データ分析のための数理モデル入門 本質をとらえた分析のために

著者 :
  • ソシム
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  • Amazon.co.jp ・本 (284ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784802612494

作品紹介・あらすじ

「数理モデル」とは、現実のデータを理解・活用するために生み出された様々な数理的な手段の総称である。これには、近年注目を浴びている機械学習だけでなく、物理学、生物学、生態学などの自然科学、また心理学、経済学、といった人文社会科学分野で用いられる諸手法が含まれている。
こうした極めて多様な方法論の間には、データの背後に存在するメカニズムをある種の数式で表現し、それを利用するという共通の目的・手続きが存在する。

データと目的が与えられたとして、どのモデリング手法に頼ればいいのだろうか?特に、現象の理解を目的とした分析には、機械学習の諸手法では太刀打ちできないこともある。
こういった場合には、統計モデリングだけでなく所謂計算論的モデルと呼ばれるボトムアップ型のモデリング手法が必要とされることもあるだろう。こうした俯瞰的な視点でモデルの「種類」を選択することはデータ分析において必須のステップであるが、そうした分野を跨いだ解説書は殆ど存在していないといっても良い。
そこで本書は、数理モデル全体が有機的に繋がって見えるような「横糸的な」理解を可能にする、全く新しい入門的な教科書を目指した。

本書では、さまざまなモデリング手法の基礎的な部分を解説するだけでなく、それらをどのように選択して使用すればよいか、そしてモデリングによって得られる結論について初学者が勘違いしやすい事項について丁寧に解説した。
主な読者としては、「これからデータ分析を始める」、或いは「ある種の分析で結果を出すことはできるが、それが何をやっていることになるのかがモヤモヤする」といった初学者・初級者を想定している。大学の一年次でも読み通せる程度の解説レベルを採用しているが、内容が淡泊になりすぎないように注意した。
また、通常データ分析の文脈では言及されない(しかし重要な)種々の数理手法についても解説することで、ある程度モデリングに慣れた読者が読んでも楽しめる内容を目指した。

感想・レビュー・書評

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  • 本書では、数理モデルの全体像、数理モデルの具体例、数理モデル使用前後のプロセスについて解説されている。以下、本書の内容を簡単に要約する。

    ○ 数理モデルの分類方法
    § 目的による分類
    □ 生成過程を知りたいときは理解指向型モデル、未知データの予測をしたいときは応用志向型モデル
    § 現象の確率的なばらつきに基づく分類
    □ 決定論的なダイナミクスには微分方程式、ばらつきが大きい時は確率モデル

    ○ 数理モデルの具体例(マルサスモデル、自己回帰モデル、状態空間モデル、PCA、ニューラルネットワークなど基本的なモデルも網羅的に書かれているが、ここではなるほどとなったもののみ抜粋)
    § 待ち行列理論
    □ 窓口の行列を確率的に表現したモデルをポアソン過程を仮定して作って、定常状態での待ち人数の確率分布を求めている
    § 多体系モデル
    □ 社会的ジレンマ(個々が合理的な行動を取ると全員が損をする)が発生しても全体の協力が維持されるはなぜかを多体系モデルの枠組みで解明できるらしい

    ○ 数理モデル使用前後のプロセス
    § 問題目的を定義する
    ○ 数理モデルに何を期待するかを明確にする
    § モデルを決定する
    § パラメータ推定
    ○ 頻度論的な最尤推定とベイズ推定がある
    ○ 頻度主義とベイズの違いについて区間推定を例にして説明する。頻度主義では、真の値は定数であるとして、信頼区間の両端を確率変数と考える。ベイズ統計では、真の値が確率変数であるとして、信用区間の両端をパラメータであると考える。
    § 性能評価
    情報量基準、交差検証、ヌルモデルを使った尤度比検定

  • 本質?とにかく並べてみただけ?なるほど、いろいろあるんだなぁ、と感じたらOK.それ以上をこの本に臨む必要はなさそう。

  • 入門にはいいのかなでも
    『分析者のためのデータ解釈学入門』のような一望感、整理感、これ読んでるやつと読んでないやつで差がつくよな感はなかった
    これだけ読んで分かるのかな?感もあった
    黄色と赤でセット持ちすべきだとは思うけど

  • 【蔵書検索詳細へのリンク】*所在・請求記号はこちらから確認できます
     https://opac.hama-med.ac.jp/opac/volume/456415

  • 選書企画2023 「図書館に置いて欲しい本 書いて!貼って!」 購入図書

    【配架場所】 図・3F開架
    【請求記号】 417||EZ
    【OPACへのリンク】
     https://opac.lib.tut.ac.jp/opac/volume/447212

  • 最適化問題・制御理論・機械学習を簡潔に概説。
    機械学習の講座を受講した後、理解を補うために読むと良い。

    P65 対数プロット
    P67 最適化問題
    P91 制御理論
    P120 検定
    P138 時系列
    P157 機械学習
    P177 強化学習
    P239 対数尤度

  • データアナリストやデータサイエンティストして必要な知識体系を紹介してくれる本です。

    まずは、数理モデルに関連する知識体系の全体を俯瞰したいという人にお勧めです。
    ただし、具体的に数理モデルを適用して分析したい場合には、別の専門書を参考にする必要があり、お勧めの専門書もたくさん紹介してくれています。

    数理モデルを学習したいけど、何から学習したらよいかわからない方は、この本で全体的な知識体系に触れてみて、深掘りしたい領域に関連する推薦図書につなげていくのが、この本との良い付き合い方なのだと思います。

    数理モデルに関して、既にある程度の専門性が備わっている方にはお勧めできないかもしれません。

  • 微分方程式や確率過程、時系列モデルなどの理論中心のモデルや強化学習モデル、エージェントベースモデルなどの予測中心のモデルなど、一通りのことが書かれている。
    このシリーズの特徴でもある挿絵の多さもあり、文字の部分が少ないので各モデルの説明は最小限に留まっているが、必要なことは網羅されているようで、ざっと読むにはちょうどよい手軽さ

  • 一部自分の理解度では難しい部分も多かったけれど、俯瞰での体系、どこに何があるのかの認知は深まったのでとてもよかったです。
    あとがきにもあったように、色々勉強してからまた再訪したいと思います。

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著者プロフィール

江崎 貴裕(えざき たかひろ)
東京大学先端科学技術研究センター特任講師。
2011年、東京大学工学部航空宇宙工学科卒業。2015年、同大学院博士課程修了(特例適用により1年短縮)、博士(工学)。日本学術振興会特別研究員、国立情報学研究所特任研究員、JST さきがけ研究員、スタンフォード大学客員研究員を経て、2020年より現職。東京大学総長賞、井上研究奨励賞など受賞。
数理的な解析技術を武器に、統計物理学、脳科学、行動経済学、生化学、交通工学、物流科学など幅広い分野の問題に取り組んでいる。著書に『データ分析のための数理モデル入門-本質をとらえた分析のために』(ソシム)。

「2020年 『分析者のためのデータ解釈学入門 データの本質をとらえる技術』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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