  • 雑誌か何かの然程長くない記事が初出なのだろうか?然程多くない分量に様々な話題を纏めて綴ったモノを多数集めて編んだ一冊という感で、各篇を順次読み進めた。
    確か「汽笛一声新橋を♪はや我汽車は離れたり♪」という歌が在った。新橋・横浜間に鉄道が初登場したのは1872(明治5)年であるという。もう直ぐ150年だ…
    日本国内に鉄道が登場して以来150年も経つ訳で“鉄道史”というように言い得ると思うが、鉄道の歩みは“社会史”、“経済史”、“軍事史”、“政治史”というような要素の一部にもなっているというように観るべきだとも思う。
    本書は『歴史から消された 禁断の鉄道史』と題されているが、正直なところ「やや大袈裟な題名?」とも思った。“社会史”、“経済史”、“軍事史”、“政治史”というような要素の一部ともなっている“鉄道史”を概観すると「余り広くは知られていないかもしれない?」という事実は出て来る。「そういうモノにも敢えて踏み込んでみたい…」というのが、『歴史から消された 禁断の鉄道史』という題名の意味合いであろうと思いながら本書の各篇を興味深く紐解いた。
    率直に…「軍事機密の際たるモノ」というような活動に鉄道輸送が関わったらしいというような話題は「禁断の…」という感じであろうが、現在は隆盛を誇る路線が政争等でなかなか実現しなかった経緯や、戦時中の鉄道会社の合併体制を戦後に解いた際に生じた摩擦というようなこと、鉄道会社を巡る出資に関する摩擦の経過というようなこと、所謂「我田引鉄」的な政治絡みの噂のようなモノは「周知の事実…」というような気もした。
    この種の「歴史の隙間に覗く“一寸、興味深い”」に光を当ててみようとするような記事を集めた一冊は、実際なかなかに価値が高いように思う。
    偶々、近所の書店で見掛けて入手して紐解いたのだったが、酷く善かったと思う。

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著者プロフィール

1977年、静岡県静岡市生まれ。行政誌編集者を経て、フリーランスライター。旅、鉄道、地方自治などが専門分野。著書に『鉄道王たちの近現代史』(イースト新書)、『封印された鉄道史』、『封印された東京の謎』(以上、彩図社)、『都電跡を歩く』(祥伝社新書)、『踏切天国』、『路面電車で広がる鉄の世界』(以上、秀和システム)、『全国私鉄特急の旅』(平凡社新書)、『政治家になっちゃった人たち』(総和社)、編著に『日本全国路面電車の旅』(平凡社新書)などがある。

「2020年 『歴史から消された 禁断の鉄道史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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