- Amazon.co.jp ・本 (191ページ)
- / ISBN・EAN: 9784806145196
感想・レビュー・書評
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なかなか面白い本。円高ではない。
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超要約をすると….
リーマンショック以来、ヨーロッパを中心に経済の状況は極めて悪く、この状態がすぐに好転することはない。通過は「無極化」状態であり、極め不安定。現在は円高ではあるが、実質実効為替レートではまだ超円高ではない。むしろより円高になる可能性は高い。
さて、以上から筆者の考える対応策。
1)中国とインド
中国はバブルの様相だがこれをはじけさせてしまうと日本経済は苦難に落ちいる。中国をうまく支援して中国経済が落ち込まないようにすべき。インドは親日であり、若者が多いのでまだ成長する。インドで売る事はそれより西の諸国でもビジネスが出来る事。積極的にインドに出て行くべき。
2)TPP
米国と豪州がアジアでビジネスを拡大するためのもくろみ。最大のパートナーである中国が参加していないのに、むらやみに日本が参加すると中国との関係も崩壊しかねない。
3)日本企業
円高で業績が悪い、というのは経営者の言い訳。円が強いということは国家が強いと理解して、円高をうまく活用して外国でのビジネスを今広げるチャンスである。海外での収益を増やして、それをつかって国内の業務に還元するモデルを作れ。
4)国家ファンド
シンガポールのような国家ファンドを作り、高い円を使って積極的に海外投資をする。海外の企業を買って資産を増やせるチャンス。
5)成長戦略
大きな成長戦略はいらない。1−2%成長が現実的とみて、それをベースに考える。これを成熟期と呼ぼう。規制緩和をしてサービス産業中心のビジネスにシフトすべき。
6)個人の通貨
所詮、円で消費するなら無理して外貨に投資する必要はない。利率が低くても円で持つべき。国債が良い。
6番目に関してはにわかに賛同しかねるが、他はその通りだと思う。今日の日経でもトヨタの社長が「超円高」という言葉を使っていたが、被害者意識はあるが円高を活用する、という意識が日本のグローバル企業にどの程度あるのかが疑問。ファーストリテイリングや楽天のように、海外に広げるチャンス、と見る事で戦術が変わる。(もちろんトヨタはもう十分に海外活用モデルが出来ているうえでの発言でしょう) -
円高ともデフレとも言われる昨今
著者である榊原英資氏によると『そもそもデフレではない』し実質実効為替レートから見ると『名目70円台は「深刻な円高」ではない』そうだ。
これは以前に読んだクルーグマン著『さっさと不況を終わらせろ』と間逆な内容なので読み比べると面白い
クルーグマンは金融緩和についても「緩和している絶対額がまだまだ足りていない」とあるがこちらでは「これ以上の緩和は無駄」とある
もちろん米国と日本を同列に比べるのには無理があるが通貨安戦争→ドル安に成功した米国が今後(来年)どうなっていくのこは非常に興味深い
榊原氏によれば日銀の政策はまんざら間違っていなく成熟した日本には2〜3%といった無理矢理な成長を望むのではなく現状のような「1%成長モデル」を構築することを前提とした社会を提案している
企業単位で見れば海外進出などで成長は可能だけど日本という国で考えれば成熟した日本とインフラも発展段階の新興国や途上国と再び成長を競うのはたしかに違和感があるようにも思える
日銀の政策については賛否あるし日銀法の改正も話題となっているがこの本を知ってからはちょっと考えが慎重派になったような気がする -
これ以上の金融緩和は効果がない、これからは成長戦略が期待できない成熟社会、今は大した円高ではない、実質実効レートで見れば、これからが本当の円高、など、これが本当なら自民党は公約を守れない。選挙はどこに入れたらいいだろう…
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