ダリア・ミッチェル博士の発見と異変 世界から数十億人が消えた日 (竹書房文庫 と 4-1)

  • 竹書房
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感想 : 16
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  • Amazon.co.jp ・本 (429ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784801928527

作品紹介・あらすじ

本書は2028年に刊行された、2023年に全世界で発生したパンデミックの謎をジャーナリストであるキース・トーマスが追ったノンフィクションである――。
銀河系のはるかかなたの天体から届いた謎の信号によって人類のDNAがハッキングされ「エレベーション」という症状を引き起こす感染症が蔓延。世界的なパンデミックが発生する。
5年後、ジャーナリストのキース・トーマスが、信号を発見した女性科学者をはじめ対策本部、政府高官らへのインタビューや議事録をまとめたのがこの本である。果たして信号はエイリアンからの友好のメッセージか、侵略兵器なのか?
ファーストコンタクトをテーマにした異色のモキュメンタリーSF。

感想・レビュー・書評

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  • ダリア・ミッチェル博士の発見と異変 世界から数十億人が消えた日 | welle design
    https://bit.ly/3yOUkPJ

    ダリア・ミッチェル博士の発見と異変 世界から数十億人が消えた日|文庫|竹書房 -TAKESHOBO-
    https://www.takeshobo.co.jp/book_d/shohin/6038201

  • これはもっと話題になっていいSF…!
    背表紙まで鏡文字になっている凝った装丁や、本中本として展開される「ノンフィクション」の作り、各ページみっちみちの注釈…本の技巧的なところにワクワクして買ったのだけど、中身もとても面白かった!

    深宇宙から届いた人工的な「パルス」、見えないはずのものが見える人々が同時多発した「上昇」とは何か?その目的は?というSFミステリはもとより、それを巡るアメリカ政府や組織の政治劇、宇宙の中でヒトはどう生きるのかというヒューマンドラマ。
    インタビューと会議録の再編集によるドキュメンタリー手法が、事件をめぐるいろいろな面を無理なく展開して、テンポよくぐいぐい読ませる。

    ふんわりとしかわからないところに賛否があるかもしれないけれど、他の面白さが圧倒的なので私はOK!
    竹書房文庫SFは、装丁が独特で気になっていたのだけど、今回とても良かったのでこれから気にしていきたい。

  • この手の本、大好き。少しずれるかもしれないが、テッド・チャンの『地獄とは神の不在なり』とか、今この現実に何か1つ価値観をぐるりと変えてしまう出来事があったとして、その様子をドキュメンタリーチックに伝えるSF、モキュメンタリーの類。

    なんでしょうね。めちゃくちゃドラマチック、というわけでも実はないのだが、しかし世界に起こる災厄、災害の類いというのは基本的にどれもそうで。自分が生きてきた中でも、あるいはこの2021年現在においても、大規模な災厄というものを経験してきていて、それにより価値観が揺さぶられたりはしてきたわけだが、じゃあその中で誰がヒーローだったのか、誰が悪かったのかみたいなわかりやすいドラマだとか、人類は不可逆的に破滅へと向かい始めたのかというと、実はそんなことはないわけで。大局を見れば、それでも地球は回っているとしか言いようがない。それでも生き残ったものはただただ前へ進む、としか言いようがない。この本の中で起きた異変は当然ながら現実に起きてきた出来事とは較べようにならないほどの大災厄ではあるわけだが、じゃあそれで世界はどうなったんだ、っていうところが、この本のポイントかなぁ、と思う。そういう意味でのリアリティを感じたし、とても楽しめた。

  • ドキュメンタリー風フィクション。その「風」があまり成功した感じがなくてうーん?という読後感だった。ドキュメンタリーだとライターの視点、編集も読み手にとっての面白さになると思うのだけど、このドキュメンタリーを書いた人=このフィクションを書いた人になってしまっていて、ドキュメンタリーらしさがないというか。そうとうに小説的なダリア・ミッチェルの手記部分が、無批判に掲載されているのも興ざめだった。ドキュメンタリーならもっと解説が入るのでは。骨格はおもしろいけれど、個人的にぐっとくるディテールがない小説でした。

