オタクコミュニスト超絶マンガ評論

著者 :
制作 : 紙屋 高雪 
  • 築地書館
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本棚登録 : 24
感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784806713562

作品紹介・あらすじ

ふだんは、30代の普通のサラリーマン+真面目な共産主義者だが、ひとたび漫画を見つけると、漫画評論家に変身。漫画評論の人気サイト『紙屋研究所』所長が、長い長い夜のおともに、あなたとともにコタツで漫画を語り、漫画で、恋愛(とエッチ)、結婚(とセックス)、学校(ざけんな)、実家(の困った親たち)、政治(革命やれよW)を語る快楽をわかちあう。

感想・レビュー・書評

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  • §タイトルからユニークな人物に思えそれが知りたく思い購入

    最初の数枚を読んで氷解

    「コミュニストである自分とガンダムが好きで仕方がない自分が衝突(矛盾)している。」云々である。これはこの人の人格を良く表現(自白)している。

    クチでは「戦争反対」とか「9条を守れ」とか「環境保全」を言うが、その作品作りでは戦争、暴力、殺人兵器にロマンを持っているどこかのアニメ映画の監督と人格が似ていないか?

    「戦争の放棄、戦力の不保持を表向きは言うが、事実上の軍隊を作り出し、敵地攻撃能力を持とうとする。」あからさまな矛盾を何とも感じない人々と著者は「ご飯論法」もへったくれも酷似していないか。

    「実際の戦争には現在の『生業』をクビにならない為に表向きは反対して見せるが、絵具で書かれた絵空事の戦争は大好き。=腹の底では実際の戦争も大好き」と言う事だろう。

    この絵空事の戦争、ガンダム見たいなタカ派アニメが今までどういう目的で作り続けられて来たのか、そういうタカ派アニメが近未来の有権者(=今の有権者)である当時の子供達にどういう影響を与えて来たのか。高学歴で本当にコミュニストならお得意の「史的唯物論」の立場で分析、喝破出来るのではないか?

    映画評論家の故山田和夫氏は生前「コミュニスト」を公言してはいなかったと思うが好戦的タカ派の映画、アニメに関して痛快に喝破していた。

    本当のコミュニストならそれ以前に「民主主義者」で「平和主義者」である筈だ。
    マニアックな漫画作品より一般に広く読まれている漫画作品に人権上良く無い作品も、平和を考えると良く無い好戦的な物も少なくない。
    そういう作品を評論家の立場でハッキリ批判する事もコミュニストを自称する評論家には求められていると思うのであるが・・・この人には無理だろう。

    子供や青年から戦争への批判力を奪う目的で作られた漫画やアニメを批判する事は、そうした作品が大好きな、即ち腹の底では実際の戦争が大好きな著者自身がその事を悔い改め、自己批判しない限りそれは出来ないからだ。

    或いは、歴史の局面に於いて、本物の「コミュニスト」を民衆から離反させるために、暴力と殺戮の限りを尽くした、所謂「ニセ左翼暴力集団」の様な物が、意図的に組織されるが、著者は「偽コミュニスト非暴力個人」と評価する事も可能である。

    あらゆる「表現の自由」を守らなければ本物では無くなってしまうので、「圧力をかける等もっての他」なので、本物は迷惑しているのかも知れない。なんせ著者は現在、会費を払って参加する「一般党員」では無く、そこに奉職しているからだ。

    だから著者は「何々党々員」と自己宣誓出来ず、わざわざカタカナ言葉の「コミュニスト」を用いるのだろう。そうした「後ろめたさ」と共に「コミュニスト」を看板にしたいという「厚かましさ」も感じる。この辺も故山田和夫氏の潔さとは大きく異なる。

    著者は「コミュニスト」を自称しているが、むしろ「この国の滑稽かつ危険な本質」を自ら体現している。

    ダメ押しにあと一言、二言、自分自身を「真面目な・・」と評価する事自体、非常に不真面目である。ウソ臭いのだ。
    国名に「民主主義」を入れている国の多くは民主主義とも科学的社会主義とも縁も所縁も無い、「専制独裁」の国である事に似て来るのだ。「真面目」も「コミュニスト」もそういう厚かましい自称という事だろう。

  • 「岡崎はセックスについてもくり返し「空虚」さを強調した。(…)しかし、高橋においてはセックスは目もくらむほどの欲望、生々しい性としてそこにある。(…)恋人という「私をめぐる現実」は、実は「世界をめぐる大きな現実」につながっている。これは、岡崎は決して言えなかったことだ。これが高橋のたどりついた世界のリアリティをとりもどす方法であった」(p.25, 27 極限状態が生み出す「純粋な自分」ーー高橋しん『最終兵器彼女』)

    「むしろ赤木が最も憎んでいる自営業者・中小企業主・農民、そしてホワイトカラー上層の人々との「統一戦線」について、リアリティある構想と実践を示すことこそが、左翼として赤木の問題提起に応えることになるのだとぼくは思う。そなわち赤木に手をさしのべることではなく「丸山」に手をさしのべることを今考えるのだ」(p.323 「丸山眞男」に手をさしのべる 希望は、革命。ーー赤木智弘「希望は、戦争。」について)

  • マンガの書評、しかも私にとっては知らない本が多い、ビッククリ!

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著者プロフィール

1970年愛知県生まれ。京都大学法学部卒。自らのブログ「紙屋研究所」で漫画評論や育児論、社会時評をつづる。
著書に『オタクコミュニスト超絶マンガ評論』(築地書館)、『超訳マルクス――ブラック企業と闘った大先輩の言葉』(かもがわ出版)、『“町内会”は義務ですか?――コミュニティーと自由の実践』(小学館新書)、『どこまでやるか、町内会』(ポプラ新書)など。

「2018年 『マンガの「超」リアリズム』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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