ベストSF2022 (竹書房文庫 お 6-3)

制作 : 大森 望 
  • 竹書房
3.58
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本棚登録 : 152
感想 : 18
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  • Amazon.co.jp ・本 (456ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784801932128
#SF

作品紹介・あらすじ

またSFが死んだらしい……。では、この作品群はいったいなんなのか。

感想・レビュー・書評

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  • 今のSFは面白いですね。

  • 「もふとん」が特におもしろかった。「神の豚」もなかなか。しかしそれくらい。

    ===

    酉島伝法「もふとん」★★★★★
    - えぐい系かと思いきや、全くそんなことはなく、ユーモアSFであった。
    - なぜか布団が存在しない世界。誰もが睡眠不足で不健康なまま、それが当たり前だと思っている世界。主人公はある時、膚団というもふもふの布団のような生き物を見つけ、それにくるまって寝ることで健康的になり、それが徐々に世間でも布団で寝ることがはやってしまう。

    吉羽善「或ルチュパカブラ」★★☆☆☆
    - 昔、チュパカブラを目撃したことがある男の回想。なんか普通にチュパカブラがいることになってた。

    「神の豚」★★★★☆
    - 大森さんの解説にある通り、確かにSF味は薄いものの、面白かった。何が面白かったのかはなんとも言えないけど。ややディストピア感のある未来の台湾で、兄の失踪とともに突如豚が現れる。

    「進化し損ねた猿たち」★★★☆☆
    - 史実を元にした過酷な戦時中のジャングルでの行進を描いた短編だけど、SF味はほぼない文学作品として。

    「カタル、ハナル、キュ」★★★☆☆
    - 「ポストコロナのSF」にて既読。

    「絶笑世界」★★☆☆☆
    - 笑いが止まらなくなる病気が世界中に伝染する中、クソつまらないお笑いコンビが笑いを止めるために奮闘する話。
    - 小説としてはまあまあ。

    円城塔「墓の書」★★★★☆
    - 円城塔のメタい作品。らしさのある屁理屈SF。
    - ヴァン・ダイン曰く、長編には死体が必要。209
    - 211 探偵役がいることによって、過大に死者が生まれてしまう

    「無断と土」★★☆☆☆
    - 「恐怖」についての異常論文タイプのSF。ホラーゲーム制作ツールPSを用いて作られた『WPS』を題材に説明していくスタイル。
    - なんとなく面白げなんだけど、意味わからんすぎた。

    「電信柱より」★★★☆☆
    - 電柱に恋をした人のほのぼの系ロマンス。

    伴名練「百年文通」★★★☆☆
    - 百年前の大正時代と繋がっている机の引き出し。イチルは大正を生きる静と文通をする。面白いけど、コロナ禍を意識しすぎててちょっとしんどい感もあり。

  • 尖りすぎて、何が書いてあるのか解らない的な作品は含まれていないのだけれど、読むのにかなりな体力を要求する作品が多め。最近のSFブームで、興味を持ったルーキーさんを遠ざける効果は、却ってあるかも知れない。ちょっと気になる。収録作のレベルは文句なく高いです。個人的ベストは「電信柱より」にしましょうか。

  • SFをタイムマシンとか華氏451度以来に読んだ気がする
    奇想こそSFの肝であるというところを存分に浴びることができて楽しい本だった

    よかったなと思った作品

    もふとん 西島伝法
    今のSFってこんなゆるいのもOKなんだ、と思ってびっくりした。かわいくて無害でうれしい ゆるい
    本屋にふらっと入ってこの作品をを立ち読みして「これは今の自分の価値観を塗り替える可能性の高い本だ、通読せねば」と思って買った

    カタル、ハナル、キユ
    入れ墨が楽譜になっていて葬式で演奏するという耽美な世界が明かされて震え
    それをゼロから作って描ききっていることに感銘を受ける
    これもまたSFってこういうのありなんだと思った 架空記?

