落合陽一 34歳、「老い」と向き合う:超高齢社会における新しい成長

著者 :
  • 中央法規出版
3.27
  • (3)
  • (21)
  • (26)
  • (7)
  • (2)
本棚登録 : 352
感想 : 29
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (274ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784805883877

作品紹介・あらすじ

落合陽一氏が「老い」と高齢化にフォーカスした初の著書。解剖学者・養老孟司氏との対談を皮切りに、デジタルネイチャー(AIやロボットとの共存が当たり前の時代)において、「老い」がどう変容していくか思考する。“豊か”な生や老いを享受するためのヒントが詰まった1冊。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 老いとは、単に年齢の積み重ねでもあり、死への距離感とも言えるが、その経年に付随するのは、身体機能の低下やその損傷リスクの増加である。老いに逆らう事が無意味だとか、命に限りある事が美しいという宗教観もあるだろうが、現実社会において、脳機能が働くのに身体が動かないなら、それを補いたいと思う事は自然だ。ここに書かれるのは諦念や達観ではなく、克服。綺麗事ではなく、老いとは唾棄すべきもの。一旦、そうしておかないと、前進しないから、そうする。

    世界中で1秒間に死者1.7名。自らの一人称、親しい人のニ人称とも、異なる三人称の死。我々は三人称の死には無関心だが、自らの人生に登場しない人物に感情移入する方が難しい。第三者の数は自論に都合よく用いられる以外に、関心の埒外であるのは、死という現象に限らない。

    老いへの補い方、抗い方、向き合い方。その最前線について。身体拡張。例えば、パワードスーツ。ケア。大阪大学石黒浩教授が開発するテレノイド。抱っこして会話する人形のようなアンドロイド。奇妙だが、意外に心のケアには有効で、認知症患者にも効果。アルツハイマーと言えば、米製薬大手バイオジェンと日本のエーザイが開発したアルツハイマー病の治療薬候補アデュカヌマブの製造販売が、米食品医薬品局(FDA)に認可、など。

    介護版Airbnbはビジネスとして社会に広まりつつあり、アメリカのスタートアップが展開するサービスPaPaは高齢者と大学生をマッチング。買い物や家事手伝いなどをサポート。パーソナルテストに合格したトレーニングした者。同じパパ活でも、随分違うものだ。

    世界は変わりつつある。テクノロジーとビジネスに牽引され。時々、欲望が彩りを添えて。

  • ズームバック落合をみて、落合さんの思考に惹かれて読んでみた。
    ズームバックで言っていたことの詳しい話という感じだった。自分と4歳しか違わないのに、本当にすごいことをしているなと思う。自分にできることは何かなと考える。
    特に印象的だったのは、根性論をなくすためにというところ、僕が働く教育業界もいよいよヤバくなってきているので、テクノロジーを活用して、よりより方向に進めていきたいと思う。ロビイストが必要だ。自分になれるだろうか…?
    落合さんには教育関係の本も書いて欲しいなと思った。

  • デジタル×豊かさ が融合された介護の実現を期待する。

    • kiyoshi1986さん
      デジタル×豊かさ×個別 が融合された介護の未来を期待したいですね。ご高齢の方の方が、スマホで遊ぶ若者よりも本質的にデバイスを使いこなせてると...
      デジタル×豊かさ×個別 が融合された介護の未来を期待したいですね。ご高齢の方の方が、スマホで遊ぶ若者よりも本質的にデバイスを使いこなせてると思います。
      2022/02/05
  • やはりなんとなく「老い」というとマイナスなイメージがつきまとう。
    ただ、テクノロジーで「老い」をより「豊か」な人生に変えることができるかも。

  • どんなに素晴らしい技術を駆使したテクノロジーでも使われないと意味がない。ユーザーにとって、使いやすいテクノロジーが求められる。

  • 「老いはパラメータ化していく」このフレーズに惹かれたり、疑問を思った人は必読。
    タイトルの「老いと向き合う」というよりは、「老いはどうなくなるか、老いが限りなくなくなった世界でどう生きるか」について論じられている印象でした。
    面白かったです。
    人によっては物足りないかもしれません。

  • 今現在の介護とテクノロジーの関わりを教えてくれた。悲観的ではなく希望が持てる内容だった。ただ今の私が何が出来るかまでのアウトプットに結びつけるには難しく、考えなければと思った。

  • デジタルクリエイター/研究者としての視座から見た現代介護の問題点とソリューションを提案している一冊。「デジタルネイチャー」という概念に“身体性の拡張”という要素が含まれており、“壁をなくす”をミッションとしている著者の、研究の延長線上に必ず介護の問題にぶつかることに対して、今のテクノロジーや事例から視える近未来を描いた意欲作。

  • 読書メモ。。。
    介護はテクノロジーで代替の先駆になる

    テクノ民藝
     小さなブランドと繋がる

  • 落合さんと養老孟司さんの対談が読めるのが貴重。印象に残ったのは人の手による「温もり」を感じる介護が必ずしも必要だろうかという問いかけ。70が近い母も他人に下の世話をされるようになる前に逝けたらいいんだけどと話すことがあるが、確かに人ではなくかえって機械に助けてもらったほうが気楽だということは介護のなかにはあると感じた。

    氏の本を読むのは初めてだったが、老いだけでなく身体障害など健常者とおなじようにできないというマイナスイメージをテクノロジーによって克服してきた事例が多く紹介されていた。

    介護職の悪いイメージ(汚い、きつい、危険の3K)も技術の進化で払拭していける、年を取って思うように動けなくなっても豊かに生きていくことは可能である。という未来への希望を感じさせてくれる本だった。

    耳慣れないテクノロジー技術の紹介が続き、読んでいて少し疲れたことから星3とした。

全29件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

メディアアーティスト。1987年生まれ。JST CREST xDiversityプロジェクト研究代表。
東京大学大学院学際情報学府博士課程修了(学際情報学府初の早期修了)、博士(学際情報学)。
筑波大学デジタルネイチャー開発研究センターセンター長、准教授、京都市立芸術大学客員教授、大阪芸術大学客員教授、デジタルハリウッド大学特任教授、金沢美術工芸大学客員教授。
2020年度、2021年度文化庁文化交流使、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)テーマ事業プロデューサーなどを務める。
2017~2019年まで筑波大学学長補佐、2018年より内閣府知的財産戦略ビジョン専門調査会委員、内閣府「ムーンショット型研究開発制度」ビジョナリー会議委員,デジタル改革関連法案WG構成員などを歴任。

「2023年 『xDiversityという可能性の挑戦』 で使われていた紹介文から引用しています。」

落合陽一の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
リンダ グラット...
マシュー・サイド
アンデシュ・ハン...
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×