  • ドキュメンタリー風に書かれたSF、とても良く出来ていてリアルな感じが秀逸。
    地味に、不安になりながら最後に希望があるのか、絶望なのか判断を悩む。
    飽きずに読める。

  • 22.4.27〜5.2

    こういう構造の作品大好き。
    コーヒーを何杯も飲んで徹夜して〜でなんとかしてるっていう描写の意図的な軽薄さについて考えた。

  • 先週紹介した「いずれすべては海の中に」と同様、竹書房のSFシリーズ。
    竹書房、おしゃれにしたいのはわかるけど表紙を鏡文字にするのはどうなのよと思いつつ、パラパラとめくってみたら面白そうだったので購入。
    先日、SFにはいろんなサブジャンルがあるって言ったけど、その中でも地球外知的生命との出会いを主題にした「ファーストコンタクトもの」というものが存在する。古いモノではアーサー・C・クラークの「幼年期の終わり」とか、映画だと「未知との遭遇」とか。
    この作品も、ファーストコンタクトものなのだけれども、ただ、異星人との出会いはない。深宇宙からのパルス信号を、タイトルにもあるダリア・ミッチェル博士が観測する。それだけ。
    結局、このパルスは、我々とコミュニケーションをとるために送られてきたものではなく、我々に「終局」という、人類の3分の2が消滅するという破滅をもたらすもので。そしてこの本は、その「終局」が終わった後に、すべてを疑似ノンフィクションのような形で資料をまとめたという体で構成されている。
    設定もわかりやすいし、科学者が語る内容も難しくない。
    「終局」に向かう中での、人間関係や心理の描写の方に焦点が当てられているので、最後は結構じーんとさせられる。
    そして、表紙がなんで鏡文字になっているのかの理由が、読んだ後になんとなく(あくまでなんとなくっていうところが良い)わかって感心したりもした。
    人類の3分の2が消滅した世界というのは、果たして絶望なのかあるいは希望なのか。その答えはなにも書いてないのだけれども、考える価値のある面白い問いを残してくれたなあと。

  • 宇宙から発信されたパルスコードによって変容する人類が描かれる。パルスコードが引き起こす“上昇”と呼ばれる現象によって、奇行に走る人や透視能力を発現する人が出てくる事例も紹介される。

    ただ本作は、そういった「突如として生まれた“能力者”が引き起こす事象」を派手なアクションを伴って描いていく方向(漫画『AKIRA』や映画『クロニクル』など)には舵を切らず、“起こったこと”を一定の距離感を保ちながら整理していく筆致が採用されている。

    モキュメンタリーの形式を採ることで、“語り”の構造的にも「起こった事象から距離を保つ」ことができており、多角的な視点から事象が描かれている。マックス・ブルックス『WORLD WAR Z』と並べてみるのも一興かと。坂野公一さんによるデザインも攻めている。

  • 反転した表紙・背表紙に一瞬、我が目を疑う。あれ……不良品??ワクワクして即座に読む決意をした竹書房の逸品。

    裏表紙を読むとどうやらSFらしい。竹書房さんのSFか、どんなんだろう?手にとるとすぐに特殊な組み方をした小説だとわかる。インタビューや手記、会議録や機密記録など、何かの事件を扱ったノンフィクション風に構成されているのだ。

    内容としては、ファーストコンタクト+パンデミック+オカルト(UFO&陰謀論)をミステリーを感じさせる構造でミックスした感じ、というところ。古くからあるSFや最近のテクノロジー・オカルト情報などから多様な要素を盛り込んでおり、驚天動地のようなパンチのある展開はないものの、エンタメとして非常に手が込んでいると感じた。やはり、あくまでも架空のノンフィクションとして書かれているのは面白い。時系列がバラバラだが、うまく構成されていて違和感がなかった。謝辞と参考文献のこだわり具合には思わずニヤリとしてしまった。

  • SFなんだけどノンフィクションのような。
    これは2023年に起こるある出来事をまとめたもの。

    物語に入るというよりかはもう一つ上の階層で登場人物が読んでる手記を読んでるみたいな、、新感覚。

    最後は洋画っぽく、え?これからどうなるの?だったり、え?結局どういうこと?みたいな置き去り感があった。

    それもまたよし

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