    電信柱より
    しばらく街を歩く時に思い出すのだろうなという作品だった
    日常に寄り添った作品はうれしい

    百年文通
    現代に生きる我々だからこそ読んで嬉しい作品で最高だった
    SF道具自体はよくありそうなものだけれどキャラクターが立ちまくっていてオタク的に嬉しい

  • 2024-02-22
    現代日本SFの成果である短編10本。ゴリゴリのハードSFがほとんどないと言うのも日本らしい。もちろんその分余計に想像力はたけり狂っている。
    SF冬の時代があった事すら忘れそう。

  • 「もふとん」
    異なる生命体との出会いと依存。ただ、ふかふか布団に疲れ切った身体を委ねる快楽は、誰もが至福と経験したことであると思うので、物語世界が変化してゆく様が、恐怖よりも納得・共感で成立してしまった。もふとん以前の生活が過酷すぎるのもある。異常な環境を当たり前と認識してしまっている怖さがあります。もふとん以後も異常ではあるのだけども。幸福と出会えて最高、という結末でないのが嫌な感じですが、感覚が鈍化しているように受け入れてしまうのは、ふかふかなもふとんの余韻にこちらも浸っているからかもしれない。

    「電信柱より」
    自分勝手な愛情という印象。良かれと思った行動の結果が、望んでなかった状況を招いてしまう。妻もリサも。悪意はないから余計に冷たさというか、情熱が冷めてしまった時の無関心というか。こうであってほしい、こうしてあげたい、という自分が作り上げたものが、実際にはずれてしまった時の感情の冷たさが刺さる話だと思いました。齟齬なく理解しあうことの難しさ、かな。
    避けられない死をなんとかして回避したいけども、そういう形で生きていて欲しいのではないんだ、という感情がリサにあったのかな、と思っているのですが。
    スッキリも納得もしづらいけども、頷かざるを得ないような感覚がある。愛でているであろうことが書かれているからかなぁ。

    「百年文通」
    多分、嫌いな人はいないんじゃないかな。歴史改変IF物語。主人公二人のキャラもいいし、二人の立場が相似であるというのが明かされるのも爽快感があっていい。
    ただただ、物語に引っ張られて熱量が上がっているので、興奮状態の読後でした。
    小さなネタだと思うのですが、おじいさんの古時計からタイムスリップするのが好きです。有名な童謡のあれを思い出して、ニヤニヤしてしまいました。100年というキーワードから思いついたのでしょうね。机の引き出しでタイムスリップというのも、何から引っ張ってきたのかは、わかりやすいし。
    そんな小ネタがおそらく多く散りばめられているのではないか、と思います。
    二人の少女の友情と奮闘。わくわくハラハラドキドキの冒険譚。こういうの大好きです。


    ベストSF2023で印象に残った3編。

  • 十三不塔「絶笑世界」がよかった。お笑い系ではドラマ「だが情熱はある」に通じるものがある。中編の伴名練「百年文通」は流石。日向静香さん、お会いしたい。アニメ化して!
    他、知らない作家が多いですね。異常論文系はわざと難解にしているので、ついていけない。
    〇酉島伝法「もふとん」
    ▲吉羽善「或ルチュパカブラ」
    ▲溝渕久美子「神の豚」
    ▲高木ケイ「進化し損ねた猿たち
    ×津原泰水「カタル、ハナル、キユ」
    ◎十三不塔「絶笑世界」
    ×円城塔「墓の書」
    ×鈴木一平+山本浩貴(いぬのせなか座)「無断と土」
    〇坂崎かおる「電信柱より」
    ◎伴名練「百年文通」

  • よかった。が、ちとピーキーかなぁとは思う。「無断と土」はすごい。すごいんだけど、ちょっと読むのはしんどい。まぁ異常論文に載ってるやつだし「そういうもの」ではある。
    気に入ったのは、「電柱柱より」。なんだかふざけているようだが、真剣に電柱との恋愛を丁寧に描きとっているのが素晴らしい。「百年文通」は、良いよね、姉妹百合と嫉妬……。
    満足な作品集ではありました。人にはちと勧めづらい。

  • 残念ながら面白くなかった

    SFって時間とか宇宙とかファーストコンタクトとかロボットだと思ってるからかな。どれもイマイチ馴染めず、流し読みに近いまま終わった。

  • 『ベストSF2022』読了。今年はあんまり刺さるのないなぁなどと思っていたら最後の最後で伴名練「百年文通」に持ってかれた。これぞガール・ミーツ・ガールのヤングアダルト小説って感じで中高生の頃に(自分と同年代だけど)伴名練に出会いたかった気持ちでいっぱいになった。

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